電子雑誌「僕らの漫画」の新しい試み
昨年は電子出版元年と言われながら、マンガに関しては何かすっきりしない状況が続いてました。きっと、いかにして収益を上げるかというモデル構築が難しいのでしょう。ネット上では期間限定で無料公開、そして紙の書籍として販売、というパターンが多いのかな。
過去の作品の二次利用なら「ebookjapan」や「Jコミ」があって、これはけっこう根付いてきたみたいですが、「新作が電子書籍の形で発表され、読者がお金を払ってそれを読む」というパターンはまだまだ一般的な習慣にはなっていないようです。
でもチャリティならどうだ! と乗り出したのがこれ。
●「僕らの漫画」
短編アンソロジー、というかマンガ雑誌ですね、これを電子書籍で売り、収益は震災の義損金にあてられる。
今のところプラットフォームとなるのはiPhoneとiPadだけですが、意欲的な試みだと思います。執筆メンバーも魅力的で、第三弾までのバージョンアップを含めて600円という価格も手ごろ。
わたしも買って読んでみました。
今回の掲載作品は八作品。すべてが震災に関連してるわけじゃなくて、積極的に震災をテーマにしてるのは三作品だけです。このバランスもなかなかいい。
作品としては巻頭の手原和憲『You Never Walk Alone』と、巻末のとり・みき『Mighty TOPIO』が絶品。
手原作品は、わたしおろかにも最初のほうでは題材がわかってなくて、途中でそれに気づいてびっくりした。短編のチカラを再確認させてくれる傑作。
とり作品は、水木しげるミーツ鉄腕アトム。震災と原発事故を見て、「アトムの子」(by 山下達郎)世代みんなが思い浮かべた夢をマンガ化してます。
「僕らの漫画」の今後のバージョンアップが楽しみ。
Comments