ふわふわでぽかぽか『彼女のカーブ』
ジャケ買いというか表紙買いして正解!
●ウラモトユウコ『彼女のカーブ』(2014年太田出版、952円+税、amazon)
表紙イラストが裸の女の子でいっぱい、オビには「すけべでロマンティック」と書いてあるし、連載は「マンガ・エロティクス・エフ」だし。ということで、エッチに違いないと思って買ったのですが、それほどエッチじゃなかった。でも、買ってよかった。
短篇集です。一応、女の子のやーらかいカラダの一部を描く、というテーマがあって、オッパイとか、二の腕とか、耳たぶとか、脚とかですね。それがタイトル『彼女のカーブ』の意味です。
恋愛がテーマというわけでもなく、基本エッチじゃありません。どの作品も一種の会話劇で、日常のちょっとした謎やすれちがいが、会話の中で解決される。銭湯で出会う少女は幽霊なのか? 兄嫁はなぜあんなにわたしをイライラさせるのか? コンタクトを落としてメガネで外出することになった少女の一日の冒険は?
前作『椿荘101号室』は、出てくる登場人物が奇人変人ばっかりなのはいいとしても、主人公もある種の奇人なので、読んでるとちょっと疲れる作品でした。それと対照的に、本書の登場人物は比較的普通のひとが多いので、共感できる、ほっとできる作品となってます。
絵は描き込みを廃してさらっと描いたうまい絵。誰もが感じるように高野文子に似てます、というか、トビラ絵やトーンの使い方はわざと似せてる?
その絵とうまいダイアログが合わさって、ふわふわっとしててぽかぽかっとした気分になれる楽しい作品集でした。
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