『ディアスポリス』完結
すぎむらしんいち/リチャード・ウー『ディアスポリス 異邦警察』が15巻(2009年講談社、571円+税、amazon)で完結しました。
大好きな作品だったので完結にあたりひとこと。
ラストに向けて14巻までの盛り上がりがすごかっただけに、この最終15巻でのお話のたたみかたはちょっとアレでした。ラスボスが終盤に登場したあのひとだったり、死んだはずのあのひとが最後に生き返ったり、肩すかしぎみ。でも全体としては大満足です。
主人公たちが属するのは、不法滞在外国人のコミュニティです。このマンガ世界の正義はマイノリティの彼ら、外国人側にあります。ところが大多数の読者はマジョリティである日本人に属しています。つまりマンガ内の倫理に従うと、読者はむしろ悪の側に立ってしまうかもしれない。
これは危うい作品-読者関係です。その微妙なバランスの上に成立しているのがこの作品でしたが、最後まで「正義」の軸がまったくぶれませんでした。これは原作のリチャード・ウー=長崎尚志のお手柄。
そしてこの猥雑で下品な世界を描くにあたって、すぎむらしんいちの絵はホントにうまかった。女の子はとことんエロくて男はみんな情けないオッサンばかり。実に猥雑で下品な絵で、この作品のユーモアはこの絵があってこそ。こういう絵を描けるひとは他にいませんね。
数年間楽しませていただきました。多謝。
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