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February 03, 2015

10年目のトリアッティ

 当ブログを本来のレイアウトで読まれているかたは、右のサイドバー、その上の方を見ていただくと、「特別企画:遠くから遠くまで」という記事へのリンクがあります。

 これは、白土三平『忍者武芸帳 影丸伝』の主人公・影丸の有名な言葉「われらは遠くからきた。そして、遠くまでいくのだ………」のモトネタをさがす、という主旨の記事です。2005年から2006年にかけて数回にわたって書いたもので、興味を持ったかたから多くのコメントをいただきました。

「遠くから遠くまで」は、パルミロ・トリアッティの言葉からとられたイタリア共産党のスローガンであり、複数の日本人がこの言い回しを使用していました。ただしその後のインタビューで、白土三平自身が、あれはゴーギャンの絵のタイトルを修正したもの、と証言しており、それなりのオチがついたのでありました。

 しかし1950年代の日本で、「遠くから遠くまで」は時代の気分を表現する言葉として、あちこちで使用されていたことも確かなことです。わたしとしては調べたり書いたり、いろいろとおもしろい体験をさせていただきました。

 ただひとつ、トリアッティがいつ、どこでこの言葉を言ったのか、これがつきとめられなかったのが心残りでした。

 そこへ。

 先日、長門裕介氏からメールをいただきまして、あの言葉は1947年9月26日、イタリア下院でのトリアッティの演説であると教えていただきました。おおっ。

 長門氏からは、これを報道する翌9月27日の新聞コピーも送っていただきました。

 トリアッティの演説。

Veniamo da molto lontano e andiamo molto lontano! Senza dubbio! Il nostro obiettivo è la creazione nel nostro Paese di una società di liberi e di eguali, nella quale non ci sia sfruttamento da parte di uomini su altri uomini.

 長門氏の訳によりますと、

われわれはとても遠くから来てとても遠くへと行く。間違いなく。私たちの目指すところは誰が誰に対しても一切の搾取を行わない自由で平等な社会である祖国を作ることだ。

となります。そうだそうだ、これですよ。こっちのフルバージョンこそ、影丸が言いそうな言葉じゃないですか。

 記事を書いてから10年。今になってこういうことがわかるとは。いろいろと感慨深いですねえ。ほんとうにありがとうございました。

 で、わたしもひさしぶりに「Togliatti, Veniamo」で検索してみると、あーらあっさりと「Wikiquote」の「Togliatti」のページにたどりついちゃった(イタリア語ですが)。

 このページの中ほどに、

Veniamo da molto lontano e andiamo molto lontano! Senza dubbio! Il nostro obiettivo è la creazione nel nostro Paese di una società di liberi e di eguali, nella quale non ci sia sfruttamento da parte di uomini su altri uomini. (dal discorso Per la sfiducia al IV Governo De Gasperi, Assemblea Costituente, 26 settembre 1947, in Discorsi parlamentari: 1946-1951, Camera dei deputati, 1984)

という記述があって、10年前にわたしがさがしていたことがここにさらっと書いてあるじゃないですか。「Wikiquote」はWikipediaが別バージョンとして運営しているもので、有名人の発言、有名作品からの引用、諺を集成しようとするプロジェクト。

 わたし10年前も「Togliatti, Veniamo」で一所懸命検索してたんですけどね、当時はイタリア語のサイトがぱらぱらっとヒットするだけで、欲しい情報にはどうしてもたどりつけなかったのですよ。いやーここ10年、インターネット上にはどんどん情報や知識が蓄積されてますなあ。

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Comments

 いや、まさか10年たってこんなふうに解決するとは思いませんでした。長門氏からメールがとどくとは。どうやってブログにたどり着いたのかも気になりますが。

 私も去年だったか一昨年だったか、トリアッティのあれ、イタリアの新聞調べりゃいいんじゃね、と思ったまま、また暇なときにでも・・・と今日にいたり驚愕、モヤモヤが晴れました。

 あの時、インターネットで検索しても全然、出てきませんでしたよねえ。
 それなりの施設なら、過去の日本の新聞をパソコンで読めるようにイタリアの新聞もパソコンで読めてしまう。
 やっぱり10年ってすごいもんだなあ。

Posted by: 入江 | March 06, 2015 at 12:22 PM

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