ダブリのはなし
以前、古書コレクターのかたがたの本を読んだとき驚いたのは、みなさん、いわゆる「ダブリ買い」をまったく気にされてないこと。
店頭での古書との出会いは一期一会なんだから、持ってようが持ってまいが気にせず、見たら買う。安ければ買う。おそらく持ってるはずだと確信してても買う。
いやもう、いさぎよいというか何というか、マネできません。
わたしもたまに古書を買ったりしますが、雑誌や全集のそろいが出てるとき、すでにその一部だけ持ってると、落札するかどうか迷いに迷っちゃいます。でも、一冊ずつ集めていくよりイッキ買いのほうが楽じゃないですか。結局、ダブリの雑誌とかが書庫に増えていくのですけどね。
さて古書ならともかく、新刊のダブリというのはどうか。
これ、意図的に買うなら何の問題もありません。わたしかつて、『風の谷のナウシカ』全巻を買い直したことがあります。持ってたのだけど、すべてトランクルームに放り込んでたものだから、読みたくなったら探すより買ったほうが早い。
小説の文庫本でも、ウチにはホーガン『星を継ぐもの』や筒井康隆の七瀬シリーズなんかが二冊ずつあったりします。
いわゆる再版モノもオッケーです。ほとんど同じものだけど、表紙が違えば違う本だっ。ぜんぜんくやしくないぞっ。しかしあのボーナストラック追加商法というのは何とかならんか。
しかし、意図せぬダブリというのはつらい。
歳をとってくると記憶力が落ちてしまって、持ってるのかどうか、わかんなくなることがあるのですよ。世間的によくある話なのかどうか知りませんけど。
買ってきて読み始めて、あれ、これ持ってないか? で、探してみると、やっぱ持ってるやんかー。これぐらいならともかく、読み終わって片付けるときに、あれれれ、持ってるじゃなイカ。
いやもう脱力。読んだことすら忘れてるとは。
こういうのは年に一回ペースで刊行される長編に多いですね。あるいは似たような話が延々とくり返される短編連作とか(『パ○リロ』なんかですな)。
さらに、ネット書店で買うときに注意が必要なのが、あの「数量」という欄です。書籍なんか一冊しか買わないのわかってるはずだろうに、ああいうボタンがあるのはなぜなのか。しかもあの欄の数量が「2」になっているのはなぜなのか。わたしがそんなことをしたはずはないっ。もうアマゾンが裏で何か操作しているとしか思えません。
アマゾンの箱を開けて、同じ本が二冊入っているのを発見したときの、さーっと血の気がひくあのいやーな感じ。わたしすでに数回体験してます。
しかもそれに続く妻からの罵倒。一回などあまりに高額な書籍だったので、返品のための送料が必要なのは覚悟でアマゾンに返品しちゃいましたよ。
先日はさらに新しいパターンを経験。買おうかどうしようか迷ってたちょっと値段の高い本を、書店で思いきって買ってきたわけです。で、家に帰るとアマゾンから箱が来ている。あれ、何か注文してたっけ、と開けてみると。あわわわ、今買ってきた本と同じものが。
どうもわたし、その数日前に酔っぱらったイキオイで、アマゾンに同じ本を注文していたらしい。あわてて、今買ってきた本を妻に見つからないようにそっと隠した。
翌日、朝イチで、書店に返品しに行きました。店員さんが、別の本とお取り替えしていただいてるんですけどー、と言うのを拝み倒して現金と交換してもらいました。すみませんすみません。恥ずかしいったら。
あとちょっと変わったパターンでは、わたし、たまに出版社から献本をいただくのですが、すでに買って持ってる、ということがあります。でもこういうときはなぜか残念とは感じませんのですね。これ不思議。買うのともらうのは大きく違う、ということでしょうか。
ありがたくいただいてますのでこれからもよろしくお願いします。
Comments
切手のコレクターとしても自動車くらいの値段だとダブることはないのですが、1万円以下だとダブることはあります。
本の場合はダブってもしかたがないとあきらめています。
Posted by: madi | July 27, 2011 03:31 AM
最近はわたし、書店で持ってるかどうかあやしい本を見かけると、携帯で妻か娘に、この本持ってたっけ、とたずねています。すごくいやがられます。
Posted by: 漫棚通信 | July 22, 2011 08:27 PM
ダブリ、トリプリが多くてカミサンにも怒られるので、ネットの日記に購入した本を書いていたことがあります。書店で買いたい本があったとき、携帯電話で自分のサイトを検索して、ダブリを防止するためです。忙しくて、やらなくなりましたが。
カバーをかけたままにしておいて、表紙が見えないためにダブることも多かったため、いまは、書店でカバーをかけてもらうのはヤメています。
Posted by: すがやみつる | July 19, 2011 11:07 PM
既に持っているのを忘れて,同じ本をダブって買ってしまったことは,何度かあります.老化現象でしょうか.また,読んだかどうかわからなくなってしまったものもかなりあります.パソコンのワープロソフト上に「読んだ本」というリストを一応つくっているんですが,それでも不明・不確実なものが出てきたりします.こういう老化現象にどう対処すればいいのか,みなさまのお知恵を拝借したいものです.
Posted by: ひでかず | July 19, 2011 10:09 PM
そういえば、トローロさんに、一冊頂きましたね。
二冊買いは、時折やっております。
蔵書と言えるほどは持っていないボクでも
やってしまうのです。特にマンガですね。
Posted by: 長谷邦夫 | July 18, 2011 12:54 PM
おいらも・・・だぶるだぶる。
ネットで買うことが増えてから時々。
一度はBK1とアマゾンでそれぞれ買ってしまったことも。
2冊まとめて買ってしまったときは、何処のこびとさんが悪さしたんだと・・・
今のところ、コミックスなので損害軽微?なのですが。
Posted by: とりとり | July 17, 2011 10:44 PM
買った本はエクセルでリスト作ってます。2000年あたりから始めてます。それ以前の分は、本の山を取り崩さなくてはならず、面倒くさいからやってません。
リスト作るようになっても、検索かけなければ本当に買ったかどうかは分からい。入手後、「こんな基本的な大事な本買ってないわけないよな」と思い直して検索すると、たいてい購入済。
「買ったはずだが、リストにのってないから買ってないんだ」と考え注文。実物が届いてから見ると、表紙に見覚えがある。もう一度著者名で検索すると、題名が一字間違って入力していることが判明。
つまり、買っても読んでないことが諸悪の根源。
で、そんなに本買って読んでるの、と非難される。「いや、本は読むもんだと思っているうちは素人。本は読むもんじゃなくて調べるもの」ともっともらしく答えてます。
Posted by: 留公 | July 17, 2011 10:48 AM
ダブリは…けっこうあります。ハァ。。
大矢ちき回転木馬リアル世代なので、
漫棚さんよりかなり(?)年上だし
無理ないのかも…と思いますが。
あえて、言い訳をさせていただくと
好きな本には吸い寄せられるんですよね!
呼ばれてしまうのだから仕方ない。
ダブったときにはお友達に、
これおもしろかったよと
差し上げることにしています。
Posted by: ゆゆん | July 17, 2011 10:02 AM
本との出逢いは一期一会、出会ったら迷わず買え、雑誌でも文庫でも全集でも何でもかんでも迷い無く買え、買わずば二度と出逢えない、と著書で断じたのは、故・星新一氏でした。
おかげで、私もダブリまくり。
いやはや。
本好きってのは、ダブってなんぼやねぇ、やっぱり。
しゅん。
Posted by: トロ~ロ | July 17, 2011 03:21 AM
うーん、芸のないダブリをよくしてるわたしは、単なる老化ですか……
Posted by: 漫棚通信 | July 16, 2011 08:00 PM
私の場合は読みたくなったらまた買えばいいやと本棚丸ごとブ○○○フに売っぱらって、やっぱり読みたくなって再購入。
帰ってきて本棚を見たらアレレ。
これだけは売っちゃいかんとキープしておいた本の中にありました。
どちらも新刊で購入したから著者の方には二冊分の印税が入った事と思います。
好きな著者へのお布施と思えば納得できない事も(笑)
Posted by: Toshi | July 16, 2011 09:37 AM
友人が「古本屋で表紙に釣られて買ったけど、途中まで読んだら持ってるヤツだったのであげる」と言われて貰った本が、自分も読んでる内に「あれ?」とか思って本棚を見たら自分も持ってる本だった事があります。
そしてその本のタイトルがハヤカワSFの「終わりなき戦い」と言うのがネタみたいでした。
Posted by: TOSHI | July 16, 2011 07:20 AM
>新刊本をだぶって買った失敗は今までない
そういうひとがうらやましい……
Posted by: 漫棚通信 | July 15, 2011 07:58 PM
新刊本をだぶって買った失敗は今までないなあ。
家に帰ったら家族も同じ本を買っていて(´・ω・`)ショボンだったことはありますけど。。
古書コレクターの人は所有している本でも、綺麗な本、帯・スリップ・月報付き、初版本、サイン本、異本、保存用…などと求め続けてキリがないみたいですね。
Posted by: くもり | July 15, 2011 07:07 PM