中国的ベストセラー『ひとりぐらしも5年め』
書店に行くと、ビニールのかかっていない、シュリンクされてないマンガ、の棚があります。益田ミリとか『ダーリンは外国人』とか、女性に人気のオシャレ系というかイラスト系というかエッセイ系というか、そっち方面のマンガが棚にずらっと並んでます。
こういうマンガがヒットしますと、ロングセラーになるみたいですね。そこそこ評判になっても、数年、早ければ数か月で書店から消えてしまうマンガもあるというのに、それとは対照的。
たとえばこれ。
●たかぎなおこ『ひとりぐらしも5年め』(2003年メディアファクトリー、980円+税、amazon)
初版が2003年発行で、私の買ったのが2012年発行の23刷。ここ十年、おそらく途切れることなくずっと書店の棚にささっていたのでしょう。すごいなあ。
内容はエッセイコミックというかイラストエッセイというか。20代女性が東京でひとり暮らしを始めると、買い物や炊事がどんな感じになるか、うっかり怖いビデオを見てしまってタイヘンとか、病気になるにも用意がいるとか、そういうあるあるネタ、日常ネタを扱ってます。
判型が変形、ほとんどのページが二色か四色でつくりもオシャレ。じつをいうとオッサン読者としてはおもしろいかどうか微妙なところで守備範囲外なのですが、アマゾンのカスタマーレビューを読みますと、女性からの共感のコメントばかりです。なるほどー、女性読者にうけるのか-。
さて著者のたかぎなおこさん、じつは中国でベストセラー作家となっています。
●中国アマゾンで「高木直子」を検索→(※)
ほとんど全著作が中国語訳されています。オビの「百万冊突破!」が誇らしげ。
しかもカスタマーレビューの数がハンパない。200、500はあたりまえ。『ひとりぐらしも5年め』にいたっては1700超(!)のカスタマーレビューが書かれてて、ほとんどが絶賛。
●中国アマゾンの『一个人住第5年』のページ→(※)
中国語のマンガ本は左開きですから、一部を左右逆版にして翻訳してるようですね。
わたしが一年前にこの本を検索したときはカスタマーレビュー数が1600でしたから、ここ一年で100以上のカスタマーレビューが書かれたことになります。ベストセラーにしてロングセラーなのです。
中国は人口が多いからそれくらいあたりまえ、と思われるかもしれませんが、たとえば中国の超人気作家・郭敬明のベストセラー小説「小時代」完結編のカスタマーレビュー数が1200です。この1700という数字がどれだけすごいか。
日本に劣らず、というか日本以上に、中国ではこのひとり暮らしエッセイが、女性の共感を得ているのです。
作品内には日本ローカルなネタが多いのですが、それも含めて受け入れられているようです。女性の考えかた、感じかたは国境を越えてよく似てる、ということでしょうか。
Comments