『このマンガがすごい! 2014』補遺
●『このマンガがすごい! 2014』(2013年宝島社、500円+税、amazon)
前回のエントリでオンナ編1位にちょっと難癖をつけてしまいましたところ、『さよならソルシエ』の雑誌連載は、2013年8月28日発売の「flowers」10月号で完結しとったやないかーい、とコメントをいただきました。
ごもっともでございます。となりますと、各選者のかたがたが雑誌での完結を知ったうえで投票されたかどうか、ですね。というわけではないのですが、選者のコメントを細かく読んでました。
みなさん、いろんな作品を挙げられてますねー。白山宣之『地上の記憶』に票がはいってるのに驚いた。ドリヤス工場けっこう人気。村上もとか『フイチン再見』はまだ1巻しか発売されてないのに、票が集まりすぎじゃないか。それにしても、こうの史代『ぼおるぺん古事記』をオンナ編に分類するのはどうなのか。
さて今年の「このマンガがすごい!」のシステムは各選者が5作品を挙げ、1位10点、2位9点、以下同様に5位が6点。さらにオトコ編の選者もオンナ編に一票を投じることができ、これは5点という設定です。その他に各界の選者が同様の点数で投票してます。
『さよならソルシエ』の総得票は86点。うちわけは以下のとおり。
●あの人(各界有名人)が選ぶ:なし
●雑誌編集部が選ぶ:なし
●大学漫研が選ぶ:なし
●マンガ家のタマゴが選ぶ:なし
●Under-18が選ぶ:なし
●書店員が選ぶ:22店舗中4店舗が投票。計34点。
○喜久屋書店(3位8点):続きがとても気になる。
○とらのあな(1位10点):芸術が特権階級だけのものだった時代におけるゴッホ兄弟を中心とした物語。ゴッホ兄弟の距離感が魅力的な、男性にも文句なしにオススメできる作品です。
○星野書店(2位9点):弟の葛藤がたまらんです。
○宮脇書店(4位7点):コメントなし。
●各界のマンガ好きが選ぶ:オトコ編選者49名中1人、オンナ編選者43名中5人が投票。計52点。
○宇都宮崇史(5点):コメントなし。
○オオタシンイチ(2位9点):まとめることに腐心しすぎた(2)の後半にやや抵抗を感じたが、さすがのラスト。
○藤本由香里(2位9点):開幕の、瞠目するほどの鮮やかさ! これが新人とは。
○ミソノ(1位10点):「ハラハラ」と「じんわり」が詰まった物語。テオの美青年ぶりに胸をわしづかみされる。
○もみちゃん(2位9点):今年の顔の作品。
○鷲谷智慧(1位10点):昨年のランキング結果から、すっかり穂積先生のファンとなりました。こんな少女マンガ見たことありません!
本作に投票したひとが少ないと感じられるかもしれませんが、毎年、トップの得票率はこんなものです。上位に投票するひとが多いかどうかで順位がころころ変わるのが、こういう限られた選者によるベストテンの楽しいところでもあります。オトコ編1位の『暗殺教室』に投票したひとだって、書店22店舗中3店舗、オトコ編選者49名中8人ですからね。
『さよならソルシエ』については、はっきりとラストまで読んで投票してるとわかるのはひとりだけ。これは1巻だけしか読んでないとはっきりしてるのもひとりだけ。でもううーん、やっぱみんなラストまで読んで投票してるわけじゃなさそうだなあ。
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Comments
藤本先生、失礼しました。ダ・ヴィンチでもソルシエを挙げてられましたね。海外のベストテンも毎年同じ作家ばかり選ばれてたりしてますし、ベストテンシステムの不完全なところをおもしろがってると思ってください。わたしとしては「かくかくしかじか」は、2巻のほうが心に響きました。
Posted by: 漫棚通信 | December 12, 2013 11:46 PM
私は最後まで読んで投票していますよ。1巻目に比べて2巻目はやや…という感じですが、総合評価です。コメント欄が昨年よりさらに字数が減っているので、一番いいところだけ言っています。だいたい雑誌で読んでいるので、その印象で、1年早く上げてしまうこともよくあります。昨年、「かくかくしかじか」誰もあげないなあ、と思っていたら、今年、ベスト10にあがっていました。
Posted by: 藤本由香里 | December 12, 2013 11:02 PM