紙のお仕事
ちょっと自分語りしてもいいすか。
わたし2003年からネット上で漫棚通信と名のって文章を書いてますが、紙媒体にも少しだけ書かせていただいたことがあります。
初体験が、飛鳥新社の今はなき雑誌「dankaiパンチ」の2007年8月号。最初は「団塊パンチ」の名で創刊された雑誌ですね。新刊マンガレビューとして、吉田秋生『海街diary』1巻と岡崎二郎『宇宙家族ノベヤマ』1巻をとりあげました。
連載ワク予定だったのですが、担当編集者のかたの退社とかいろいろありまして、結局一回きりの掲載。じつはちょうどその時期に唐沢俊一氏による盗作騒動があって、ばたばたしてる最中のお仕事でした。しかしライターさんたちはタイヘンだなあと感じるところがあり、貴重な体験をさせていただきました。
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ミニコミ誌「漫画の手帖」には、お誘いを受けて2009年からテーマを決めない(といっても当然ながらマンガネタですが)エッセイを寄稿させていただいてます。
これまで書いたもののタイトルを記しておきますと、
●みーんな「COM」に投稿していた:「漫画の手帖TOKUMARU 3号」2009年2月
●マンガの中の先輩後輩:「漫画の手帖57号」2009年8月
●日本人をどう描くか:「漫画の手帖58号」2009年12月
●『ジャングル大帝』のわき役たち:「漫画の手帖TOKUMARU 4号」2010年3月
●ローランドソンのこと;「漫画の手帖59号」2010年7月
●ショーン・タン『到着』のやさしさとたくましさ:「漫画の手帖60号」2010年12月
●アメリカの少女マンガ、のようなもの『トワイライト』:「漫画の手帖TOKUMARU 5号」2011年3月
●おかしなおかしな『スコット・ピルグリム』:「漫画の手帖61号」2011年8月
●木村政彦と柳勘一:「漫画の手帖62号」2011年12月
●調べものいろいろ:「漫画の手帖TOKUMARU 6号」2012年1月
●イタリアのエッチなマンガ:「漫画の手帖63号」2012年6月
●ティワナ・バイブル 世界初のエロ系二次創作マンガ:「漫画の手帖64号」2012年12月
●エロティックマンガの巨匠ミロ・マナラ:「漫画の手帖TOKUMARU 7号」2013年1月
●アメコミのオフィシャル二次創作:「漫画の手帖65号」2013年5月
まとめて読み直してみましたが、いやーわれながらおもしろいわ(←なんだろねバカですみません)。じつは自分の文章のいちばんのファンは自分なもので。
ちょっとだけ内容を紹介しておきます。
「COM」ネタは、それ以後の「COM」再評価より前に書いたもの。ショーン・タン作品も『アライバル』として邦訳される前の紹介ではあります。
ローランドソンとはイギリスの風刺画家トマス・ローランドソンのこと。たいていの世界史教科書にその風刺画が載ってて誰もが目にしたことがあるはず。このかた、いっぽうでエロマンガの大家でして、大量のエロティックアートを残してます。
ティワナ・バイブルというのは、第一次大戦後からアメリカで流通した小冊子形式のエロマンガです。既成マンガのパロディが多く、ミッキーマウスがミニーと、ポパイがオリーブと、エロエロなことをしてます。
Tijuanaはメキシコの地名で、英語読みでティファナ、スペイン語読みでティワナと発音するらしいので、どういう表記にしようか迷ったのですが、一応ティワナにしてみました。
「木村政彦と柳勘一」は、バロン吉元『柔侠伝』シリーズに登場する、木村政彦がモデルのキャラクター三人についてのお話。
『トワイライト』はステファニー・メイヤーによるアメリカ製ラノベのマンガ化。ドジでマヌケなわたしが美形のヴァンパイアとたくましい狼男から愛されてしまい、さあ困ったわ、というどうでもいいようなお話。日本では映画のほうが有名ですね。
マンガ版は日本では商業上惨敗で、第一部の上巻が邦訳されただけです。でも世界各国では大人気で現在も続編が刊行中。絵を担当してるのは韓国人マンガ家のかたで、じつは日本人読者の目からはできがあんまり良くありません。
でも世界中で絶賛なんだからなあ。というのは最近の竹熊健太郎先生による、世界市場で負ける(かもしれない)日本マンガ、という話に通じるところがあるかな?
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雑誌「フリースタイル」からはご依頼があって、年末ベストテン「このマンガを読め!2010」のアンケートから参加させていただいてます。
●「THE BEST MANGA 2010 このマンガを読め!」(2009年12月)
●「フリースタイル14号 THE BEST MANGA 2011 このマンガを読め!」(2010年12月)
●「フリースタイル17号 THE BEST MANGA 2012 このマンガを読め!」(2012年1月)
●「フリースタイル21号 THE BEST MANGA 2013 このマンガを読め!」(2013年1月)
最初の2010年ベストワンに挙げたのがアラン・ムーア/エディ・キャンベル『フロム・ヘル』なんですから、われながら初志貫徹してる。このころから海外マンガ邦訳が盛んになっていきます。
フリースタイルからはその他にも原稿依頼をいただき、「フリースタイル18号」(2012年4月)にも、「大人になったアニー」という文章を寄稿させていただきました。
ミュージカル「アニー」のモトネタである古典マンガが「リトル・オーファン・アニー」。そのパロディが「リトル・アニー・ファニー」でした。
「リトル・アニー・ファニー」の作者、伝説のマンガ家/編集者であるハーヴェイ・カーツマンを紹介した文章。
でも1970年代ならともかく、カーツマンに興味のある読者は21世紀の日本にはいないのじゃないか。とかいいながら、漫棚通信はしつこくそっち方面を紹介し続けるのでありました。
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