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September 30, 2009

本年初秋のマンガ論@web

 この9月ネット上の文章などで、マンガ関連で注目すべきいろいろ。最近のWEB スナイパーは、はずせませんね。

少女漫画における起承転結 作=小島アジコ

 批評性もあるすっげえお下劣なエロ四コマ。

少年漫画における起承転結 作=小島アジコ

 批評性もあるすっげえお下劣な(以下略)。

よくよく考えてみたら膨大な数を読んでいた四コマ漫画についてざっくりと語っておこう 文=永山薫

 とくにいしいひさいち・植田まさし以後を細かく記述した四コママンガ論。それ以前については清水勲『四コマ漫画 北斎から「萌え」まで 』(2009年岩波新書)もどうぞ。

四コマ漫画の巨匠・植田まさしを読み解く! 来るべき植田まさし批評のために 文=ばるぼら

 永山薫による「植田まさしを決して舐めてはいけない」という一文に対するアンサーソングのような文章。植田まさしのデビュー作の謎を追った部分などさらっと書いてありますが、どれだけ調べていることか。あるのを証明するのは簡単ですが、ないのを証明するのはムチャ難しいのです。

なぜマンガは「Comics」なのか? 文=小田切博

 boxman さんによる「comics 」とは何なのかという根源的な問い。こういうのを調べるのはたいへん。先日コミケでお会いしたササキバラ・ゴウ氏もこういうしんどいことは誰か他のひとがやってくれないかなあ、とおっしゃってましたが、これは本来アカデミックな場で研究されるべきことでしょう。というわけで、とくに東北大学方面のかたがたはがんばるように。

マンガ用語:斜線の名前 文=すがやみつる

 カケアミの歴史について。すべては宮谷一彦から始まった。

【追記】↑とか書いてましたら、あすなひろしはどうなっとんねん、というメールをいただきました。
 おっしゃるとおりでございます。かつてみなもと太郎先生も追悼文で書いてらっしゃいましたが、カケアミで宮谷一彦に先行するのがあすなひろし。さらに宮谷一彦はあすなひろしを手伝ったこともあるらしい
 というわけで、「すべては」という記述は不十分で誤りです。申し訳ありませんでした。

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Comments

カケアミの起源、となると定義がイロイロ難しうございましてね。21世紀の目の肥えた読者なら「え、これがカケアミ?」と言いたくなるような「重ね斜線」ならそれこそ手塚治虫以前からいくらもあったようですし、更に遡って伊藤彦造、樺島勝一らのペン画、さしえ世界にまで行ってしまい、結局、写真製版以前の西洋の「エッチング」にたどり着いてしまいます。ドレとかテニエルの世界ですわね。
で、あすなひろしのカケアミですが、これが「他の追随を許さない」というか、彼独特のカケアミで、現在に至るも厳密な意味で「あすなカケアミ」をマスターしきれた人は居ないのではないか、と思われます。特にあすな氏は、晩年に至るまで人知れずカケアミを上達・進化させ続けており、未発表作品はモウ「神業」の領域に達しておりますから。
そこまで行かない、氏が商業誌で多忙だったころに手伝った人で(アシスタント、というわけでは無い)、一般読者に気付かせないレベルに達した方はいらっしゃいますけど。
で、あすな作品を観てカケアミの魅力に目覚めた代表者が宮谷一彦氏なわけですが、のちに「マルマル」「グルグル・蛇・ナワ」等と呼ばれるようになったカケアミは、これは確かに宮谷氏が考案、発展させたモノである、と考えて差し支えないと思われます。ある程度「腕」のある漫画家・アシスタントなら誰でもコナせる「ステロタイプ・カケアミ」がこのとき誕生したわけで、のちにそのままの「カケアミスクリーントーン」が発売されるまでは日本中のアシスタントが大迷惑したワケですね。あすな宮谷氏のおかげで。
要するに現在誰もが知っているポピュラーなカケアミは宮谷起源であり、宮谷氏にカケアミを伝えたのはあすな氏であるが、かといって「あすなカケアミ」と「宮谷カケアミ」は決して同じモノではない。こう理解してイタダキタイのでございます。

Posted by: みなもと太郎 | October 02, 2009 01:18 PM

 あすなひろし氏のところには、ぼくの同人誌仲間だった、ひおあきらや細井ゆうじが通っていて、えらく影響を受けていました。ひお、細井が同人誌時代にスクールペンを使って細い線を描いていたのも、あすな氏の影響です(ふたりとも、あすな氏の作品を手伝ったこともあったような記憶が……)。

 ひおあきらは、高校生のとき、宮谷氏のところでバイトのアシスタントもしていましたが、斜線の掛け合わせは、ずっと、あすなタッチでした。

 その、ひおあきらは高専を中退して石ノ森章太郎先生のアシスタントになったのですが、その頃から石ノ森作品の背景が斜線だらけになりました。

 あすなひろし、宮谷一彦、ひおあきら、細井ゆうじ……って、もしかすると三鷹つながりかもしれないですね。

 直線を重ねて陰影やグラデーションを表わす「カケアミ」は、確かに古くからありました。でも、ぼくたちは「掛け合わせ」と呼んでいまして、「カケアミ」なんて言葉を知ったのは、つい最近のことです。マンガ家の専属制度あたりが原因で、漫画用語の方言も深化していったのかもしれません。

 ところで昨日、大島やすいちさんのところに取材に行きまして、高校生時代、京都で沼田清氏のアシスタントをしていた時代の話などを聞いてきました。そうしたら沼田氏のところで直前までアシスタントをしていた方は、その後『ホモホモ7』を描かれた方だったという驚愕の事実(?)を教えてもらいました(^_^)。

Posted by: すがやみつる | October 03, 2009 05:25 PM

「ここ、見開きの夜景、描いて」
「そんな難しいの、出来ませ~ん」
なんつってた、最低のアシスタント野郎の事ですね。沼田先生がお忙しい時だけ電話で呼ばれて、2,3日手伝う形で、トータルしても数週足らずでしたが、私の生涯でアシスタントした唯一の先生です。仕事中、広沢虎造のレコードをかけられて、必ずクライマックスで「丁度時間となりました~」と終わるのに仰天し「ヒキ」の重要性を学びましたね。東京に出て来られたとき、20ン年ぶりにお会いする約束しましたのに、程なく亡くなられてしまい、タッチの差で再会できなかったのが今も残念です。冒頭の夜景は結局、沼田先生が「しょうがねえなあ」とか言いながら私にベタだけ塗らせ、先生がホワイトでテンテンテンテン…と、10分ほどでなにやら夜景らしき「見れる絵」が出来上がっていったのも凄い「名人芸」でありました。その後大島やすいち先生が入られて、沼田先生もさぞかしホッとなさったことでしょう。

Posted by: みなもと太郎 | October 04, 2009 02:34 AM

あすなひろし氏の話題に乗じて失礼します。

夜久弘「『COMICばく』とつげ義春」(福武書店,1989年)の第1章に出てくる、COMICばく創刊号で原稿を落とした漫画家Aというのは、あすな氏ではなかったかと長年思っているのですが、実際のところどうなのでしょうか。

Posted by: かくた | October 07, 2009 04:33 AM

不勉強で、私にはマッタク解りません。

Posted by: みなもと太郎 | October 08, 2009 08:24 PM

 ああぁ、あまりのメンバーの豪華さに、書き込みに参加するのも躊躇(ためら)われるのですが。
 私には、寧ろみなもと太郎先生のあの魅力的な文章がもっと残らないのが心配でなりません。
 『漫画の名セリフ』を「マンガ少年」連載当時読んで居て、“出版された”のを知ったのはバーゲンブック化されたあとだったしorz、『手塚治虫WORLD』は青年マンガ編を市民図書館で見て、少年マンガ編を見た時には既にブックオフの「B★コレ!」本になって居ました。orz みなもと先生の文章は皆良かったですよ。

 それでも今では『漫画の名セリフ』は角川からか再刊されたみたいだし、また買いたいと思います。あすなひろし先生のビームコミックス文庫『いつも春のよう』『林檎も匂わない』をひぇぇぇ有るんだ、なんてブックオフでそれぞれ¥105円で買ってしまった私ですが、そのあと何とか一番大好きで幸いブックオフには無かった『青い空を、白い雲がかけてった』上下を新刊で買っちゃったのは、間違い無くみなもと先生の『いつも春のよう』の寄稿文によるものだと思います。
 みなもと先生、『風雲児たち幕末編』は勿論買い続けてますので、出来ればもっとあの魅力的な文章をもっと残して下さいよ。名エッセイストじゃありませんか…。
 とか、「マンガ家」さんに御無理申して申し訳有りません。
 長文、失礼致しましたぁ。

Posted by: woody-aware | October 08, 2009 10:08 PM

そういえば、「Comic新現実」に連載されてたみなもと先生と大塚英志氏の対談を書籍化するという話はどうなったんだろう……(つぶやき)

Posted by: 漫棚通信 | October 09, 2009 04:06 PM

さあ………。

Posted by: みなもと太郎 | October 13, 2009 03:57 AM

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 よくのぞかせていただいている漫棚通信氏のブログで故あすなひろし氏に触れられていまして。http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/web-... [Read More]

Tracked on October 12, 2009 09:02 PM

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