犬に感謝『星守る犬』
村上たかしのマンガはあまり好きじゃありませんでした。『ナマケモノが見てた』(1986年~)という動物ギャグマンガはかなり評判になりわたしも単行本をいくつか持ってるのですが、その絵とギャグの泥臭さにどうしてもついてゆけず、それきり。
ですから、これはわたしにとってずいぶんひさしぶりの村上たかし作品です。
●村上たかし『星守る犬』(2009年双葉社、762円+税、amazon)
オープニング、原野に放置された自動車内で死後一年以上たった男性と犬の遺骸が発見されます。
第一話は、生前の彼らがいかに生きて死ぬことになったかの物語。第二話は、その遺体の処理をまかされた福祉事務所の職員の物語。
ともにヒトと犬のかかわりを描いたもの。あいかわらず著者の絵は泥臭く、演出もうまいとはいえない。
しかし犬を飼ったことがある人間なら、犬を飼うという行為にある種の後悔があるはずです。彼らが飼い主に対してあらわしてくれた無限の愛情に自分は答えられたのかしら。せめてもっと散歩とかつき合ってやったら良かったのかなあ。
このマンガはそのあたりをぐさりとえぐるのですね。
わたし猫マンガにはあまり思い入れがないのですが、犬マンガはあきませんのですよ。谷口ジロー『犬を飼う』なんか反則だよなあ。
本書はヒトがいかに犬に救われているかを感謝したマンガです。書影に描かれているのは、地平線まで広がるヒマワリの花と一匹の犬。この絵が何を描いているのかは、本書を最後まで読んではじめてわかるようになっています。
Comments
どうでもいいことですが、村上たかし氏は京都大学経済学部中退なんですね。東大とか、京大出身のマンガ家さんて他にいらっしゃるんでしょうか?
私は『ぱじ』『ほんまでっせ!お客さん』等、村上氏の割とユルめの作品も好きでした。
ついでに言えば胡桃ちの氏とか小池田マヤ氏などを含め、関西テイストのB級(と言っては失礼か?)の作家群、結構好きです。なんか癒されるんですね。
西原理恵子さんや森下裕美さんの作品のように正座して読まなくてもいいようなところがうれしい、というか。
Posted by: natunohi69 | July 29, 2009 06:23 AM