迷ったり愛したり『パリ愛してるぜ~』
かつて「オフィスユー」に『パリの迷い方』というエッセイマンガが連載され、のちに単行本化されました。読んだひとはたいてい絶賛してますね。
●じゃん・ぽ~る西『パリの迷い方』(2008年創美社/集英社、838円+税、amazon)
本年、やっと連載の残りの部分が単行本化されて完結。
●じゃんぽ~る西『パリ愛してるぜ~』(2011年飛鳥新社、1200円+税、amazon)
32歳の著者がBDの勉強がしたくてパリに遊学。そこで見聞した日常のあれこれを描いたエッセイマンガ。
なんといっても芸術の都、おフランス、パリーですからね。日本人にとってもかまえてしまうじゃないですか。でもフランス人もバレエ見ながら寝ますかそうですか、わはは。
フランス人への、そこはちゃうやろ、ヘンやろ、おかしいやろ、という日本人目線でのツッコミもありますが、それも含めてすべて、著者のパリに対する愛があふれているマンガ。
基本的には順不同のエッセイなので、どちらの本から読んでもオッケーですが、連載後半部を集めた本書のほうが、著者がぷんすか怒ったり泣いたりしてるシーンが(比較的)少なめになってるでしょうか。つまりはパリへの愛が深まってきた?
なんだかんだあっても、著者は国籍を越えて、人間というものの普遍性を愛してるんですよね。これがここちよい。もひとつ、エッセイマンガですから、観察者兼主人公は自分。その自分をきちんと客観視して描いている。
著者の絵のうまさはそうとうなもので、書影のパースを見てください。わたしこういう絵が大好きです。海外生活を描くからにはあちらの風景をきちんと見せてほしいじゃないですか。
著者の独特な視点、観察眼、絵のうまさ、そしてお笑い、いろんな長所がつまってます。
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