« 壁村耐三伝説の「藪の中」 | Main | 娯楽として読むマンガ論『まんが学特講』 »

July 17, 2010

辰巳ヨシヒロがなにやらすごいことになってる

 今年の1月に発行された本ですが、書店でこういうのを見つけて買ってきました。

●辰巳ヨシヒロ『限定復刻版 黒い吹雪』(2010年青林工藝舎、1500円+税、amazon

限定復刻版 黒い吹雪

 本書は1956年に描かれた貸本向けマンガ単行本の復刻。手塚治虫文化賞大賞を受賞した辰巳ヨシヒロの自伝マンガ『劇画漂流』(2008年青林工藝舎)によりますと、辰巳ヨシヒロ自身が『黒い吹雪』を描いている最中、これぞ創作のダイゴ味、と手応えを感じた作品だそうです。

劇画漂流 上巻 劇画漂流 下巻

 『黒い吹雪』のアマゾンでの紹介文を読んでいただければわかりますが、今や辰巳ヨシヒロは、各国で日本を代表するマンガ家として評価されてます。

80年代以降むしろ海外で評価され、国際的なコミック・フェスティバルにノミネートされること多数。2005年の仏アングレーム国際コミック・フェスティバル、2006年の米サンディエゴ・コミック・コンヴェンションでは、マンガを大人の観賞に堪えうる「芸術」へと引き上げた功績が認められ、特別賞を受賞。2009年4月、ニューヨークで行われた世界文学祭Pen World Voices Festivalでは、世界の芸術をリードする作家の一人として、マンガ家としては異例の招待を受け講演、大好評を博す。本書「黒い吹雪」は2010年にはカナダDrawn & Quarterlyより英語版の出版が予定されている他、2008年に出版された「劇画漂流」は英語、スペイン語で既に翻訳され、今後もフランス語、インドネシア語など世界各国で翻訳予定。

 
 『劇画漂流』はついにインドネシア語版が発行されたそうですし、『劇画漂流』の続編も、カナダで出版される予定で描き進められてるとのこと。

 ツイッターで教えていただきましたが、イギリスでも辰巳ヨシヒロがずいぶん人気だ、という記事がこちら。

少女漫画に学ぶ[ヲトメ心とレンアイ学]著者が探るロンドン漫画事情 - 辰巳ヨシヒロが人気! 『DMC』も!?

 さらに『劇画漂流』は今年のアイスナー賞二部門でノミネートされてます(「Best Reality-Based Work 」部門と「Best U.S. Edition of International Material-Asia 」部門)。

 今年のアイスナー賞の日本勢としては、浦沢直樹が『20世紀少年』と『PLUTO 』でのべ5部門ノミネート、しかも「Best Writer/Artist 」部門にノミネートされてる、というのが話題みたいですから、『劇画漂流』はちょっときびしいかもしんない。賞の発表は7月のサンディエゴ・コミコン。結果が楽しみですね。

 さらにさらに、現在、辰巳ヨシヒロ作品がシンガポールでアニメーション映画として制作されているそうです。

 タイトルはそのものズバリ、「TATSUMI 」で、監督はエリック・クー。辰巳ヨシヒロの短篇や『劇画漂流』の一部からなる88分の作品だそうです。今年の10月、東京国際映画祭に出品予定。

 辰巳ヨシヒロで、シンガポールで、アニメで、ってもうなんつーか、こちらの想像をこえるワールドワイドさですなあ。

 この映画、日本語版もつくられるみたいで、「シンガポール在住の大阪弁をしゃべることができる声優(経験者歓迎)」が募集されてました。

 声優さん、ちゃんと見つかったのかしら。

|

« 壁村耐三伝説の「藪の中」 | Main | 娯楽として読むマンガ論『まんが学特講』 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 辰巳ヨシヒロがなにやらすごいことになってる:

« 壁村耐三伝説の「藪の中」 | Main | 娯楽として読むマンガ論『まんが学特講』 »