歴史+競馬マンガ『竜蹄の門』
わたしはどちらかというとトンがったマンガが好きなのですが、こういう作品を読むとちょっとほっとしますね。
●やまさき拓味『竜蹄の門』1・2巻(2013年リイド社、各590円+税、amazon)
出版社からご恵投いただきました。ありがとうございます。
競馬マンガを描き続けてきた作者の新しい挑戦は、歴史マンガ。日本の近代競馬は幕末の横浜居留地で始まったそうですが、伝説の名馬として知られているのが「バタヴィア」(血統不明)です。
本書はそのバタヴィアを題材に描かれたフィクションです。バタヴィアの騎手となるのは「光たづな」という名の、岩手南部藩の少年武士。作者の代表作『優駿の門』の主人公、光優馬のご先祖という趣向ですね。
本作は「コミック乱ツインズ」という比較的高齢者向けのマンガ月刊誌に連載されてます。しかし展開や描写は、まあなつかしいこと、古典的少年マンガのノリです。熱血かつハートウォーミング。
攘夷をとなえて過激派になった親友、とか、恩人の死、婚約者との悲劇的別れ、などの劇的展開もあるのですが、全体的にはのんびりしてる。登場人物に善人が多い、というのがいちばんの理由かなあ。
2巻の終わりでバタヴィアは岩手県から横浜に移動して、やっと馬主になる横浜ホテルのオーナーに出会ったところ。レースは神社の境内を走る古式競馬をひとつ走っただけ。おもしろくなるかどうか、まだまだこれからのことなのですが、幕末明治の有名人が登場するような伝奇的要素も入ってくるかもしれない。構想はすごく雄大で意欲的なので、今後に期待、ですね。
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