映画とマンガ『キック・アス』
レンタル屋さんでずらっと並んでたので映画「キック・アス」のDVDを借りてきました。いやー、ヒット・ガール(11歳!)のアクションがすごい。
映画としては、ボンクラ主人公は成長するしそれなりにハッピーエンドでたいへんよくできていたのですが、すでに原作コミックスを読んでいた自分としては、ちょっと違和感が残った。
●マーク・ミラー/ジョン・ロミータ・Jr. 『キック・アス』(2010年小学館集英社プロダクション、2200円+税、amazon)
ストーリーはすでに有名なので簡単に。コミックスファンでボンクラ、頭のネジが緩んでる高校生の主人公は無謀にも奇妙なコスチュームを着て、自警団=スーパーヒーローとしての活動を始めます。時代は現代。主人公はYouTobeで一気に有名となってしまう。そこに現実のギャングやホントの暗殺者、11歳のヒット・ガールたちがからんで…… というあらすじを書いてるだけでもすばらしい。ただしスプラッタ描写多し。
原作マンガはすっごく陰惨で陰鬱なデキだったのですね。ダメなオタクはとことんダメなんだよ、と読者を突き放すお話。夢の存在であるところのヒット・ガールが作品の中で唯一、最大の希望なのね。
わたしこの作品を、虚構(=ヒット・ガール)こそが現実(=主人公や読者ね)の悲惨さを救うものである、というメッセージとして読みました。
ところがねー、さすがに映画は万人に受け入れられるように作ってある。
映画では、主人公には美人の彼女ができちゃうし(←ありえんだろー!!)、ヒット・ガールの親父は感動的に死んじゃう。でもねー、原作コミックスでは当然ながら、主人公は彼女にフラれます。親父は自分の過去を妄想で作り上げてたことが明らかになる。ともに救いのない話。
マンガが映画に作り直される過程で、トンがったところがそぎおとされて、娯楽作品として洗練されていくところを目の当たりにしました。わたしは原作コミックスのほうが好きなんですけどね。
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