イタリアーンなマンガ:悪魔女王ルチフェラ
1960年代から1970年代にかけてのイタリアのエロマンガには、「女も男もオッケーなターザン」とか、「セックスを武器として闘うナチ特殊部隊に入隊した女性の冒険」とか、いろんな作品がそろっていて、いやもうあれもこれも読んでみたくなるわけですが、こういうのはネット上で紹介はされていてもマンガの現物にはなかなかお目にかかれません。イタリアやフランスの eBay (ヤフーオークションみたいな大手サイト)には古書として出品されてはいますが、さすがに日本から参加するのはちょっとねー。
しかし先日、海外の iTunes store をさまよっておりましたら(日本では入手困難な海外マンガをいっぱい売ってるのですよ)、なんとごく最近になって、イタリアのエロティックマンガが電子書籍として販売され始めたのを知りました。いやー、そういう時代になったか。
アメリカやイタリア、フランスなどで同じものが販売されてますが、リンク先はアメリカの iTunes store です。
●「女吸血鬼ジャキュラ」1巻
●「悪魔女王ルチフェラ」1巻
●「悪魔女王ルチフェラ」2巻
●「悪魔女王ルチフェラ」3巻
これらはすべてフランス語版。あと「ルチフェラ」1巻をカラリングしたイタリア語版も発売されてます。
ただしカラーのイタリア語版は乳首をすべて修正してあって、ダメダメですな。
アップルはエロにきびしいそうですが、どういう基準なんだろ。
日本在住のカスタマーは日本の iTunes store しか利用できないことになっていて、これらの作品を入手するにはいろいろと裏技が必要なのですが、そこをなんとかクリアして iPad の iBooks から購入して読んでみました。
「ジャキュラ」についてはすでにご紹介しましたので、本日は「ルチフェラ」について。
「悪魔女王ルチフェラ Lucifera 」はイタリアエロマンガを代表する作品のひとつ。イタリアではレンツォ・バルビエリとジョルジオ・カヴェドンの出版社から、1971年から1980年にかけて全170巻が刊行されました。
ほんとは「女王」じゃなくて悪魔の眷属なんですが、「魔女」でもないし、名前がルシフェルの女性形なんで「悪魔女王」と名づけておきますね。
初期に絵を描いてるのはイタリアエロマンガ界の巨匠、レオーネ・フローロ。というかフローロはこの「ルチフェラ」を描いて以降、エロの巨匠になりました。
フローロは「ルチフェラ」の1号から15号までを担当したあと、バルビエリが独立してつくった出版社に移籍して「白雪姫ビアンカネーヴェ」を描き、さらに人気を得ることになります。
それでは「ルチフェラ」のストーリーをご紹介。最初はファウストで始まります。
舞台は中世ヨーロッパ。老境にいたり人生に絶望したファウスト博士は、荒野に住む魔女を訪ねます。魔女は魔王サタンを呼び出し、ファウストはサタンと契約して自分の魂とひきかえに若い肉体を手に入れます。
サタンは地獄に戻り、愛妾であるルチフェラに命じます。ファウストに最高の快楽を与えるように。ファウストが人生に満足すると、彼の魂は地獄に落ちるのです。
人間界に向かったルチフェラは若返ったファウスト博士の家に雇われ、彼を誘惑する。
ある日ファウストは美しい娘、マルゲリータに恋してしまいます。ところが人間界に現れたサタンが、悪魔の力を使いマルゲリータを陵辱してしまう。
そこに登場するのが七人のこびと。サタンの目を盗んでマルゲリータを救い出します。マルゲリータは感謝のしるしに七人のこびとと集団エッチ(どういう展開やねん)。
怒ったサタンは七人のこびとを皆殺しにして、マルゲリータを地底に住む一つ目の怪物、サイクロップスに与えてしまいます。
セックスに疲れて眠り込んだサイクロップスの目をつぶして逃げ出すマルゲリータ。ファウストと再会したとき、彼女は妊娠していました。一時は絶望したファウストですが、彼女の出産に協力します。
しかし、彼女の生んだ美しい赤ん坊の額には、二本の角が生えていたのです……!?
とまあ「ローズマリーの赤ちゃん」的なお話になって、ゲーテのファウストとはどんどんずれていきます。
この間にルチフェラが何をしてるかというと、ファウストとエッチしたり、サタンの命令で女妖精とエッチした上に殺したり、マルゲリータを救いに地底に向かったファウストの邪魔をしたり助けたり、といろいろと暗躍するわけです。
こういう古典的作品が iPad で手軽に読めるのはじつにけっこうなことですな。170巻は無理でも、もうちょっと続きを出してくれないかな。
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