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January 11, 2013

海外マンガを買う話

 えーと子ども時代からずっと日本マンガを読んできた自分ではありますが、海外にもマンガが存在するらしい、しかもそれがなかなかおもしろいらしい、ということをなんとなく知ったのが小学生のころ。

 それは小野耕世のコラムで読んだ、ような気がします。虫プロの雑誌「COM」1968年4月号から連載開始された「海外まんが紹介」の第1回は「スーパー・アンチ・ヒーロー『スパイダーマン』」でした。海のむこうでは何やら新しいことが起こっているらしい。

 1968年には「少年ジャンプ」が創刊され、創刊号からアメコミ邦訳が掲載されました。これで日本でのアメコミ人気が爆発、というようなことはありませんでした。少年ジャンプのアメコミ邦訳は、人気マンガ家をそろえられなかったための穴埋め企画でした。

 講談社はもっと意欲的で、池上遼一による日本版『スパイダーマン』が「別冊少年マガジン」に連載開始されたのが1970年1月号から。西郷虹星による日本版『ハルク』が「週刊ぼくらマガジン」に連載開始されたのが1970年11月24日号から。

 そして「SFマガジン」で小野耕世のコラム「SFコミックスの世界」が始まったのが1971年のこと。

 このあたりでわたしの頭に、世界のマンガには日本のそれ以上にすぐれたものがあるらしい、というのが刷りこまれてしまったようです。いいなー、おもしろそうだなー、読んでみたいなー。

 以後、光文社とかスターログとか小学館プロダクションとかメディアワークスとか、断続的に海外マンガの小さな邦訳ブームが訪れては消えていきます。

 そのころのわたしは邦訳された海外マンガを買っていただけでしたが、インターネットの普及で状況が変わりました。

 ADSLとか光とかはまだ出現していませんでしたが、海外でネット通販が盛んになり、日本からも注文できるようになったのです。居ながらにして世界の本(わたしの場合もちろんマンガですが)が手にはいる!?

 わたし喜んでアメリカアマゾンやバーンズアンドノーブル、ファンタグラフィックス社にネット注文するようになりました。アメリカアマゾンの記録を見ると、わたしが初めてアメリカアマゾンに注文したのが1997年のこと。

 最初に買ったのが、フランク・ミラー『ザ・ダークナイト・リターンズ』、それとアラン・ムーア/デイヴ・ギボンズ『ウォッチメン』、チャールズ・アダムスの画集、士郎正宗『攻殻機動隊』の英訳本、計四冊を注文してます。

 その次の注文では、アレックス・ロス/マーク・ウェイド『キングダム・カム』と、アメリカのコミック・ストリップの研究書と、『オーバーストリート・コミックブック・プライス・ガイド』(毎年発行されてる、アメコミ古書の相場が書いてある本)を買ってますね。十数年前も今も、やってることがいっしょですな。

 北米大陸横断はトラック、太平洋は船便。注文から到着するまで一カ月超はあたりまえ。送料もそこそこかかります。それでもそれだけの価値がありました。

 同時期に日本でも紀伊國屋がネット書店をオープンしていて、洋書注文窓口の選択肢が増えていました。でも品揃えはやっぱアメリカアマゾンのほうが上でしたね。

 そして2000年になって日本アマゾンがオープン。一冊の価格はアメリカアマゾンより高くなるのですが、送料がほとんどかからないし、なんつっても届くのが速い。アメコミを本国での発売とほぼ同時に購入することも可能になったのです。

 ただしその後もアメリカアマゾンの利用は続けてます。日本アマゾンで買うより、送料を足してもそうとうお安くなることがあって、そういうときは到着に時間がかかるのは覚悟の上でアメリカアマゾンで買ってます。あとエッチ系コミックスは日本アマゾンじゃ扱ってないので、本国に注文することになりますね。

 フランス語、スペイン語、イタリア語のマンガに関しては、アメリカアマゾンじゃなくてフランスアマゾンやイタリアアマゾンで買ったりできるようになりました。ヨーロッパ言語の本はヨーロッパで買うほうが品揃えがいいです。ただし送料は高めなのはしょうがないですし、これも船便でやってきます。

 中国語マンガに関しては、今のところ中国アマゾンの海外への送料がやたらに高いので、中華本を専門にしてる日本の書店のほうがずいぶんお安くなりますね。

 とまあ現代では、日本にいてもやる気(と語学力)さえあれば世界のマンガのトレンドをリアルタイムで観察できるわけです。いやー、こういう時代がくるとは。

 さてこれからは電子書籍でしょう。少なくとも古いマーヴェルコミックスなどは、相当な量が電子書籍化されてますし、新作のグラフィックノヴェルも紙の出版と同時に電子化されることが多いみたいです。時代はどんどん変わってるなあ。

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