これは盗作とちゃうんかいっ・喧嘩上等篇
※ブログ記事盗用事件について、漫棚通信が書いた記事のもくじ
※ばるぼら氏によるまとめサイト
※「唐沢俊一まとめwiki 」
※「ガセとパクリと朝ブドー」
※「トンデモない一行知識の世界」
※唐沢俊一氏にパクられ続けた「知泉」氏のお怒りの言葉
唐沢俊一/村崎百郎『社会派くんがゆく!復活編』(2007年アスペクト)を(一部分だけですが)読みました。この本には、『新・UFO入門』におけるブログ記事盗用事件についての、唐沢俊一氏の見解が記されています。
もちろん世間一般に向けて言い訳を書いた本ですので、わたしに対しては謝罪ではなく、むしろ非難がなされています。ここは当事者のわたしとしましても、ひとこと書かせていただきます。
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#1:「無断引用」はやめた?
今回の文章中、唐沢俊一氏は「無断引用」という言葉に代わって、「引用ミス」という言葉を使用しています。
とにかく、引用ミスとはいえ多くの方々に迷惑をかけたことは事実である。(略)
無断引用であるという苦情がメールされてすぐ、(略)
これを認めると、今後、単純な引用ミスをおかしただけの同業者が、これを前例とした相手に過大な謝罪を要求されるという事態を招きかねない。
そしてなんと、「無断引用」という言葉は、わたしが言ったことにされてしまっています。
わたしが「これは盗作とちゃうんかいっ・無断引用篇」で書いたように、「無断引用」とは珍妙な言葉です。引用とは本来無断でされるのがあたりまえだからです。
引用はご自由に、無断でしていただいてかまいません。ただしルールを守っていただければね。論文を書くひとのほとんどが、他の研究者に引用してもらうために書いていると言ってもいいでしょう。
そういう認識を持っているわたしが、「無断引用であるという苦情」をメールするわけがありません。わたしは「無断引用」ではなく、「盗作とちゃうんかいっ」と指摘したのです。
幻冬舎のチェックがはいったであろう、ネット上の謝罪文(今はまだ読めます)には、「ほぼ同一の文章を無断で掲載」という文言はありますが「引用」という言葉は出てきません。さすがにこれが、世間で通用する言い訳にはならないことを知っているからでしょう。
これに対して唐沢俊一氏は、週刊新潮のインタビューやこれまでの文章で、「無断引用」という言葉ををくりかえし使用しています。このことは、唐沢俊一氏が困ったことに、文章を書く人間として無知であるだけでなく、理解力が欠如していることを示していましたが、半年たってやっと理解していただけたようです。
だからといって、わたしが「無断引用」という言葉を使ったなどというウソを、書かないでいただきたい。これまで「無断引用」を好んで使っていたのは唐沢俊一氏のほうなのですから。
それにしても「無断引用」に代わる言葉が、「引用ミス」だとはちょっとあきれましたね。
今回の唐沢俊一氏の行為は、(1)ネット上の文章をコピペして、(2)文末をちょちょいと変更して、(3)自分の名前で発表したものです。これを世間では「引用」とは言わず、「盗作」「盗用」と呼びます。
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#2:交渉内容の公開とは
唐沢俊一氏の文章より。
話がややこしくなったのは、相手サイトの運営者氏が、謝罪交渉のやりとりのすべてをブログで公開することを主張し、担当編集からのメールなどもすべて公開する、と一方的に宣言してからである。
わたしが「交渉内容の公開」を希望していたことは、確かにそのとおりですが、正確な表現ではありません。「これは盗作とちゃうんかいっ・決裂篇」に書いたように、漫棚通信は、唐沢氏サイドから提案された「交渉経緯の非公開を含めた合意書」の作成に反対していたのです。
またわたしは、「メールなどもすべて公開する、と一方的に宣言」などはしていませんし、実際、交渉が決裂してからわたしが書いた「これは盗作とちゃうんかいっ・決裂篇」では、無制限のメール公開などはされていないはずです。
さらに、この「交渉の公開」が問題点のすべてであったように唐沢俊一氏は書いていますが、これも奇妙なことです。
●根拠その1。「交渉内容の公開」は確かに交渉後半の大きなテーマでしたし、これについての話し合いに時間と手間がかかっていました。しかし7月12日付の幻冬舎担当者からのメールにおいて、
「本件交渉経緯の非公開を含めた合意書の作成」との提案については取り下げます。
と、一応は妥結されていた事実があります。唐沢氏サイドが前言をひるがえすのはその直後のことで、この間、何があったのかはわたしにもわかりません。
●根拠その2。唐沢俊一氏のサイトには、今ならまだ読める「『新・UFO入門』 交渉の経緯について(一部訂正)」という文章があります。
当方からの、“本件に関するやり取りの具体的内容は締結まで非公開としていただきたい”とのお願いも、拒否されました。(略)
※一部訂正
上記の文中、
「本件に関するやり取りの具体的内容は締結まで非公開としていただきたい」
という部分は
「本件に関するやり取りの具体的内容は非公開としていただきたい」
の誤りでした。
唐沢俊一氏が、「交渉内容の公開」とは何をさすのか知らなかったことがよくわかる文章です。唐沢俊一氏の興味は「交渉内容の公開」になかったことは明らかで、「内容の公開」が交渉を打ち切るほどの大問題だったのなら、こういうまちがいは、普通しません。
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#3:過大な要求の謎
唐沢俊一氏の文章より。
担当者から、そのような行為(引用者注:交渉内容の公開)を続けた場合は法的処置をとる可能性もある、と指摘したところ、先方は、これは恫喝である、とまたまたブログで主張。さらに通常の、このような場合の謝罪のレベルを大きく超えた範囲の要求までしてきた。
さて、もうひとつ大きな謎なのが、わたしがしたという「謝罪のレベルを大きく超えた範囲の要求」とは何か、という点です。
時系列的に言いますと、唐沢俊一氏サイドとわたしの間で、メールでの交渉がおこなわれたのが、2007年6月4日から7月27日まで。唐沢氏サイドから最後のメールがあったのが7月24日で、ここに以下の文章がありました。
なお、漫棚通信様において非公開に同意頂けず、本件にかかる交渉経緯等を公表された場合、公表された内容につき、事実又は弊社側の認識と相違している内容等があった場合、若しくは漫棚通信様において、弊社側より送信した通知内容をそのまま若しくは翻案してご使用した場合、弊社側としましては、これに対して反論し、又は法的措置をとることもありますので、ご了承下さい。
これに対し、わたしはそれに対して返答した7月27日付のメールで交渉中断を宣言し、「これは盗作とちゃうんかいっ・決裂篇」を書きました。
つまり、「法的処置をとる可能性」を告げられたあとすぐに、交渉中断がなされたのですから、わたしがさらに何かを要求をするタイミングは存在しません。
となると、唐沢俊一氏が言うところの「さらに通常の、このような場合の謝罪のレベルを大きく超えた範囲の要求までしてきた」とは、いったいいつの、何のことを意味しているのでしょう。これがどうもさっぱり、思いうかびませんのですよ。過去にさかのぼってわたしが提案した何かをさしているのかしら。
当事者のわたしにとってもこれが何か、意味不明なのですから、まして一般の読者にとっては何のことやらわからないでしょう。こんなことを書かれるのだったら、即時絶版回収とか一千万円の慰謝料でも要求しておけばよかったかな。
結局上記の文章は、唐沢俊一氏には、正確に書こうという意欲や能力、さらに論理的に考える能力が欠如しているのか、あるいは虚偽を書くのが好きなようにしか思えないのですが。
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#4:引用ミスとは何か
さて、今回の文章中、オチと言えるのがこれ。
これを認めると、今後、単純な引用ミスをおかしただけの同業者が、これを前例とした相手に過大な謝罪を要求されるという事態を招きかねない。
「引用ミス」とは、引用文をタイプミスしてしまったり、引用もとの文献や著者名をまちがえてしまったり、あるいは原著者の意図と違って誤読してしまったりすることを言います。これらが指摘されれば修正をおこなえばすむことで、だれからも「過大な謝罪」は要求されません。
唐沢俊一氏は、自分の行為も「単純な引用ミス」であると強弁したいようですが、それは一般に通じる理屈ではありません。
「唐沢俊一まとめwiki 」のおかげで、唐沢俊一氏の著書の多くが、コピペでできていることを知りました。自分の行為を「無断引用」「引用ミス」であると主張する唐沢俊一氏は、これからも盗用を続けることになるのでしょう。
唐沢俊一氏の脳内には、「単純な引用ミスをおかしただけの同業者」たちが、自分の後ろにずらっと並んでいるイメージが存在するようですが、それはすべて唐沢氏の妄想です。
普通に引用しているひとびと、そこにはわたしも含まれているのですが、彼らをあなたと同じに扱わないように。
唐沢俊一氏は妄想に基づいた粗雑な論理で何かを証明した気持ちでおられるようですが、このように唐沢俊一氏は空論の上に空論を重ねることをしているだけにすぎません。
「偽」の年の年末にふさわしい、偽作家が出した偽に満ちた本でありました。