ゲゲゲのレレレのらららの
四月からのNHK朝ドラは、水木しげる・武良布枝夫妻が主人公の「ゲゲゲの女房」だそうです。手塚治虫とか白土三平とか長井勝一が登場したりすると、楽しくなるんだけどなあ。
で、こういう本が発売されました。水木悦子/赤塚りえ子/手塚るみ子『ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘』(2010年文藝春秋、1429円+税、amazon)
2008年7月、朝日新聞に「おやじの話、しちゃおうか」という鼎談が掲載されました。登場したのは水木しげるの次女・水木悦子、赤塚不二夫の長女・赤塚りえ子、手塚治虫の長女・手塚るみ子の三氏。
そのとき彼女たちの近影にそれぞれそえられてたのが、「ゲゲゲの娘」「レレレの娘」「ラララの娘」という言葉でした。
朝日新聞の記者、近藤康太郎のアイデアだったそうですが、それを今回、追加の鼎談をおこなって書籍化するにあたり書名にしたわけです。
いやじつによくできたタイトルで、ザブトン十枚あげましょう。「ラララ」をひらがなの「ららら」にしたのもグッド。矢作俊彦の小説『ららら科學の子』もひらがなでしたし、こっちのほうが字面がいい。
ウチの子は「らららの娘」の意味がわからんっとか言ってましたが、あのねアニメ「鉄腕アトム」主題歌の歌詞にね、「空をこえてーららら星のかなたー」というのがあってね。
巨匠マンガ家三人の娘たちが、巨人でありかつ変人、奇人でもある父親を語る鼎談です。家族しか知らないおもしろい裏話、有名人を親に持つ娘としての葛藤の部分、さらに父親の作品をいかにして今後も残していくかというビジネスの部分など、多岐にわたって語られてます。
本書に登場する巨匠たちのマンガはすでに「古典」というべき存在になってます。でも将来もその作品群が継続して読まれるかどうかはわかんない。娘たちもいろいろと努力、活動してるわけで、本書もその一環……なのかしら。
いちばん笑ったのは、男としての父親を語ってる部分。
水木(悦子) お父ちゃんの漫画でも「一生懸命エッチなシーンを描いたんだな。頑張った、よく頑張ったお父ちゃん」っていう感じのもあるんですが、全然エッチじゃないわけです(笑)。
手塚(るみ子) ねえ。男性はみんな、いつまでたっても小学生レベルなんですよ、感覚が(笑)。成長しても小学校5年生。
赤塚(りえ子) 5年生。4年生でも6年生でもなく、5年生。
巨匠たち、かたなし。いやどうもわたしなんぞ娘にこんなこと言われたらもだえ死んじゃいます。
あと、赤塚不二夫が手塚るみ子をホテルに誘った話には、ひっくり返りました。さすが赤塚先生。
娘だからこそ語れる、いろんな楽しい話があるわけでして、息子じゃこうはいかないですね。なかなかの好企画でした。
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Comments
> もう、口癖で「やらせろ」ばっかり!!
二十数年前の週刊アクション増刊「GAGアクション」に、赤塚氏が土田よしこを口説く話が出てきましたね。
Posted by: かくた | February 20, 2010 02:43 AM
新宿での、一般講演会で、赤塚氏は
「オレとやりたいヤツは、あとで待ってろよ」
と放言したら、4~5人女が居て、
仕方がないから、うち(フジオプロ3F)へ
連れてきて、飲ましたよ~とか、ぼくに言った
ことがあるんです。
もう、口癖で「やらせろ」ばっかり!!
Posted by: 長谷邦夫 | February 19, 2010 11:21 PM
「ゲゲゲの女房」は、映画も製作中ですね。まったく独立曽田企画だそうで。こういう例は珍しいですね。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2010/02/16/02.html
Posted by: 岡田K一 | February 19, 2010 10:16 AM
ラララだと、きっと「はだしのゲン」を思い浮かべる人が多そうですね。……書き文字の「う」が「ラ」に見えてしまった読者が多いとか。
Posted by: kuwata | February 17, 2010 07:27 PM
また買いたい本がひとつ増え・・・・・・・・
小学校5年生かぁ・・・・ふぅ
あたってるなぁ~~
オトコノコの一番イヤな事は「大好きなオモチャを取り上げられること」だしなぁ。
参りました
Posted by: トロ~ロ | February 17, 2010 03:34 PM