80年代サンデー
週刊少年サンデー増刊号『少年サンデー1983 』(2009年小学館、600円+税、amazon)という雑誌が発売されてますが、これがなかなか楽しかった。
週刊少年サンデーの部数が最も多かったという1983年を回顧したもので、あまりこういう企画をしない小学館としてはめずらしい。
当時の雑誌からスキャンしたマンガ、連載1回ぶんずつが9作。それぞれ作者が自薦した回です。あだち充『タッチ』、高橋留美子『うる星やつら』、村上もとか『六三四の剣』、島本和彦『炎の転校生』、原秀則『さよなら三角』、細野不二彦『GU-GU ガンモ』、石渡治『火の玉ボーイ』、岡崎つぐお『ただいま授業中!』、新谷かおる『ふたり鷹』。
さらに作者インタビュー+その作品が好きなマンガ家のコメント。おまけとしてライバルのマガジンで描いてた小林まことのインタビュー。その他当時の記事や表紙、次号予告などを収録。
作者インタビューがそうとうにいいデキでして、ふりかえって今だから話せる、という感じの心情の吐露。インタビュアーがいい仕事してます。唐澤和也というかた。
このころのサンデーといえば、やっぱ『タッチ』と『うる星やつら』ですね。
わたし当時大学生でしたが、サンデーを立ち読みしてきた友人がわざわざわたしのところに、上杉和也が死んだっ、と伝えに来た。わたしもあわてて立ち読みに行きましたよー。
それから次の号が出るまで、あだち充なんだからあれはギャグにちがいない、いやホントに亡くなったはずだ、と論争してました(わたしの意見は後者ね)。
ま、いい歳をしたお兄ちゃんたちにとっても、それほど衝撃であったと。
その後の展開を見て、おお「タッチ」とはそういう意味の「タッチ」であったのか、とこれも感心しながら読んでました。
『うる星やつら』はTVアニメが絶賛放映中。のちに伝説となる劇場版第二作、押井守監督「ビューティフル・ドリーマー」の公開は1984年です。今大騒ぎになってる涼宮ハルヒ「エンドレスエイト」のモトネタのひとつです。
失礼ながら笑ったのが安永航一郎。
表紙掲載の9つのマンガには数えられていないのですが、サンデー本誌に前後篇で発表されたマンガ、『うで立て一代男』の前編が収録されてます。
ところが、36ページのマンガを4ページにムリヤリ詰め込んじゃうという掲載方法。1ページに16ページぶんが並べられては、はっきり言って読めやしません。掲載すること自体がギャグです。当然作者インタビューもなくて、短い作者コメントだけ。
作者紹介欄では「代表作を語ろうにも現在入手可能な著作無し」という自虐(?)ギャグ爆発してます。わはは。
安永航一郎については、島本和彦がインタビューで「増刊サンデーで連載していた『県立地球防衛軍』の安永航一郎が一番恐ろしかったですね。彼は東宝系の怪獣ものギャグだったんですけど、先にやられてしまうかもという恐怖がありました」と語ってます。わたしも彼の下品ギャグが大好きで、単行本は全部持ってるはず。
今、同人誌活動のほうはどうなってんのかな、と、今年の夏コミのカタログをめくってみますと、安永氏の「沖縄体液軍人会」は三日目、東Z-04で出展してました。
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