最悪の美しきホラー『かわいい闇』
表紙イラストでネタを明かしてます。
●マリー・ポムピュイ/ファビアン・ヴェルマン/ケラスコエット『かわいい闇』(原正人訳、2014年河出書房新社、2800円+税、amazon)
出版社よりご恵投いただきました。ありがとうございます。
原著のBDは2009年に発行されました。作画担当のケラスコエットは男女二人のユニット。そのうちのひとり、マリー・ポムピュイが考えたお話に、別の作家ファビアン・ヴェルマンが参加してつくりあげたシナリオ。つまり計三人がかかわっています。
表紙イラストをご覧ください。マンガタッチで描かれたかわいい女の子が野草の葉っぱの上に乗っかってます。野草とのバランスを見ると、この女の子はそうとうに小さい。妖精? その奥にはリアルタッチで描かれた少女が眠っている。
いやはっきりいいますと、このリアル少女は眠っているのではありません。森の中で死んでいるのです。
出オチじゃありません。ここからの展開がすごいったら。
小少女の名前はオロール。死んでいる大少女の名前もオロールです。小少女は、大少女の死体から這い出てきます。すなわち小少女は大少女の生まれかわり、大少女の死せる精神が凝固して生成された妖精なのです。
しかも。
大少女の死体から這い出てきたのはオロールだけではありません。彼女以外にも大勢の妖精たちが現れます。頭や身体の大きさもいろいろ、性格もいろいろ。同じ姿の三人組がいたり、まるきりオモチャの人形みたいな姿の妖精もいます。つまり映画トイ・ストーリーの世界みたいなもの。
彼女たちすべてが、死せる少女の短い人生経験から生み出された、彼女自身の精神的分身なのです。
妖精たちは賢く見えたりバカに見えたり、大人に見えたり子供に見えたりしますが、すべて死せる少女の分身。ですからみんな精神的に子供です。子供ですから、無知で無邪気で残酷。そんな彼女たちの行動と運命が読者に衝撃を与えます。
この妖精たち、なんと血肉を持った生物として描かれます。最初のショックは妖精の一人が猫に食べられてしまうシーン。次は彼女たちのひとりがウジを食物にするシーン。さらに妖精たちが共食いをするシーンにいたって、読者は平静ではいられなくなるのです。
この後、物語は森に放置させられた死せる少女の肉体がゆっくりと変化していくのを背景として、妖精たちが森の過酷な自然(鳥やネズミや虫たち)の中で生きていく、そして死んでいく姿を活写していくことになります。さらに妖精たちの内部では権力闘争もおきて……
描かれているのは自然そのものであり、自然の営為としての捕食であり腐敗であるわけです。頭でそれはわかってるつもりなのですが、マンガ的にかわいらしい外見の妖精たちがそれにかかわると、読んでるほうはどうしても生理的にやーな感じになってしまう。
しかしいっぽうで本書に描かれた自然、森の四季の移ろいはじつに美しい。本書は読者に対して踏み絵を強いています。あなたはこのマンガ、美しくも恐ろしい妖精物語をどう読むのか。
わたしにとってはこれまでに経験したことのないような、最悪で最高のホラーでした。傑作。











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