グルンステン来日
ティエリ・グルンステンがマンガ研究分野でどれほどのビッグネームか、じつはよく知らないのですが、こういう本を書いてます。
●ティエリ・グルンステン『線が顔になるとき バンドデシネとグラフィックアート』(古永真一訳、2008年人文書院、3200円+税、amazon)
●ティエリ・グルンステン『マンガのシステム コマはなぜ物語になるのか』(野田謙介訳、2009年青土社、2800円+税、amazon)
この二作、わたしもいちおう持ってますが、まあ難解なことこのうえなし。
『線が顔になるとき』は図版が多くてまだ理解しやすいのですが、『マンガのシステム』になりますと図版は少しだけ、さらに知らない用語がいっぱい出てきてキツい。実はわたし、後者はまだ読み終わっていません。ここしばらくドラクエに逃避してました。スミマセン。
しかしおそらく二作とも今後のマンガ研究の基礎的文献になるにちがいないので、むずかしくとも読んでおかなきゃいけない本であります。これからの研究はこういう文章を咀嚼するところから始まるのだと思います。
この本を理解するのが困難な理由はいくつかあります。ひとつは著者がマンガを語るのにあたって、きわめて広い知識を動員していること。でもって引用されてる文献は多岐に渡るのですが、当然ながらこれらは邦訳されてない。しかも使用されてる用語になじみがなくてわかりにくい。
もひとつは、わたしを含めた日本人読者の問題なのですが、世界のマンガに関する基礎教養が決定的に不足している点。
欧米作品紹介に関してほとんど鎖国状態の日本では、グルンステンに「ほらマッケイがレアビットで描いた有名なあのシーンってさあ」とか言われても、わからんわいっ、てなもんです。
このあたりのマンガ研究における彼我の格差については、ササキバラ・ゴウ氏や小田切博氏も書かれてます。
ササキバラ・ゴウ:sasakibara blog
●「マンガのシステム」
●「マンガのシステム」2
小田切博:キャラクターのランドスケープ
●「マンガの国際学術会議」が日本で開かれる意義
さて、そのグルンステンが来日しました。
京都と東京でそれぞれシンポジウムがあります。これってメビウスの時と同じパターンね。
京都のほうはこれ。
●2009年12月18日(金)~20日(日):京都国際マンガミュージアム
京都精華大学国際マンガ研究センター第1回国際学術会議
「世界のコミックスとコミックスの世界 グローバルなマンガ研究の可能性を開くために」
→詳細はこちら
グルンステンは金曜日に基調講演をします。夏目房之介氏や小田切博氏が登壇するのは土曜日。
東京のほうは明治大学主催です。
●2009年12月23日(水・祝日):明治大学駿河台校舎リバティーホール
明治大学国際日本学部特別シンポジウム
「ヴィジュアル・カルチャーと漫画の文法 ティエリ・グルンステンを迎えて」
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こちらには高山宏、荒俣宏、藤本由香里、竹熊健太郎、伊藤剛の各氏が登壇する予定。
今回わたしは残念ながらどちらにも参加できませんが、マンガの歴史や表現に興味のあるひとは必聴でしょう。
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