意外にも青春マンガ『8bit年代記』
書店のマンガコーナーじゃなくて、ゲーム攻略本の棚で購入。
●ゾルゲ市蔵『8bit年代記』1巻(2009年マイクロマガジン社、1200円+税、amazon)
日本のビデオゲーム史を、地方在住であった著者の少年時代と重ねて描いた自伝的マンガ。第1巻はインベーダーゲームからファミコン全盛の1987年まで。
著者の本性は「台無し発狂マンガ」にあるそうなのでどんな仕上がりなってるかと思えば、これがきちんとしていました。自身の経験をもとにしたうえに後年の取材でこれを補強。
わたし自身はインベーダーゲーム(1978年)のころはもうけっこういい歳でしたから、本書に描かれてるようなコイン投入するゲームはあまりしてません。
むしろホビーユース機として、NECのパピコンことPC-6001(1981年)でプログラム打ち込んだり、PC-8801mkIISR(1985年)で「ブラックオニキス」とかのゲームばっかりしてました(ただしさらにその数年後になると、コンピュータは、文書つくったり、表計算したり、統計計算したりする、「仕事で使うもの」に変化してしまいますが)。
ですから本書に描かれてるいろいろなゲームのあれこれは、目の端っこに映ってはいたけれど、あんまりよく知らないことばかり。楽しく読みました。
しかしこの第1巻で注目すべきはちょっと違ったところ。著者は高校時代、クラブ活動で本格的なセルアニメ制作にうちこむのですが、この時期を描いた数十ページはゲームと無関係。過去の自分と正直に向き合ったこの部分、著者も描きづらかったでしょうが、青春の情熱と勘違いと挫折がつまっているのですね。
実体験が、娯楽、フィクションとして昇華されたものになり、普遍性を持って読者に迫ってきます。じつにおみごとな青春マンガとなっているのにおどろいたのでありました。
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