ほんとにやなヤツ『スティーブ・ジョブズ』
ヤマザキマリ『スティーブ・ジョブズ』1巻を読んだわけですが。
●ヤマザキマリ/ウォルター・アイザックソン『スティーブ・ジョブズ』1巻(2013年講談社、619円+税、amazon)
いやびっくりした。ヤマザキマリってこんなにマンガがうまかったんだ。どちらかというとアイデアのひとで、演出のひとじゃないと思ってたんですよ。失礼しました。わたし認識をあらためました。ごめんなさい。
原作は評伝というか自伝というか、ご本人公認の伝記。これをいかにマンガにするか、マンガ家のウデの見せどころ、なのでしょうが、本書はけっこうなデキ。
文章の本をマンガにするにはいかに削るかがタイヘンだと思うのですが、ここまですらっと読めるように削り、連載一回分でも山と谷があっておもしろい。しかも次回へのヒキを忘れない。
さらに背景や小物や機械のいろいろまで、じつにそれらしく描かれてる。田舎は田舎らしく都会は都会らしく機械は機械らしく70年代は70年代らしい。
そしてなんといってもすばらしいのがキャラクター。
ヤマザキマリは『テルマエ・ロマエ』でもトミー・リー・ジョーンズをマンガのキャラクター化してましたが、本書でもわたしたちの知ってるスティーブ・ジョブズがそのままの顔と姿で歩いてしゃべってます。ただの似顔絵じゃなくて、ちゃんとマンガのキャラクターとしてそこに生きてる。
しかもこのジョブズが、いやないやないやな、とんでもなくやなヤツなんですよ。ヒトコマヒトコマの絵が、エピソードの積み重ねが、ジョブズのやなヤツぶりをあぶりだしてる。
本書を読んだ百人が全員、ジョブズを嫌いになることまちがいなし、というくらいやなヤツです。ほんとにそういう評判のひとだったんでしょうが、マンガも容赦ないっす。もうひとりのスティーブであるウォズニアックがいかにもいいひとに描かれてるのと対照的ですね。
このやなヤツが後年、いかに偉業をなしていくか。ちょっと目が離せない感じです。こういうマンガが女性向けの「Kiss」に連載されてるんだからなー。ヤマザキマリに依頼したひともえらい。
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