英国人が選ぶ日本マンガベスト150(その2)
本稿は下記のエントリの続きになります。
●漫棚通信ブログ版:死ぬ前に読むべき1001冊のマンガ
●漫棚通信ブログ版:英国人が選ぶ日本マンガベスト150(その1)
ポール・グラヴェット Paul Gravett 編『死ぬ前に読むべき1001冊のマンガ 1001 Comics You Must Read Before You Die: The Ultimate Guide to Comic Books, Graphic Novels and Manga』が選んだ日本マンガ150作、後半をどうぞ。
75 1990年 二階堂正宏 :極楽町一丁目
76 1990年 池上遼一/史村翔:サンクチュアリ
77 1990年 岩明均:寄生獣
78 1990年 相原コージ/竹熊健太郎:サルでも描けるまんが教室
79 1990年 木城ゆきと:銃夢
80 1990年 臼井義人:クレヨンしんちゃん
81 1991年 田中政志:ゴン
82 1991年 谷口ジロー:歩くひと
83 1992年 水木しげる:のんのんばあとオレ
84 1992年 竹内直子:美少女戦士セーラームーン
85 1993年 坂口尚:あっかんべェ一休
86 1993年 江川達也:東京大学物語
87 1993年 岡野玲子/夢枕獏:陰陽師
88 1994年 浦沢直樹:モンスター
89 1994年 内田春菊:私たちは繁殖している
90 1994年 古屋兎丸:パレポリ
91 1994年 松本大洋:鉄コン筋クリート
92 1994年 沙村広明:無限の住人
93 1995年 望月峰太郎 :ドラゴンヘッド
94 1995年 松永豊和:バクネヤング
95 1995年 貞本義行:新世紀エヴァンゲリオン
1990年代、2000年代になりますと挙げられる作品量が増えてきて、ぐっとブックガイドっぽくなります。池上遼一の一作が『サンクチュアリ』でいいのか。ここは『男組』か『I・餓男(アイウエオボーイ)』だと思うけどなあ。
『サルでも描けるまんが教室』の英題は『Even Monkey Can Draw Manga』ね。『ゴン』はサイレントマンガということもあって、欧米での評価がたいへん高い作品。
96 1996年 安野モヨコ:ハッピー・マニア
97 1996年 高橋和希:遊☆戯☆王
98 1996年 魚喃キリコ :ブルー
99 1996年 嶺岸信明/土屋ガロン:ルーズ戦記オールドボーイ
100 1997年 藤沢とおる:GTO
101 1997年 かわぐちかいじ:イーグル
102 1997年 尾田栄一郎:ONE PIECE
103 1997年 田島昭宇/大塚英志:多重人格探偵サイコ
104 1997年 新井英樹:ザ・ワールド・イズ・マイン
105 1998年 井上雄彦:バガボンド
106 1998年 水野純子:ピュア・トランス
107 1998年 伊東純二:うずまき
108 1998年 谷口ジロー :遙かな町へ
109 1998年 小林源文:Cat Shit One
110 1999年 花くまゆうさく:東京ゾンビ
111 1999年 高屋奈月:フルーツバスケット
112 1999年 矢沢あい:NANA -ナナ-
113 1999年 漆原友紀:蟲師
114 1999年 幸村誠:プラネテス
115 1999年 岸本斉史:NARUTO -ナルト-
『オールドボーイ』はカンヌでグランプリをとった韓国映画の原作として有名になりました。日本人読者にとってかわぐちかいじは当然『沈黙の艦隊』であるべきなのですが、『イーグル』はアメリカ大統領選がネタなので選ばれてるみたい。『フルーツバスケット』と『ナルト』は北米でビッグセールスを記録した両巨頭。
116 2000年 花輪和一:刑務所の中
117 2000年 羽海野チカ :ハチミツとクローバー
118 2000年 浦沢直樹:20世紀少年
119 2000年 黒田硫黄:セクシーボイスアンドロボ
120 2000年 松本大洋:GOGOモンスター
121 2001年 野中英次:魁!クロマティ高校
122 2001年 CLAMP:ちょびっツ
123 2001年 荒川弘:鋼の錬金術師
124 2001年 久保帯人:BLEACH
125 2001年 丸尾末広:丸尾地獄
126 2001年 二ノ宮知子:のだめカンタービレ
127 2002年 辰巳ヨシヒロ:大発見
128 2002年 木尾士目:げんしけん
129 2003年 小畑健/大場つぐみ: DEATH NOTE
130 2003年 浦沢直樹/手塚治虫:PLUTO
131 2003年 CLAMP :XXX HOLIC
132 2003年 あずまきよひこ:よつばと!
133 2003年 こうの史代:夕凪の街桜の国
『魁!クロマティ高校』って英訳されてんの?と思われるかもしれませんが、はい、ちゃんと英訳されてます。『丸尾地獄』は2000年代作品として選ばれてますが、日本での初版は1988年。
134 2004年 平本アキラ:俺と悪魔のブルーズ
135 2004年 石川雅之:もやしもん
136 2005年 吾妻ひでお:失踪日記
137 2005年 間瀬元朗:イキガミ
138 2005年 しりあがり寿:ジャカランダ
139 2005年 浅野いにお:ソラニン
140 2005年 若杉公徳:デトロイト・メタル・シティ
141 2005年 よしながふみ:大奥
142 2006年 横山裕一:トラベル
143 2006年 オノナツメ :リストランテ・パラディーゾ
144 2007年 五十嵐大介:海獣の子供
145 2007年 新井英樹:キーチ!!
146 2008年 根本敬:怪人無礼講ララバイ
147 2009年 諫山創:進撃の巨人
148 2010年 鈴木翁二:マッチ一本の話
しりあがり寿は重要作品が多すぎるのですが、個人的希望としては『真夜中の弥次さん喜多さん』を挙げてほしかった。横山裕一作品はサイレントマンガで、やっぱ海外ではサイレント強い。
かなり古い作品である根本敬『怪人無礼講ララバイ』や鈴木翁二『マッチ一本の話』が、なぜ2000年代にはいってるかといいますと、これらの作品を表題作にした短篇集がその年にアメリカで発売されたからですね。ちなみに英題はそれぞれ『Monster Men Bureiko Lullaby』と『A Single Match』です。
ですから本書の日本作品ラストは『進撃の巨人』です。英語タイトルは『Attack of the Titans』で、海外でもかなり売れてるそうですよ。
さてこうやって眺めてみますと、少女マンガとギャグマンガの絶対量が少なすぎるんじゃないかとか、手塚多すぎ?とか、山上たつひこや江口寿史はどうしたとか、平田弘史と岡崎京子がないっとか、いろいろと意見が出てきそう。しかしまあ、とりあえずこれが現代イギリスでの日本マンガ評価です。
こういうのを読んでると、これをたたき台に自分自身のベスト150を作りたくなってしまいますね。
◆
さて以下の作品は番外編として日本関連作品。
149 1931年 ヘンリー木山義喬:漫画四人書生
150 1947年 ミネ・オークボ:Citizen 13660
151 1994年 バル:太陽高速
152 2000年 フレデリック・ボワレ:ゆき子のホウレン草
ヘンリー木山義喬は鳥取県出身の画家で、『漫画四人書生』は日本で印刷されアメリカで販売された四コママンガ集。アメリカに留学/移民した四人の日本人青年のおこす珍騒動をユーモア豊かに描いています。
フレデリック・L・ショットにより再発見され、アメリカで英語版が発売。その後日本でも復刻されました。時代的には『のらくろ』と同時期の作品ですが、セリフが日本語と英語のバイリンガルで書かれてて、時代を百年ぐらい先取りしてます。
ミネ・オークボはアメリカ生まれ、日系二世の画家です。 『Citizen 13660』は第二次大戦中の日系人強制収容所での体験を絵と文章でつづった作品で、厳密にはマンガじゃありません。『市民13660号 日系女性画家による戦時強制収容所の記録』というタイトルで邦訳もあります。
グーグル・ブックスで少しだけなら読めますのでどうぞ。→(■)
バルの『太陽高速』は、かつて1990年代にフランス人BD作家が日本の雑誌「モーニング」に連載したBD。舞台は現代フランスで、日本人は登場しません。単行本は日本とフランスでほぼ同時に刊行され、あちらではアングレームで賞をとりました。
『ゆき子のホウレン草』のほうは日本在住のBD作家が、日本を舞台にして描いたBDです。これらの作品がもっと登場するようになると、国別分類はあまり意味がなくなるかもしれませんね。
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Comments
英訳されたマンガの中で選ぶと、こうならざるを得ないのでしょう。
少女マンガは、21世紀のヒットシリーズ(含BL)以外は殆ど英訳されていませんからね…萩尾望都が『トーマの心臓』なのも、これ以外は「半神」を含む短編集と裏焼きの11人いる!しかないから。ギャグマンガも同様です。
Cool Japanでマンガ推進が本気なら、ヨーロッパ語に翻訳されていない歴史的な作品を片っ端から英訳し、欧米の出版社に翻訳底本として無償提供することを最初にやるべきだと思います。
Posted by: nono_y | September 27, 2014 02:34 PM