狼と赤毛の踊り子
宝島社のこれを買ってきて、家族で見てました。
●「ドルーピー DVD BOX」(2009年宝島社、933円+税、amazon)
宝島社からは「トムとジェリー」「ポパイ」「ウッディー・ウッドペッカー」「ルーニー・テューンズ」「ベティ・ブープ」などの著作権保護期間切れのアニメーション・シリーズがいろいろと発売されてますが、これもそのひとつ。
ドルーピーは、テックス・アヴェリーがMGM時代につくったキャラクターです。
この2枚組DVDでは、27本の短編アニメが見られます。画質は悪いのですが、まあ安いからしょうがないか。
「ドルーピー」というタイトルですが、ドルーピーのシリーズは半分だけで、あとはノンシリーズのMGMアニメーション。27本中26本がテックス・アヴェリー監督作品です。
かつて30分番組「トムとジェリー」というのがありました。三本の短編アニメーションが放送されて、最初と最後が「トムとジェリー」、真ん中がそれ以外のMGMアニメーションでした。ここで見られたのが「ドルーピー」を含めたテックス・アヴェリー作品。会話の中で「トムとジェリーの真ん中」といえば、たいていはアヴェリー作品のことですね。
テックス・アヴェリーがMGM時代につくったアニメーションは、性格の悪い登場人物たちがくりひろげる、狂騒的なギャグとシュールな肉体変形が特徴。「カフカを読んだディズニー」と呼ばれたこともありました。
子どもたちも喜んでましたが、続けて見てると密度の濃さにもうへとへと。
実はMGM時代のアヴェリー作品は、現在ネット上ですべて見ることが可能です。
アヴェリーのMGM作品は、シネマスコープによるリメイクをのぞくと65本。今回のDVDで見られるのが26本。「Tex Avery's Screwball Classics 」という全四巻のVHSもウチにありますが、DVDとのダブリ以外が11本で計37本。
はずみがついてしまい、ええい、残りの28本も見てしまえ。というわけで、ここ数日間、ネット上のアヴェリー作品をえんえんと見続けておりました。バカですねえ。
で、わたしが好きで好きでたまらんのが、狼と赤毛の踊り子のお話です。色っぽいなあ。
ジム・キャリーの映画「マスク」で、ナイトクラブで歌うキャメロン・ディアスを見たジム・キャリーの目が飛び出て、アゴが落ち、心臓が(文字どおり)飛び出る、というギャグがあります。そのモトネタがこれ。
狼と赤毛の踊り子が登場するアヴェリー作品は全部で六つあります。
●おかしな赤頭巾 Red Hot Riding Hood (1943)
「Little Red Riding Hood 」とは赤ずきんちゃんのことですが、ここに「Hot 」がはいると何やらすごくエッチな感触のタイトルになりますな。すべての原点がこれ。赤ずきんだから赤毛なのね。
歌は「ダディ」にいろんなプレゼントおねだりするというもの。歌のとちゅうで「ウルフィ(狼さん)」とよびかけられた狼が舞い上がってます。
●アラスカの拳銃使い The Shooting of Dan McGoo (1945)
ドルーピーシリーズの一篇。歌は「キュートな狼さん、わたしを強く抱いて。海軍よりも陸軍よりも海兵隊よりもあなたはステキ」というもので、軍隊慰問ショーふう。時代ですなあ。
●狼とシンデレラ Swing Shift Cinderella (1945)
シンデレラなのにオープニングは赤頭巾で始まるという、セルフ・パロディみたいな作品。ミュージカルシーンは最も長くてデキがいい。「女の子はみんな狼さんに夢中」と歌ってます。
この作品のオチも、シンデレラは夜の12時に航空機工場に急いで行かなきゃならない、というものですから、おそらく戦争中の作品。
●迷探偵ドルーピー西部の早射ち Wild and Woolfy (1945)
ドルーピー・シリーズ。1945年につくられた狼と踊り子としては三作目。当時から人気あったのかな。今回はウエスタンショーで歌ってます。最後まで続くウエイターのギャグが最高。
●うそつきトム Uncle Tom's Cabaña (1947)
アンクル・トムがナイトクラブをつくって、そこで色っぽいリトル・エヴァが歌うというとんでもないパロディ。さすがに肌の露出はひかえめ。狼ふうに耳が立ってるキャラは、「アンクル・トムの小屋」に登場するサイモン・リグリーという悪役です。
●田舎狼と都会狼 Little Rural Riding Hood (1949)
最後はこれ。歌とダンスのシーンは「狼とシンデレラ」からの流用です。それでも都会狼と田舎狼の対比がおもしろい。
Comments
「踊り子」のアニメーション担当はプレストン・ブレアですね。
Posted by: 神々の腋毛 | July 13, 2009 11:15 AM