« ゆっくり読むべし『モンスター』 | Main | マンガの色についてふたたび »

January 01, 2012

謹賀新年

 あけましておめでとうございます。とかいいながら、この文章は酔っぱらって紅白見ながら書いてるので、ほんとはまだあけてませんが。

 東京の大学に進学した娘が帰郷してやっと「輪るピングドラム」について話す相手ができてうれしい。

 さて2011年はアメリカやヨーロッパの海外マンガ邦訳が盛んになった年でした。

 その理由はいろいろあるとは思いますが、まずは(1)諸氏による数年にわたっての地道な海外マンガ紹介の結果。そしてその結果(2)海外マンガ出版がある程度商売になる、ようになったのじゃないかしら。よく知らんのですが。

 年末の大物はフランソワ・スクイテン/ブノワ・ペータース『闇の国々』(2011年小学館集英社プロダクション、4000円+税、amazon)ですね。

闇の国々 (ShoPro Books)

 お値段もそうとうですが、すっごいぶ厚いハードカバーで邦訳出版されました。小学館集英社プロダクション強気。

 絵を担当してるフランソワ・スクイテン François Schuiten はかつてフランソワ・シュイテンと紹介されていました。美術出版社の「エラー」1号・2号や、飛鳥新社の「アディダス・マンガ・フィーバー」「JAPON」ではそうでしたね。ブノワ・ペータースと組んだそれらの作品では、繊細な線とカラリングがすばらしかった。

 『闇の国々』のページをめくって驚いたのは、銅版画のように緻密に描かれたモノクロマンガであること(一部カラーあり)。かつて知ってたシュイテンとは違うんだもんなー。これはこれでむちゃすごい。

 シナリオ担当のブノワ・ペータース Benoît Peeters の日本への紹介は、スクイテンと組んだ作品以外にも、フレデリック・ボワレ『ラブホテル』『東京は僕の庭』の脚本が知られてます。

 じつはわたしにとっては、英語で書かれたタンタンの研究書『TINTIN AND THE WORLD OF HERGÉ: AN ILLUSTRATED HISTORY』の著者としておなじみ。くりかえし読んだ本で、お世話になりました。

 おそらくこの冬最大の話題本はこの『闇の国々』だと思います。早く紹介したいのだけど、読みとおすのに時間がかかるんだもんなー。

 もしかするとマンガ系より先に「本の雑誌」系で評判になっちゃうかもしれない。そういうことではいかんっ、と酔っぱらったわたしは考えるのですが、あ、年があけた。本年もどうぞよろしくお願いします。今年もいろんなすてきなマンガに出会えるといいですね。

|

« ゆっくり読むべし『モンスター』 | Main | マンガの色についてふたたび »

Comments

>漫棚様。
 有難う御座います!
 本来、献本すべきところなんですが、
 発行部数、極く小数にて、関係筋の
 半分にも達しておりません。

 マンガ作品も執筆中です。
 144ページまで、本日完成します。
 あと72ページ。
 講師業のかたわらでの作業ですので
 先は長いのですが…。

Posted by: 長谷邦夫 | January 03, 2012 01:52 PM

>長谷先生、夏目先生、あけましたおめでとうございます。わたしぐらいのトシになりますと最先端のものにはついてゆけず、でも全方位にアンテナをはっていたいという気持ちだけはあって、とりあえずなんとか引き離されないようにしてるのが精一杯です。長谷先生のご著書はビーケーワン注文済みですが年始はたまってる未読本を消化中です。本年もどうぞよろしく。

Posted by: 漫棚通信 | January 02, 2012 09:39 PM

漫棚さん、長谷さん、あけましておめでとうございます。
『闇の国々』、忘年会やら修論の添削やらで、まだ読み終わってませんが、やっぱり凄いですよね。僕は「塔」が好きです。何か、自分が原型的に持っているものを作品化された気がしました。
今年もよろしく。

Posted by: 夏目 | January 02, 2012 11:35 AM

あけましておめでとうございます。

今年も、楽しく、興味深く読ませていただきます。

小生は、年末に
「あるマンガ家の自伝~桜三月散歩道」
(水声社・3500円+税)
を、上梓致しました。

ご愛読いただけましたら、光栄です。

Posted by: 長谷邦夫 | January 01, 2012 01:04 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 謹賀新年:

« ゆっくり読むべし『モンスター』 | Main | マンガの色についてふたたび »