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September 18, 2014

マンガの未来は電子にあり?『電子書籍で1000万円儲かる方法』

 タイトルが微妙な線をねらってますね。

●鈴木みそ/小沢高広(うめ)『電子書籍で1000万円儲かる方法』(2014年学研パブリッシング、単行本1400円+税、電子版税込1203円だったり1299円だったり販売サイトによって違います、amazon単行本kindle版

電子書籍で1000万円儲かる方法

 出版社より電子書籍をご恵投いただきました。ありがとうございます。

「電子書籍で献本」というシステムを初めて知りました。iBooksで「iTunes Card/コードを使う」という欄に教えていただいたプロモーションコードを打ち込んで電子書籍をダウンロード。ただしうちの初代iPadのiOSは5.1.1までしか対応しておらず、iOS 6.1を必要とするこの書籍はダウンロードすらできませんでした。

 電子機器を持っていても読めるとは限らない。電子書籍の献本というのも便利なんだかそうでないんだか。

 結局、帰省してきた娘のiPhoneを無理やり取り上げてダウンロードしました。iPhone上で本を読むという経験は初めてでしたが、1ページの文字数、少なっ。でもちゃんと読めましたよ。

 で、タイトル。「1000万円儲ける方法」ならいかにもでちょっと下世話。「儲かる方法」とすると、実際に儲かったんだよホントだよ、という感じになります。

 キンドル・ダイレクト・パブリッシングで年間1000万円の利益を得た鈴木みそと、アメリカアマゾンで日本マンガを最初にキンドル化したうめ。マンガを個人で電子出版した先達ふたりによる対談です。

 タイトルは「電子書籍」となってますが、実際のところ日本のマンガ文化とマンガ産業の話です。

 日本のマンガ産業が斜陽となっていることを実感するマンガ家ふたりが、マンガ家としていかにサバイバルするかを考えて、マンガ電子書籍のセルフ・パブリッシングに期待して実際にやってみた。その経験と今後の展望を語り合います。

 読者として想定しているのは、マンガ関係者、とくにマンガ家とマンガ家志望者。みんなでサバイバルしよう! という目的で描かれてます。

 章立ては五つ。第1章:マンガ業界こそ究極の“ブラック”だった、第2章:「脱・出版社」を実現するITサービスの進化、第3章:電子書籍時代の新・マンガ家入門、第4章:ネットで売れるマンガ家/クリエイターとなるために、第5章:これからのマンガ家が取るべき進路とは?

 第1章はこれまでのマンガ/出版業界の古い慣習について。

 マンガ家が自分のブログでアンケート投票をお願いしたら、不正であるとなじられたとか、マンガ家の書店営業がダメだったとか、単行本巻末に作家のメールアドレスを載せることが問題視されたとか。昔は編集者がマンガ家を囲い込んでましたからね。

 雑誌と作家は連載契約書を交わしていないから、雑誌から1号遅れの作品を作家がネットに掲載しても法律上問題ない、という話には目からウロコでした。

 第2章はごくかんたんなネットと電子書籍史、そして著者たちが実行してきたこといろいろ。

 この章と第4章で電子書籍のパッケージが語られます。まだまだ標準的なものが存在しないページ数と価格のバランスもそれに含まれます。

 一読者としての意見をいわせていただきますと、ページ数と価格のバランス以上に電子書籍に求めるものは、カラーページの再現です。日本マンガが雑誌連載を単行本化する形式はもうしばらく続くでしょう。紙の本がカラーページをモノクロで収録するのは仕方がないとあきらめてますが、電子書籍がそれを踏襲しているのを目にするたびに腹立ててますのでよろしくお願いします。

 第2章には、ほぼ失われてしまった日本のケータイマンガのフォーマットの話がちょっと出てきます。ただしアメリカの電子書籍コミックスは、タブレットで読むために日本のケータイマンガによく似た機能がついていて、拡大したコマからコマへ移動したり、横長のコマをスクロールしながら読むのが普通になってます。第5章には日本マンガの海外進出の話も出てきますが、この機能についてのコメントがないのはちょっと不満。

 第3章はデジタルでマンガ制作に関するTips等。

 第4章は売れる作家になるための助言。フォロワーを増やすために、作品内のキャラを立てろ、じゃなくて、作家としてのキャラを立てろ! という話には笑ったけどごもっとも。でも結局は、たくさん描くこと、作り続けることなんですね。

 第5章は将来予測と提言。現在プロのマンガ家に対しては、電子やネットの世界に出て行かざるを得なくなるだろう。そしてマンガ家予備軍に対しては、専業作家志望はとりあえずあきらめて、兼業作家をめざすように、というアドバイス。夢はないけど、現実的だけど、そうなるのかしら。

 日本マンガ産業の全盛期はすでにすぎています。マンガ家とマンガ文化がサバイバルするにはこの方向しかないのかなあ、と考えさせれます。わたしはやっぱり紙の本が大好きなんですけどね。じつに真摯な本でした。

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Comments

> カラーページの再現
 市川春子『宝石の国』第一巻の電子書籍版はカラーページ完全再現と謳っていますから、すこしずつかもしれませんがそちらの方向に進むのはまちがいなさそうです。

http://afternoon.moae.jp/news/199

 皆川亮二『ARMS』文庫版のインタビューによると氏は雑誌掲載時のカラーページも単行本用にモノクロ版を別途用意していたそうで、そういったものも電子書籍でカラー化されるとうれしいなあ。

Posted by: Sad Juno | September 19, 2014 at 12:47 PM

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