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December 31, 2009

良いお年を

 今年最後に買ったマンガは、山本英夫『ホムンクルス』11巻、浅野いにお『おやすみプンプン』6巻、三島衛里子『高校球児ザワさん』3巻の三冊。ザワさんの兄貴が同じチームのエースで三番だったとはこりゃびっくり。伏線があるのか前の巻読み直してたら、1巻にエースの異名として「日践の王子」というのが出てきてました。

 今年の大晦日は南国であるこちらでも雪が舞い散っております。寒いです。午後には実家におせちを届ける予定。

 本年は公私ともにいろいろなことがありました(あ、この文脈の場合、「公」が漫棚通信で、「私」が本名のほうね)。

 来年も、のんびりと気張らず、地味~に活動していきたいと考えております。よろしければみなさまも、のんびりとおつきあいください。それでは、良いお年を。

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December 29, 2009

漫画少年版ジャングル大帝

 年末のビッグプレゼント、やっとアマゾンから到着しました。

●手塚治虫『漫画少年版ジャングル大帝 豪華限定版』(2009年小学館クリエイティブ、7600円+税、amazon

漫画少年版 ジャングル大帝

 一年のうちに『新寶島』と『ジャングル大帝』のオリジナル版を、両方とも手にいれることができるとは。長くマンガに興味を持ってきた人間にとって、今年は記念すべき年になりましたね。

 戦後日本マンガが手塚から始まったとするならば、この二作品は日本マンガ史の喉に刺さったサカナの骨みたいなものでした。酒井七馬との合作である『新寶島』は手塚により封印され、後年、自身の手でリメイクされました。『ジャングル大帝』は単行本化するたびに手を加えられ、どれが原形なのやらまったくわからない状態に変化。

 長きにわたり封印されていた二作、しかも戦後日本マンガの始まりを告げた作品が本年になってオリジナルのままで読めるようになったわけです。2009年は手塚治虫の没後20年にして、戦後日本マンガの総括ができるようになった年であるのです。

 で、『ジャングル大帝』。

 小学館プロダクション小学館クリエイティブのページはあっさりしたもので、(出版社のかたから社名まちがっとるぞとご指摘いただきました。すみませんです)

漫画少年版「ジャングル大帝」は、12月末日に豪華限定版(B5版)を刊行。その後、2010年春に普及版(A5版)を刊行予定です。

と書いてあります。

 うーん、これじゃ限定版と普及版の違いがよくわかんないぞっと。本の大きさが違うのはわかるけと、だいたい普及版のほうはカラーページがあるのやらないのやら。不親切なことこのうえなし。

 というわけで漫棚通信さんはがまんできず、「豪華限定版」をアマゾンに注文してしまいました。

 到着したアマゾンの段ボール箱を開けますと、さらにこういう段ボール箱があらわれます。

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 単なる段ボール箱で「輸送用です」と記入してあるのですが、これはなかなか捨てづらいデザインですよ。

 段ボールを開けますと、また箱が出てきます。

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 この箱を開けて、やっとマンガの登場。B5判ハードカバー単行本(モノクロ、一部四色・三色・二色あり)が上下巻で二冊。藤子不二雄A、小野耕世、竹内オサム、中野晴行の文章をおさめた「漫画少年版ジャングル大帝読本」という小冊子が一冊。複製原画が5枚。

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 いやーこれで8000円弱とはむちゃくちゃ格安。こんなお値段でいいのでしょうか、というくらい。普及版を待たなくてもぜんぜんOKでした。

 実際のマンガの内容ですが、これがもうカラーページのおかげもあって、後年の版とはまったく異なる印象。わたしがもっともくりかえし読んだのは小学館ゴールデンコミックス版『ジャングル大帝』ですが、そっちとはぜんぜん違うんだよー。これは読み比べてみなけりゃ。

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December 28, 2009

『ディアスポリス』完結

 すぎむらしんいち/リチャード・ウー『ディアスポリス 異邦警察』が15巻(2009年講談社、571円+税、amazon)で完結しました。

ディアスポリス-異邦警察 15 (モーニングKC)

 大好きな作品だったので完結にあたりひとこと。

 ラストに向けて14巻までの盛り上がりがすごかっただけに、この最終15巻でのお話のたたみかたはちょっとアレでした。ラスボスが終盤に登場したあのひとだったり、死んだはずのあのひとが最後に生き返ったり、肩すかしぎみ。でも全体としては大満足です。

 主人公たちが属するのは、不法滞在外国人のコミュニティです。このマンガ世界の正義はマイノリティの彼ら、外国人側にあります。ところが大多数の読者はマジョリティである日本人に属しています。つまりマンガ内の倫理に従うと、読者はむしろ悪の側に立ってしまうかもしれない。

 これは危うい作品-読者関係です。その微妙なバランスの上に成立しているのがこの作品でしたが、最後まで「正義」の軸がまったくぶれませんでした。これは原作のリチャード・ウー=長崎尚志のお手柄。

 そしてこの猥雑で下品な世界を描くにあたって、すぎむらしんいちの絵はホントにうまかった。女の子はとことんエロくて男はみんな情けないオッサンばかり。実に猥雑で下品な絵で、この作品のユーモアはこの絵があってこそ。こういう絵を描けるひとは他にいませんね。

 数年間楽しませていただきました。多謝。

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December 22, 2009

作者は反逆される『秘密 トップ・シークレット』

 うーむ、やっぱ清水玲子『秘密』は、最新7巻がもっともよくできてる。

●清水玲子『秘密 トップ・シークレット』7巻(2009年白泉社、848円+税、amazon

秘密(トップ・シークレット) 7 (ジェッツコミックス)

 時代は近未来。科学の進歩により、死者の脳をMRI走査することで生前に目撃していた事物をはっきりと画像化することができるようになります。死者の証言というまったく新しい捜査手法を得た警察は(そして読者は)、どのような現実に直面することになるのか、という連作シリーズ。

 ホラー風味もありますが、作品世界は論理が支配しているのでアシモフなどで有名な「SFミステリ」ですね。作者が作中にだけ通用する架空のシステムを設定し、それを利用してミステリを展開させるわけです。

 死者の証言ですから、まずは被害者が何を見たか、シリアル・キラーの頭の中はどうなってんのか、といったところから始まります。ミステリ的にはこういうところからいかにはずすか、ひねるかかが見どころ。

 これまでの巻もなかなか読ませるお話ばかりでしたが、とくに7巻はすばらしい。

 この巻で、犯人たちは「死後の脳から生前の行動がスキャンされる」ことを知っています。そのうえでいかに警察の裏をかくかを考えて行動しているのです。

 さらに、「死後の脳から生前の行動がスキャンされる」こと自体が犯罪の動機になる、というアクロバティックな展開。つまりこの巻にいたってこの世界では、作者が創造した犯罪捜査のための新発明こそが逆に犯罪をひきおこしてしまうのです。

 となると今回の事件の真犯人は、なんと作者自身じゃないですか。

 作者がこんな設定をしなかったら、こんな犯罪は起きなかった。いちばん悪いのは、作者自身。世界の創造主たる作者が、自分でつくりあげた架空世界に反逆されている形です。

 定評のあるシリーズが、最新刊でもっともおもしろくなるというのはたいしたものです。というか、これまでシリーズ作品を積み重ねてきた結果、ここまで到達することができたのですね。いやお見事。

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December 17, 2009

グルンステン来日

 ティエリ・グルンステンがマンガ研究分野でどれほどのビッグネームか、じつはよく知らないのですが、こういう本を書いてます。

ティエリ・グルンステン『線が顔になるとき バンドデシネとグラフィックアート』(古永真一訳、2008年人文書院、3200円+税、amazon
ティエリ・グルンステン『マンガのシステム コマはなぜ物語になるのか』(野田謙介訳、2009年青土社、2800円+税、amazon

線が顔になるとき―バンドデシネとグラフィックアート マンガのシステム コマはなぜ物語になるのか

 この二作、わたしもいちおう持ってますが、まあ難解なことこのうえなし。

 『線が顔になるとき』は図版が多くてまだ理解しやすいのですが、『マンガのシステム』になりますと図版は少しだけ、さらに知らない用語がいっぱい出てきてキツい。実はわたし、後者はまだ読み終わっていません。ここしばらくドラクエに逃避してました。スミマセン。

 しかしおそらく二作とも今後のマンガ研究の基礎的文献になるにちがいないので、むずかしくとも読んでおかなきゃいけない本であります。これからの研究はこういう文章を咀嚼するところから始まるのだと思います。

 この本を理解するのが困難な理由はいくつかあります。ひとつは著者がマンガを語るのにあたって、きわめて広い知識を動員していること。でもって引用されてる文献は多岐に渡るのですが、当然ながらこれらは邦訳されてない。しかも使用されてる用語になじみがなくてわかりにくい。

 もひとつは、わたしを含めた日本人読者の問題なのですが、世界のマンガに関する基礎教養が決定的に不足している点。

 欧米作品紹介に関してほとんど鎖国状態の日本では、グルンステンに「ほらマッケイがレアビットで描いた有名なあのシーンってさあ」とか言われても、わからんわいっ、てなもんです。

 このあたりのマンガ研究における彼我の格差については、ササキバラ・ゴウ氏や小田切博氏も書かれてます。

ササキバラ・ゴウ:sasakibara blog
   ●「マンガのシステム」
   ●「マンガのシステム」2
小田切博:キャラクターのランドスケープ
   ●「マンガの国際学術会議」が日本で開かれる意義

 さて、そのグルンステンが来日しました。

 京都と東京でそれぞれシンポジウムがあります。これってメビウスの時と同じパターンね。

 京都のほうはこれ。

●2009年12月18日(金)~20日(日):京都国際マンガミュージアム
京都精華大学国際マンガ研究センター第1回国際学術会議
「世界のコミックスとコミックスの世界 グローバルなマンガ研究の可能性を開くために」

→詳細はこちら

 グルンステンは金曜日に基調講演をします。夏目房之介氏や小田切博氏が登壇するのは土曜日。

 東京のほうは明治大学主催です。

●2009年12月23日(水・祝日):明治大学駿河台校舎リバティーホール
明治大学国際日本学部特別シンポジウム
「ヴィジュアル・カルチャーと漫画の文法 ティエリ・グルンステンを迎えて」

→詳細はこちら

 こちらには高山宏、荒俣宏、藤本由香里、竹熊健太郎、伊藤剛の各氏が登壇する予定。

 今回わたしは残念ながらどちらにも参加できませんが、マンガの歴史や表現に興味のあるひとは必聴でしょう。

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December 12, 2009

『このマンガがすごい!』がちょっと納得いかない件について

 『このマンガがすごい!2010』(2009年宝島社、476円+税、amazon)のベストテンを見て、あれれ?と思ってしまったわけですが。

このマンガがすごい!2010

 今年のオトコ編ベストテンには、週刊少年ジャンプ連載作品が三つもはいってました。1位『バクマン。』、2位『ONE PIECE』、9位『トリコ』。

 かつてジャンプ作品が『このマンガがすごい!』のベストテンに選ばれたことがあったっけ。

 昨年はなし。一昨年もなし。2006と2005の2位がごぞんじ『DEATH NOTE』。というわけでジャンプ系はこういう年末ベストテンとは相性が悪かったのですね。

 ところが今年は『バクマン。』と『ONE PIECE』がワンツーフィニッシュ。ジャンプはまさに黄金時代を迎えたのか。って、おいっ。

 もちろんジャンプは現在でも最も売れてるマンガ雑誌ですし、そこの看板作品が年間ベストテンの上位にくるのは当然ではあります。でもねー、これってあまりに意外性がないよなあ。黙ってても売れるマンガが上位にきて、ブックガイドになるのかしら。

 で、『バクマン。』と『ONE PIECE』に対してどのような形で投票されたのか調べてみました。

『バクマン。』計174点。

1位に推したひと:エレキコミック今立進、恵文社バンビオ店、戸田書店呉服町店、芳林堂書店高田馬場店、宗亜俐、50点。
2位:芝浦工業大学、大西康裕、かーず、soorce、塚本浩司、45点。
3位:立教大学、福井健太、16点。
4位:ヴィレッジヴァンガードイオン八幡東店、浅田徹、長谷邦夫、藤本由香里、28点。
5位:紀伊國屋書店新宿本店、ケイ・ブックスコミック館、お茶の水女子大学、芝田隆広、24点。
その他、マンガ系学生から7点、読者アンケート4点。

 『このマンガがすごい!』は昨年までと今年では、集計方法が大きく変わりました。

(1)タレント・作家・アーチスト枠を新設。
 でも鈴木杏なんか、『ガラスの仮面』と『オチビサン』の二作しか挙げてないんだから、依頼しちゃダメでしょ。

(2)書店枠と大学漫研枠を拡大。
 ま、これは納得できます。

(3)小中高生、マンガ専攻大学生や専門学校生、そして一般読者によるアンケート投票。
 選者たちは1位10点、2位9点、以下5位6点までひとりで計66点を持っているのに対し、このアンケートでは1票=1点だからたいしたことない。なんてことはなくて、これがけっこうバカにならない得点力を持ってるのですね。

 『バクマン。』は各氏から広く支持されています。青色で示してるタレント枠やアンケートで得たのは21点だけですから、もしこの得点がなくてもトップは変わりません。確かに今年を代表する作品ですね。

 ところが『ONE PIECE』は得点のパターンが違います。

『ONE PIECE』計149点

1位に推したひと:エレキコミックやついいちろう、栗山千明、栞、立教大学、市川孝一、多根清史、60点。
2位:星野書店近鉄パッセ店、お茶の水女子大学、机器猫、27点。
4位:仲村みう、真部脩一、わんだ~らんどなんば店、だんげろうず、28点。
その他、小中高生から11点、マンガ系学生から7点、読者アンケート16点。

 青色で書いたタレント枠とアンケートでなんと78点をかせいでます。

 オトコ編の3位以下ではタレント枠とアンケートでかせぐパターンの作品はありません。ですから『ONE PIECE』はこの78点がなければなんと7位まで落っこちちゃうのですね。

 もし今年、『バクマン。』がこれほど広い支持を集めなければ、この集計方法のおかげで『ONE PIECE』がトップを取っちゃってたかもしれない。

 それはちょっと不幸な結果じゃないか。宝島社は『バクマン。』に救われましたね。危ういところでありました。

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December 11, 2009

ベストテンのシーズン

  年末になってマンガのベストテンが複数発表されてます。こういうのにいろいろ批判もあるのは承知してますが、わたし毎年楽しみにしてます。今年もとりあえず三つ。

●雑誌「ダ・ヴィンチ」2010年1月号(2009年メディアファクトリー、467円+税、amazon
●『このマンガがすごい!2010』(2009年宝島社、476円+税、amazon
●『THE BEST MANGA 2010 このマンガを読め!』(2009年フリースタイル、951円+税、amazon

ダ・ヴィンチ 2010年 01月号 [雑誌] このマンガがすごい!2010 THE BEST MANGA 2010──このマンガを読め!

 「ダ・ヴィンチ」1月号と『このマンガがすごい!2010』を買ってきました。わたしも投票させていただいた『THE BEST MANGA 2010 このマンガを読め!』が書店に並ぶのは週末か来週みたい。

 わたしにとってこういう年間ブックガイドの第一の利用目的は、読みのがしてるマンガのチェックです。

 いくらネットでアンテナはっていても、もれてしまうマンガはあります。自分の守備範囲外だろうと思ってパスするものも多い。というか、すべての作品を読むのは不可能ですし。

 ですからこういうベストテンを見ますと、まず自分が読んでないのがどのくらいあるかを調べます。これがあまりに多くなってくると、時代と離れてきたんじゃないかとちょっと反省するわけですな。

 今年でいいますと、「ダ・ヴィンチ」のベスト20はほとんどわが家にあります。まあ「ダ・ヴィンチ」の場合読者投票によるベストですから、評価が定まって売れてるものばかりですしね。周回遅れというか。

 選者が存在するベストテンは「ダ・ヴィンチ」と同じじゃ存在意義がありませんので、そこに注目。

 『このマンガがすごい!』のオトコ編ベスト20のうち持ってるのが14作。オンナ編ベスト20のうち10作。

 うーんわたし、今年はちょっとダメだったかな。これが多いのか少ないのかよくわかりませんが、どっちにしても年末、持ってなくて読んでみたい作品を買いに走ることになるでしょう。

 こういう本の、もひとつの読みどころは誰がどういう作品を推しているか。その手があったか、とか、それは反則、とかを楽しむわけですね。

 やっぱ年に一度のお祭りみたいなものですしね。これからゆっくり読ませていただきます。

*****

 とか書いてたら、フリースタイルから『THE BEST MANGA 2010 このマンガを読め!』が届きました。

 こっちの本になるとベスト20のうちわたしの持ってるのは17作となって、自分の好みと親和性が高くなってるなあ。選者の年齢構成の違いもあるかもしれません。

 宝島社のものとはずいぶん違う順位になりました。でもわたしとしてはこっちのベストのほうが納得できます。ベストテンのマンガ、それぞれ一部が収録されてますし、わたしも投票してます。興味のあるかたはぜひご一読を。

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December 07, 2009

水野英子のトキワ荘

 水野英子『トキワ荘日記』(2009年私家版、1200円+送料)読みました。

 水野英子が石森章太郎、赤塚不二夫との合作マンガを描くため上京して、トキワ荘に住んだのが1958年の3月から10月まで。本書は、著者が執筆中の(あるいはもう書き終わってる?)自伝からトキワ荘部分を抜き出して自費出版したものだそうです。

 当時の合作マンガや石森マンガの一部も掲載されてますが、しかしつくづくこのころの石森章太郎は才気煥発ですねえ。

 別冊フロクのマンガとはいえ、1958年に見開き2ページでどーんと高空から砂漠を俯瞰。そこにハゲタカの影が輪郭線なし、スクリーントーンだけで表現されてるとは。

 100ページ未満の小冊子ですが内容は濃いです。時代の証言というだけじゃなくて、青春(著者にとっても、日本マンガにとっても)の息吹とでもいうものが伝わってくる文章でした。こんどは著者自身のトキワ荘以外の部分が読みたい。自伝全編が出版されないかなあ。

 書影や内容の一部は著者の公式ページ「水野英子の部屋」でどうぞ。購入は自分の住所氏名を郵送で知らせると振込用紙を送ってくれます。

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December 04, 2009

しゅーしゅーしゅーらーるー『ハックス!』

 今井哲也『ハックス!』3巻(2009年講談社、552円+税、amazon)を読んでましたところ。

ハックス! 3 (アフタヌーンKC)

 高校アニメ部に所属する主人公たちが、手描きアニメをつくってニコ動に投稿するのですが、その音楽として使用されてたのがこれです。

しゅー☆しゅー☆しゅーらーるー☆
しゅーらーらっしゃ しゅらば☆ばくー☆
ふぇーないそーまい
さりばびびっ☆かん
びぶりなぶー☆しゃいろーりー

 おお、これは。

 ある程度の年齢以上のかたならこれだけでわかるあの名曲、ピーター・ポール・アンド・マリーの「虹と共に消えた恋 Gone The Rainbow」じゃないですか。

 これねー、日本でもカバーされてヒットしましたが、歌詞の意味がわからなくてみんな耳コピしてました。ちなみにわたしは当時こういう感じで歌ってました。

しゅーしゅー しゅーらーるー
しゅーらーらくしゃく しゅらばばくー
うぇーないそーまい さりばびびゅー
かん びぶりんざぶるーしゃいろーんりー

 最後のほうは「the blue shy lonely」みたいに耳コピしてたわけですが、これはもちろんでたらめ。以下は複数の海外サイトに書かれてる原曲の詞です。

Shule, shule, shule-a-roo,
Shule-a-rak-shak, shule-a-ba-ba-coo.
When I saw my Sally Babby Beal,
come bibble in the boo shy Lorey.

 マンガ内の架空アニメ「言霊少女」のキャラクター「緋色」がこの歌を口ずさむ。そのアニメを見た主人公たちがこの歌を使用して自主制作アニメをつくる、という流れ。

 さてこの歌、日本語タイトルから想像されるような失恋の歌ではなく、反戦を訴えたメッセージソングです。

 マンガの主人公たちはこの歌の意味を知りません。しかし、マンガ内アニメのキャラ「緋色」が歌の意味を知って歌ってるかどうかは別にして、そのマンガ内アニメを作った製作者たちは歌の意味を知ってるはず。つまりマンガ内アニメの製作者たちは当然マンガ内アニメのこのシーンに反戦のメッセージをこめている、はずなのです。

 そして、このマンガの作者であり神である今井哲也は歌詞の意味を含めて、すべてのことを知っている。

 ほんとにそうなのかはわかりません。でもそう読まれるのが正しいと思うのですよ。

●オマケ:このCD、うちにもあります。「The Very Best of Peter, Paul and Mary」(amazon

ベスト・オブP.P&M

 アマゾンに飛びますと「虹と共に消えた恋」が試聴できます。ウチの子どもたちにこの曲を聞かせましたところ、マンガの印象がまったく変わってしまったと言っております。

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