野田さんに夢中『野田ともうします。』
昨年、わが家で人気ナンバーワンだったマンガの第2巻が発売。
●柘植文『野田ともうします。』2巻(2010年講談社、667円+税、amazon)
主人公、野田さんは群馬出身。埼玉にある「東京平成大学」文学部ロシア文学科の一年生か、二年生。手影絵部というマイナーサークルに属しファミレスでバイトする彼女は、見た目も生活も地味な大学の地味なメガネ女子。しかしその存在は特異です。
彼女の興味の対象は、ロシア文学だったり手影絵だったり太宰治の文学だったりしますが、それだけでは終わらない。
興味があるものには一直線に突進する野田さんの腰は軽く、ピロシキを食べるために西武ライオンズのファンクラブに入ったり、学祭のミスコンにエントリーしたり、相撲をとったり、たこ焼きが食べたくて夜中にタコを買ったり、シャンパンタワーのためにいっぱいのシャンパングラスを買ってみたりするのです。
ただし、その結果として得られるものはそんなに大きなものではない。ちっさな満足。それでも彼女はその小さな幸せに十分満足しているらしいのです。
しかも野田さんはまわりの目をまったく気にせず、超然としているのですね。これがもうすがすがしくてまさにスーパーウーマン? 彼女の考え方や行動には憧れてしまうじゃないですか。堂々たる平凡、堂々たるダサさ。
唯一無二のキャラクターを持つ野田さんは、登場人物みんなが一目置く存在です。そしてマンガ内の架空キャラクターであるにもかかわらず、すべての読者の憧れの的、理想の存在でもあります。わが家のみんなも、野田さんのファンなのですね。
Comments
「野田と申します」我が家でも大好評です。
柘植文さんは、「まんがくらぶ」あたりだと、
「面白いけど突き抜けてない」という感じだったんですが、KISSのこの作品で大開花した印象を受けます。
東村アキコの「海月姫」が、モーニングの「ひまわり!」よりも面白いことを考えますと、KISSには講談社ナンバーワンの編集者がいたりするのだろうか、などと考えてしまいます。
Posted by: ジャケボン | May 27, 2010 03:44 PM
このマンガおもしろいですよね。私も野田さんのファンです。
教養をひけらかすことなく、淡々として
なおかつ、自身のことに関してはゆるぎない姿勢。
ひけらかさないから地味。
他者を廃するところは無くて、そのまま観察して受け入れていくところが科学者っぽい地味さにつながっていて、また面白いです。
Posted by: 佐藤さえ | May 26, 2010 11:47 PM