自伝がいっぱい水木しげる
来週からNHKの朝ドラは「ゲゲゲの女房」ですね。「ちりとてちん」以来、ひさしぶりに楽しめるかなあ。個人的にはストーリー以外に、白土三平は、長井勝一は、手塚治虫は、つげ義春は、池上遼一は、登場するのかっ、なんてことがすごく気になってます。
近年、水木しげる作品の刊行ペースはえらいことになっておりますが、朝ドラのこともあってごく最近出た文庫二冊。
●水木しげる『ビビビの貧乏時代 いつもお腹をすかせてた!』(2010年集英社/ホーム社漫画文庫、667円+税、amazon)
●水木しげる『私はゲゲゲ 神秘家水木しげる伝』(2010年角川文庫、705円+税、amazon)
「ビビビ」とか「ゲゲゲ」がタイトルにはいってるのは、あきらかに「ゲゲゲの女房」を意識してますね。
『ビビビの貧乏時代』はマンガ短編集。収録作品が描かれた時期は1969年から1975年で、1997年のものが一作。自伝「的」エッセイマンガを集めたものです。変名で登場する白土三平やつげ義春や池上遼一の生態が興味深い。猥雑な作品であっても、水木しげる作品はほのぼのできるなあ。
『私はゲゲゲ』のほうは、元版が刊行されたのがごく最近の2008年。これも自伝マンガですが、最近のものは水木しげる自身の手では描いてないだろうから、絵的にちょっと魅力に欠けるのが難。
水木しげるは自伝あるいはそれに類するものを、文章やマンガでいっぱい描いてます。以前に調べたところでは、これくらいありました。今はもっと増えてるかもしれない。
この手の作品として一作だけを挙げるなら、●『完全版水木しげる伝』全三巻(2004年~2005年講談社漫画文庫、各820円+税、amazon)につきるでしょう。
大作『コミック昭和史』や『ビビビの貧乏時代』に収録されてるような短編群から再編集したものです。なんつってもそのボリュームに圧倒されますし、ひとつの作品として優れたものに仕上がってます。下巻には、関東水木会・平林重雄による30ページ以上におよぶすっごく詳細な年譜つき。
Comments
完全な余談ですが、「ちりとてちん」は面白かったですね。そこでオープニングの曲のピアノを担当して居た松下奈緒が「ゲゲゲの女房」の主人公役に成るのは、大した縁では無いのかも知れませんが…。
松下奈緒が好きなので、結構その動機でも「ゲゲゲの女房」は見たいっス。
一体どんなお話になるのでしょうね。
Posted by: woody-aware | April 07, 2010 05:20 PM
ゲゲゲの女房 今日から録画です。NHK的な物語の進め方はありきたりながらも、最近はBS Hiなどでも水木さんの特集が組まれてますので、とても楽しみなプロローグでした。とにかく15分が5回で1週間、民放なら2時間枠での正味分と、考えると、水木さんの集大成になりえる番組かと。
でも軽く楽しみましょう。
Posted by: not a second time | March 29, 2010 08:17 PM
06年の記事でもとりあげていらっしゃる『妖怪と歩く』も新潮文庫版が発売されましたよ。
以前の版から現在までを補完する書き下ろしと呉智英さんの解説はどちらも素晴らしい内容でした。
Posted by: isimaru | March 28, 2010 07:49 PM