サイレントには意味がある『アライバル』
ブログは再開しましたが、まだ慣らし運転中。
震災のさなか、こっそり(というわけじゃないけど)刊行された本も多いです。これもそう。
●ショーン・タン『アライバル』(2011年河出書房新社、2500円+税、amazon)
海外ではそうとうに有名な本がやっと邦訳されました。この本、サイレント・グラフィック・ノヴェルと紹介されることもありますが、まったく言葉がありません。
フキダシがない、セリフがない、擬音がない、さらに異世界が舞台なので登場する文字もアルファベットですらない、というものなので、邦訳も何も。訳した部分はタイトルの「The Arrival」を「アライバル」としたところだけ(なのかな?)。原著を持ってるわたしとしましては、今回の邦訳は買ってませんすみません。
えっと本書についてはまだ邦訳が出る前、「ショーン・タン『到着』のやさしさとたくましさ」というタイトルで、老舗ミニコミ誌「漫画の手帖 60号」にレビューを書かせていただいたことがあります。
ですからそっちと内容がダブっちゃいますが、すごくいい本なので簡単にご紹介。
著者のショーン・タンは1974年オーストラリア生まれ。父親がマレーシアからの移民だったそうです。SF誌のイラストや絵本で評価を得て、ディズニー/ピクサーの3Dアニメーション「WALL-E/ウォーリー」のコンセプトアートに参加したことでも知られてます。
本書は2006年に刊行されました。上にも書きましたが言葉がまったくないので、誰でも読めます。絵本と分類されることも多いのですが、連続したコマがあってそれを追ってゆくと時間経過とともにお話が進んでいきますから、日本人の感覚ではこれは「マンガ」ですね。
本書は世界各国でたくさんの賞を受賞しました。わたしが知ったのはイギリス「タイムズ」紙による「ゼロ年代の100冊 The 100 Best Books of the Decade」の35位に選ばれてたから。
テーマは「移民」です。
妻と別れて海を越え、全くの異世界に働きに来た男。言葉は通じず、文字もわからない、風景や動物も見知らぬものばかりのその世界で、男が出会うものとは。
風景の中に文字があってもそれをあなたは読むことができません。読者は主人公に同行して、異世界をさまようことになります。すなわち、言葉がない、あっても読めない、という手法が、移民というテーマと深く結びついているのですね。読者は言葉にたよることなく、本書の内容を理解することを求められます。
著者はそのために、異世界の風景をすみずみまで細かく描き込んでいます。モノクロですがセピア色の印刷が美しい。造本も書影のごとく、わざわざ古書のように見せかける凝りようです。
昨年より海外マンガ、しかもオルタナティブ系の紹介がちょっとしたブームみたいになってますが、本書も見のがせない一冊です。











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