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November 05, 2012

現代社会は生きにくい『地球の放課後』

 『地球の放課後』最終6巻が発売されてたことを見落としていました。で、最近買ってきたわけです。

●吉富昭仁『地球の放課後』全6巻(2010~2012年秋田書店、各552円+税、amazon

地球の放課後 6 (チャンピオンREDコミックス)

 文明崩壊モノと呼べばいいのかな、天変地異、宇宙人襲来、核戦争、パンデミック、ゾンビ、原因になるものはいろいろ考えられますが、その結果、文明が崩壊し、主人公たちだけが世界に取り残されるというお話。

 当然ながらほとんどの作品が、ディザスターをメインにしたり、ホラーやサスペンスを前面に押し出した作りになるわけですが、本作は違った。

 ファントムという怪物に襲われて人類が滅亡した世界。生き残ったのが少年ひとりと美少女三人。文明は崩壊してるけど、世界はそれほど荒廃しておらず、けっこう清潔で食事にも困らない。レジャーもけっこうあったりするし。

 ファントムが襲ってきたり、謎の事件がときどき起こったりするけど、それなりにおちついててのんびりした日々が続きます。最終巻では伏線はきちんと回収され、世界の謎は明らかに。SFとして破綻なく終了します。

 文明崩壊モノとしてはありえないほどのお気楽さ。そこがたんたんとしてて楽しかった。男ひとりに女の子三人のハーレムマンガでもあります。エロといえるほどの描写はなくて、そこものんびり。

 ちょっと似た感じの作品に「ゾンビランド」という映画があります。ゾンビのために荒廃した世界に生き残った、ひきこもりのオタク青年が主人公。彼はこの文明崩壊後の世界で、旧世界では絶対出会えなかったような自分を愛してくれる女性(エマ・ストーンかわいい)とたくましく生きていくことになります。

 本来、文明崩壊後の世界はヒトが生存するにはとんでもなく過酷であるはずなのですが、これらの作品ではそこには目をつぶり、現世をリセットしたある種のユートピアとして描かれます。

 つまり逆にいうと、現世がどれだけつらいところか、生きにくいところか、ということですね。現代人にとってこの世に生き続けるくらいなら、文明崩壊後の世界の方がまし、なのかも。

 アメリカでなぜゾンビがブームになってるのかは正直よくわからないのですが、日本の文明崩壊モノにはそういう気分がきっとあると思うのですよ。

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