『このマンガがすごい!2010』(2009年宝島社、476円+税、amazon
)のベストテンを見て、あれれ?と思ってしまったわけですが。

今年のオトコ編ベストテンには、週刊少年ジャンプ連載作品が三つもはいってました。1位『バクマン。』、2位『ONE PIECE』、9位『トリコ』。
かつてジャンプ作品が『このマンガがすごい!』のベストテンに選ばれたことがあったっけ。
昨年はなし。一昨年もなし。2006と2005の2位がごぞんじ『DEATH NOTE』。というわけでジャンプ系はこういう年末ベストテンとは相性が悪かったのですね。
ところが今年は『バクマン。』と『ONE PIECE』がワンツーフィニッシュ。ジャンプはまさに黄金時代を迎えたのか。って、おいっ。
もちろんジャンプは現在でも最も売れてるマンガ雑誌ですし、そこの看板作品が年間ベストテンの上位にくるのは当然ではあります。でもねー、これってあまりに意外性がないよなあ。黙ってても売れるマンガが上位にきて、ブックガイドになるのかしら。
で、『バクマン。』と『ONE PIECE』に対してどのような形で投票されたのか調べてみました。
『バクマン。』計174点。
1位に推したひと:エレキコミック今立進、恵文社バンビオ店、戸田書店呉服町店、芳林堂書店高田馬場店、宗亜俐、50点。
2位:芝浦工業大学、大西康裕、かーず、soorce、塚本浩司、45点。
3位:立教大学、福井健太、16点。
4位:ヴィレッジヴァンガードイオン八幡東店、浅田徹、長谷邦夫、藤本由香里、28点。
5位:紀伊國屋書店新宿本店、ケイ・ブックスコミック館、お茶の水女子大学、芝田隆広、24点。
その他、マンガ系学生から7点、読者アンケート4点。
『このマンガがすごい!』は昨年までと今年では、集計方法が大きく変わりました。
(1)タレント・作家・アーチスト枠を新設。
でも鈴木杏なんか、『ガラスの仮面』と『オチビサン』の二作しか挙げてないんだから、依頼しちゃダメでしょ。
(2)書店枠と大学漫研枠を拡大。
ま、これは納得できます。
(3)小中高生、マンガ専攻大学生や専門学校生、そして一般読者によるアンケート投票。
選者たちは1位10点、2位9点、以下5位6点までひとりで計66点を持っているのに対し、このアンケートでは1票=1点だからたいしたことない。なんてことはなくて、これがけっこうバカにならない得点力を持ってるのですね。
『バクマン。』は各氏から広く支持されています。青色で示してるタレント枠やアンケートで得たのは21点だけですから、もしこの得点がなくてもトップは変わりません。確かに今年を代表する作品ですね。
ところが『ONE PIECE』は得点のパターンが違います。
『ONE PIECE』計149点
1位に推したひと:エレキコミックやついいちろう、栗山千明、栞、立教大学、市川孝一、多根清史、60点。
2位:星野書店近鉄パッセ店、お茶の水女子大学、机器猫、27点。
4位:仲村みう、真部脩一、わんだ~らんどなんば店、だんげろうず、28点。
その他、小中高生から11点、マンガ系学生から7点、読者アンケート16点。
青色で書いたタレント枠とアンケートでなんと78点をかせいでます。
オトコ編の3位以下ではタレント枠とアンケートでかせぐパターンの作品はありません。ですから『ONE PIECE』はこの78点がなければなんと7位まで落っこちちゃうのですね。
もし今年、『バクマン。』がこれほど広い支持を集めなければ、この集計方法のおかげで『ONE PIECE』がトップを取っちゃってたかもしれない。
それはちょっと不幸な結果じゃないか。宝島社は『バクマン。』に救われましたね。危ういところでありました。
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