ホラーというか何というか『アリスの家』
ほんとに出ちゃった三条友美ホラー短篇集、第二弾。
●三条友美『アリスの家』(2013年おおかみ書房、税込み1375円、通販サイト)
出版元からご恵投いただきました。ありがとうございます。
第一弾『寄生少女』についてわたしが書いた記事がこちら。→●漫棚通信ブログ版:ホラーはなんでもあり『寄生少女』
プロマンガ家が雑誌に掲載したものの、単行本化されない作品というのはいっぱいあるでしょう。それを個人制作の同人誌で1000部つくって、しかも売ってしまおう。しかも電子出版じゃなくて、あくまで紙の本にこだわって。本書も造本のクオリティむちゃ高いです。
この一見時代に逆行しているかのような試み。第一弾は千部完売で、みごとに成功したそうです。で、第二弾が本書です。何かこう個人出版として意義があるというか肝がすわってるというか。これってちょっとステキな話じゃないですか。
しかし作品そのものはあまりステキじゃない。なんせ三条友美ですから。今回も「どうかしてる」作品ばかりです。
とりあえず、通販サイトで内容の一部をご覧ください。
えー、まー、ホラーというか何というか。少女がいて、彼女の精神や肉体がムチャでスプラッタなことになる。でもってスーパーナチュラルなオチがあると。ともかくスーパーナチュラルにしておけば、あとは何があってもオッケーなわけです。
三条友美の絵を文章で描写するのもあれですので、擬音だけでも。「サクッ」「ピュウ~」「ズズ」「ゴボゴボ」「ヌポッ」「グチャッグヂャ」「キキッキリギリギリ」 人体破壊と人体改造の極ですが、登場人物たちの精神のほうがもっと心配。掲載誌の「ホラーM」って本来、少女向けのホラー誌じゃなかったっけ。
こういう作品はぜひ千部きちんと売れてほしいです。出版元の「なめくじ長屋奇考録」にもリンクしておきますね。
あなたが好きじゃない作品でも、その存在は許してほしい。それが健全な社会だと思うのですよ。
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