むかしむかし小学生時代、わたしが初めて、つけペンでマンガ(のようなもの)を描いてみたとき、こんなに使いにくい筆記用具があっていいのか、と驚いたものです。つけペンで挫折した人は多いのじゃないかしら。今はもう、よくできたボールペンとかデジタルとかがあるのですから、つけペンはマンガ用具の主役から降りてもいいと思いますけどね。
さてこれもむかしむかし、中学一年生になると万年筆デビューを果たす、という風習がありました。雑誌「中一時代」「中一コース」の四月号付録や全員プレゼントで万年筆を手に入れたひとも多いのじゃないか。
ところが当時の万年筆って書きあじの悪いこと。紙に引っかかりまくるしインクはボタ落ちするし。いっぽう鉛筆やシャープペンシル、ボールペンは、どんどんと進歩していきました。キーボードの日本語入力は段違いの速度で文章が書けるようになる。その結果、万年筆はいつのまにか日常文房具からはずれてしまった。
わたしも長らく万年筆なんか使ってませんでした。しかし最近、本を読むとき付箋をはるのをやめて、ノートにメモをとりながら読むようにしてみると、これがけっこういい。本の内容が頭によくはいるような気がするのですね。
最初は鉛筆を使ってたのですが、これだとノートを読み直すときちょっと読みにくい。字の薄さが気になります。そこでボールペン、というのもちょっと芸がないように思って、安価な万年筆を使ってみると、おお、これがなかなかいいじゃないか。
ニブ(ペン先)は金じゃなくてステンレス。軸も握りやすくなってるし、インクのボタ落ちはほとんどない、というかまったくなくなってる。紙に引っかかることもなく、さらさら書けてあたりまえ。いや、安物万年筆もずいぶん進歩しました。
最近は安価な万年筆が多く販売されてて、いろんな製品の書きあじを試してみたくなりました。コレクション、というわけではないのですが、手持ちの安物万年筆が次第に増えてきました。で、少しご紹介してみます。
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まずは細字部門、主に手帳用ですね。字が細い順に挙げていきます。
●パイロット:ペン習字ペン(EF) 定価500円+税

EFというのはエクストラ・ファイン。極細のことです。
このペン、じつはわたしのものじゃなくて、書道教室に通ってた娘が、ペン習字用として六年間使いたおしたもの。握り部分は三角形になってて握りやすい。スクリューキャップでインクは絶対に乾かさないぞっ、という意思が伝わってきます。この質実剛健さがいい。
カリカリという感じで、ムチャ細い字がきちんと書けます。わたしはパイロットの安い方のコンバーター(CON-20、定価200円)を入れて、セーラーの「極黒(きわぐろ)」というインクを使ってます。
●セーラー:ハイエースネオ(F) 定価1000円+税

セーラーの最安値商品。ペン先はF(細字)しかありません。デザインがこれどうよ、というくらい愛想がない。ただし、キャップはアルミでクリップもあるので胸ポケットにさせます。
完全に実用本位ですが、字を書くにはまったく不満なし。パイロット習字ペンに並ぶくらい細い字が書けます。少しスベリがいいでしょうか。
●パイロット:カクノ(F) 定価1000円+税

Fとはいっても各社で字の太さは違うので、これは書いてみないとわからない。カクノのFは手帳のメモに最適。字は細いのにスラスラ感があって気持ちよく書けます。
カクノはかわいく作ってあって、ニブにはにっこり笑った「顔」があるし、色はいろんなパステルカラーがそろってます。握り部分は三角形。ただしクリップがないので持ち歩きには難あり。
コンバーター(CON-50、定価500円)を装着して、インクはパイロットの色彩雫(いろしずく)シリーズの山葡萄(紫色です)を使用中です。
●ラミー:サファリ(EF) 定価4000円、実売2200円くらい

次はドイツ製。定価が4000円で、ここに登場する他の万年筆とは格が違うのですが、まあ安い方ということで。字の太さはEFですが日本のFとほぼ同じか、むしろ少し太いくらい。
これも手帳メモ用にぴったりで、カクノよりスラスラ感が上。しかもデザインと色がかっこよくって握り部分も三角形。クリップもついてて胸ポケットにさせます。
ラミー製のコンバーターを装着して、インクはラミー製のブルーブラックを使用中。赤いのが透けて見えるのはコンバーターの一部です。
●パイロット:ペチットワン(F) 定価200円+税

驚くなかれ、200円の万年筆。これがなかなかのスグレモノ。
字の太さはFだけですが、カクノのFよりやや太い。すごく短くて、キャップを尻にさして使います。短すぎてコンバーターは使えません。
ペン先には不満はないのですが、残念なことにペン重量が軽すぎる。万年筆にはある程度重量がないとかえって使いづらい気がします。長文を書くのは無理で、ちょっとしたメモ用です。
カラーペンという分類なので、多くの色のインクが選べますが、ブラックとブルー・ブラック以外は、アンダーラインとか欄外に少し書くときに使うぐらいでしょうか。
●プラチナ:プレピー03 定価200円+税

プラチナからも200円万年筆が出てます。03というタイプが細字。長さも普通で、プラチナ製のコンバーターも(一応は)使用可能(ゆるゆるでダメだったというレポートもあるようです)。
インクと同じ色に塗られたニブは本体に固定されてなくて、くるくる回ります。これは同じニブを使用した上位シリーズの「プレジール」(1000円+税)も同様。ちょっと安っぽいなあ。
書きあじは、なんていうのかな、キシキシする感じで、万年筆で書いてる感じがなくて不満。
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次は中字部門、ノート用です。
●パイロット:カクノ(M) 定価1000円+税

カクノのM(ミディアム、中字)はMのなかでは細いほう。ただし、ノートや手帳の紙によってはにじんで太めになってしまいますので、紙との相性が問題。基本、ノート用でしょう。
●無印良品:アルミ丸軸万年筆(F) 税込み1155円

ニブはシュミット社というところのものだそうです。ヨーロッパのFですから、日本のカクノのMより太くなります。この太さの字では手帳にはちょっときびしくなってくる。書きあじはすらすらかけてまったく問題なし。
アルミのシンプルなデザインがかっこいいです。適度な重さがあって長文を書くときにいいかもしれません。
●オート:F-スピリット FF-10F(F) 定価1000円+税

オート株式会社は日本の会社。これもニブはシュミット社製だそうですので、無印良品とはデザイン勝負ですね。
安物万年筆界では唯一、古典的万年筆スタイルで、こういうのも一本持っておきたい。
●ラミー:サファリ(F) 定価4000円、実売2200円くらい

ラミーのFはそこそこの太さがあります。じつはデザインがお気に入りなので、最近外出のとき持ち歩いてるのはこれ。毎年限定色とが発売されてるようです。
●プラチナ;プレピー05 定価200円+税

安いんだけど、キシキシ感がなあ。
これにはプラチナ製コンバーターを装着して、インクはセーラー極黒を入れてます。
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太字部門、葉書や手紙の宛名書きとかに。
●ラミー:abc(A) 定価2500円+税、実売1500円くらい

ラミーのabcにはAニブというのがついてまして、これ、子供用のニブだそうで、かなり太いですがヌケのいい線が書けます。ドイツでは子供時代から万年筆に触れさせるそうです。
学校で使うことが想定されていて、キャップには名前シールを貼る部分があります。軸は木製ふう樹脂、握り部分はゴム製ふう樹脂で指があたる部分にへこみあり。
●ペリカン:ツイスト(M) 実売1200円ぐらい

日本代理店では扱ってないようです。ペリカンのティーンズ向け万年筆(ドイツにはそういうジャンルがあるらしい)。「No Twist, No Fun」というコピーで売られてます。Mですがそうとう太い。
ねじれてるデザインが特徴で 握り部分は急峻な三角形。唯一無二のデザインでかっこいいのですが、書きやすいのかどうなのか微妙すぎる。
●ペリカン:ペリカーノジュニア(A) 実売1200円ぐらい

こちらは子供向けで名前シールつきです。インクカートリッジにはイラストが描いてあり、半透明軸からそれが見える、というすばらしいデザイン。握り部分は三角形でそこにも模様入り。
Aニブですが、ラミーabcのAよりずいぶん太い。インクフローも良すぎるかな。
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上記からわたしのお気に入りを選ぶとするなら、デザインと書きあじが両立しているパイロット・カクノとラミー・サファリということになります。
万年筆用のノートなら、ツバメノートの古典的大学ノートがにじみがなくていちばんですね。
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