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October 03, 2010

つれづれに

●小学館クリエイティブからは最近、白土三平や水木しげるの復刻がつぎつぎとなされてるのですが、11月には手塚治虫『漫画教室』が出版されるらしいです。

 似たタイトルの『漫画大学』(1950年東光堂)は講談社の全集にも収録されてます。『漫画教室』のほうは1952年から1954年にかけて雑誌「漫画少年」に連載された、マンガで描かれたマンガ入門書。『サルまん』の元祖的作品ですな。

 単行本化されたことはなく、かつて手塚ファンクラブ京都の「ヒョウタンツギタイムス」で復刻されたことがあるだけ。すっごくレア作品です。

 この作品内で手塚が、当時『イガグリくん』で人気絶頂だった福井英一を批判してトラブったのは有名なエピソードです。

 こういうマンガ史的にも興味深い手塚作品が、まだ出版されずに残ってたんですねえ。


●佐藤秀峰『新ブラックジャックによろしく』9巻が書店に平積みされてました。遠目で見ると見事に真っ白けのカバー。カバーイラストを描くかどうかモメてたのはニュースにもなってましたから、あらほんとにやっちゃったんだと思いましたが、よく見るとこれは白衣のアップ。デザイナーさんの苦労が忍ばれます。

 この『ブラックジャックによろしく』事件は、エキセントリックな著者と編集者とのトラブルとして語られたりすることもあるのですが、当然ながらその背景には、

(1)マンガ描き込みの精細化→マンガ制作に要する費用の高騰化
(2)出版不況
(3)雑誌掲載→単行本化というマンガ収益システムの破綻
(4)紙から電子出版へという流れ
(5)出版界の時代遅れで少し奇妙な商習慣
(6)再販制度問題

などと、いろいろ構造的な問題があって、なかなか複雑ですなあ。
 

●で、こういうことはわたしら読者とは無関係だもんねー、というわけでもなく。

 松田洋子『相羽奈美の犬』2巻が発売されました。いじけてひねくれたストーカー少年が犬に変身し、美少女を襲う悪人と戦う(?)ホラー+コメディの続巻。かつてわたしが書いた1巻の紹介はコチラ

相羽奈美の犬 1

 1巻はもちろん紙の単行本なのですが、2巻のほうは発売されたとはいっても電子書籍として「だけ」。紙の書籍としては販売されない(らしい)。

 販売は「電子貸本renta!」。105円で48時間レンタル。630円で永久レンタルだそうです。各種カードが使えますのでぜひどうぞ(わたし、支払い方法でちょっと迷路に入ってしまいましたが、普通にすれば普通にできるはず)。

 さっそく2巻を買って読んでみました。わたしのメインとして使ってるノートパソコンでは上下が狭いのでちょっとあれでしたが、iPadなら「Renta! HD」というリーダーを使うと快適で、楽しく読めました。

 でね、これまでわたしにとってマンガ作品を読むのには、紙があたりまえ。ケータイやモニタで読むのはあくまで次善の方法だったのですよ。

 すでに辞書や公文書、あるいは歴史的になった古書はモニタ上で読むのが当たり前になってきてます。今後、モニタ上だけで読むことができるマンガが増えていくのかしら。そして読者の消費や読書の行動そのものも変化していくのでしょうかね。

 こういう時代になりますと、出版情報がますます重要になりますね。コミックナタリーや個人ニュースサイトのみなさんのがんばりに期待する次第です。

 あと、年末のベストテンに向けてすでに各社が動き出しているようですが、書籍として刊行された作品だけを対象とする現行の方式は、もう時代遅れになりつつあるんじゃないかな、なんてね。

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Comments

 来ました、来ましたね…。私はアイパッドはまだ持ってませんが(きっと持てません。orz)、最近事情を勘案して買った格安のソニー製ノートVAIOにショックを受けてます。
 Windows7に64ビットOS、管理出来るメモリ領域が現行2ギガ、8ギガ迄拡張可能…なんて。
 今が2010年なら、きっと2020年迄にはソリッドの、回転部分の無いパソコンが出て、今よりももっと小型で携帯可能なパソコンが出回るのでしょうね──。
 そして、「情報」が本当の意味で売り買いされる時代に成ってる事でしょう。
 マンガ・コンテンツもそうなるのでしょうか…。

 そう言えば、「たけくまメモ」ブログさんで書いていらっしゃったんですけど、京都精華大学マンガ学科ですか、何でも来年からパソコン所持を義務化して(え?まだだったの?)、またDTPなど其のリテラシーを教える為の講師若しくは准教授クラスを1名募集にかけるそうですね…。
 何だか遅すぎた感も有るんだけど、DTPかCGテクニックをリテラシーとして身に付けないとマンガ家としてもやって行けない時代に成りそうです…。
 私の中学校の知人も大阪でデザイン事務所を開いて居て、1990年代のデジタル化の流れを余り読めなかったらしくて事業を縮小したか廃業した可能性が有ったりします…。うわ、他人事じゃない!
 2010年代はマンガ・デジタル化が本当に進むかも知れません。もう、チリひとつ無いCG分野に、紙手描きの絵が負けてるような気がして──最近、自分で何と無く“敗北感”を感じ始めてる所でした…。

 私もマンガ・コンテンツのデジタル化に付き合おうかと思って居ます…。

Posted by: woody-aware | October 03, 2010 08:23 PM

電子書籍がなかなか読めない事の顛末、twitterで読ませてもらっていました(^^;

こういったところのシステム整備はまだまだみたいですね。私はクレジットカードを使わない人間、電子書籍も買ったことがないので未だにわからない世界です@


ところで現在国際子ども図書館で、棚がいっぱいになったための所蔵資料一部デジタル化作業が行われています。そこには2000年までに発行された「小学一年生」から「小学六年生」も含まれるようで、なんだか時代を感じますね。スキャンとった原本ははたしてどうなるのかも気になるところです。主旨が棚を空けることなので破棄になるとは思うのですが。。

Posted by: くもり | October 03, 2010 10:40 PM

>スキャンとった原本

「図書館流れ」で古本市場に出回らないんでしょうか?
基本的に雑誌は難しいのかなぁ。

「まんだらけ」で買い取ってくれそうな気がしますね。

Posted by: トロ~ロ | October 03, 2010 10:56 PM

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