死ぬ前に読むべき1001冊のマンガ
4月にはいっていちばんがっくりしたのが、米ダークホース社から発売予定だった、ミロ・マナラがアレハンドロ・ホドロフスキーと組んで描いたマンガ、『ボルジア家』。全三冊が一巻にまとめられこの4月に発売予定だったのが、突然発売が11月に延期されてしまいました。米アマゾンに予約してたのになあ。ちぇっ。
ただしそれと同時に注文してたものが到着して、これはほくほくもの。
●Paul Gravett編『1001 Comics You Must Read Before You Die: The Ultimate Guide to Comic Books, Graphic Novels and Manga』(2014年Universe Publishing、amazon)
タイトルがすげー。『死ぬ前に読むべき1001冊のマンガ』ときたもんだ。この挑戦は受けないわけにはいかない。
初版は2011年。品薄状態が続いていたため長らく高額な価格づけがされていたのですがこの3月末に再版され、今なら米アマゾンで13ドル、日本アマゾンでも1900円と信じられないぐらいお安くなりました。
960ページという枕にできるくらいぶ厚い本でハードカバー。画像も多くつるりんとしたいい紙つかってますから重い重い。
編者のポール・グラヴェットはイギリスのワールドワイドなコミックス研究家で、そのサイト「PAULGRAVETT.COM」は世界のマンガに興味のあるひとなら必読。彼は日本のマンガについての研究書も書いてますね。
『死ぬ前に読むべき1001冊のマンガ』のどこがすばらしいかというと、編集が経年的になっているところ。最初に登場するのが1837年ロドルフ・テプフェール『ヴィユ・ボワ氏』(英語版タイトルは「オバデヤ・オールドバック氏の冒険」)。次が1854年のギュスターヴ・ドレ『聖ロシア史』という音符を模したマンガ。これを「死ぬ前に読むべき」として挙げているというのがタダモノではない。
ラスト1001冊目は邦訳もされている2011年クレイグ・トンプソン『ハビビ』で終わります。
つまり本書は単なるガイドブックではありません。順に読むと世界マンガ史が概観できてしまうようにできてるのですね。
もちろん1001冊のうちには日本マンガも多く含まれています。ただし英語圏に知られている日本マンガにかたよっているのはしょうがない。最初に紹介される日本マンガが1931年ヘンリー木山義喬『漫画四人書生』、次が1934年阪本牙城『タンクタンクロー』です。両者とも英訳(というか前者はバイリンガル)されてますからね。
※すみません。よく読んだら1931年『のらくろ』が先頭に紹介されてました。でも『正チャンの冒険』は載ってないんだよなあ。
当然ですが『巨人の星』、『あしたのジョー』、高橋留美子やあだち充、こうの史代らも紹介されてます。日本マンガとして最後に登場するのは2009年『進撃の巨人』ね。
いっぽうで知らない国のマンガがあまりに多いのに愕然としてしまいます。韓国やインド、南米、北欧のマンガについてわたしたちはあまりに無知すぎる。
おそらく現在手にはいる世界マンガのガイドブックかつ世界マンガ史の教科書として、最高の一冊だと思います。さて細かく内容を紹介したいのですが、今は1001冊をノートに書き出してメモをとってる段階なので、本日は本の紹介だけで失礼。
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