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January 29, 2010

フランス語で「マンガ家」は

 個人的にちょっとした発見。

 スヌーピーの作者であるチャールズ・M・シュルツを英語版Wikipedia で調べておりましたところ、シュルツは「アメリカのcartoonist 」であると書かれてました。

 現代の英語で「cartoonist 」は、いわゆる滑稽な「カートゥーン」の描き手じゃなくても使用されていて、「comic artist 」とほぼ同義です。ですから日本語の「マンガ家」=「cartoonist 」=「comic artist 」と考えていいでしょう。

 ところがフランス語Wikipedia に行ってみますと、シュルツは「コミック・ストリップの脚本家であり画家(scénariste et dessinateur )」と紹介されてるのですね。ずいぶん面倒な表現をしてるじゃないですか。

 ためしにフランス人のメビウスを調べてみますと、これも「バンド・デシネの画家であり脚本家」。アメリカ人のフランク・ミラーも同じです。

 日本では「マンガ家」とされることが多いレイモン・ペイネやジャン=ジャック・サンペは、「イラストレーター」。サンペなどは英語版Wikipedia に行きますと「cartoonist 」に分類されてるんですけどね。

 タンタンの作者エルジェをはじめとして絵とストーリー、両方やってるひとは多いはずですが、彼らのようなビッグネームは「○○(作品名)の著者」と紹介されてます。

 というわけでフランス語には、「絵とストーリーの両方を担当するマンガ家」に相当する言葉が存在しないようです。これにはちょっと驚いた。

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Comments

>「絵とストーリーの両方を担当するマンガ家」
そういえば逆に日本では作画のみを担当する「作画家」「漫画化家」という言葉がないですよね。

Posted by: ashihata | February 09, 2010 02:00 PM

古い表記で、作・画というのがありますけど、
あれは何を意図していたんでしょうね。
おフランス気取りってことでもないでしょうし。

Posted by: lucia | January 29, 2010 11:21 PM

はじめまして。いつも興味深く拝見しております。私はフランス語の教師をしています。
BDは、ご存知のようにbande dessinéeの略ですが、後半の単語は、dessinerという動詞の過去分詞です(BDを直訳すると、「描かれた帯」ということになります)。この動詞の名詞が、日本語にも入っている「デッサン」dessinで、従ってそれを描く人dessinateurは、本来は「デッサン画家」ということになり、絵の具を使って描くいわゆる「画家」peintreとは、指す内容が異なります。
ところで、Petit Larousse illustréという、毎年改訂される百科事典/固有名詞事典があるのですが、ここで「漫画家」は、絵とストーリーの両方の作家はdessinateur et scénariste、絵のみの場合はdessinateurでほぼ統一されているようです。

Posted by: seigneur | January 29, 2010 10:03 PM

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