個人的なことをひとつ
わたしはマンガ周辺に生息するアマチュアブロガーですが、これまでに一度だけ、原稿料が発生する仕事をしたことがあります。
飛鳥新社が2006年に創刊した、団塊世代向けの「団塊パンチ」という雑誌がありました。この雑誌が2007年に「dankai パンチ」としてリニューアルされたとき、縁あって一回だけマンガレビューを書かせていただきました。
数日かかって、やっとこさ第一稿として四本の短文を書き上げ、清書してメール送信したのが2007年6月3日の21時ごろ。やっと一段落だ、やれやれ。
その後、寝っ転がって読みだしたのが、あの、唐沢俊一著『新・UFO入門』でありました。
どぅわっ。これは盗作とちゃうんかいっ。気分はまさにジェットコースター。
その日はほとんど眠ることができず、翌6月4日は仕事の関係で朝早くに職場に到着し、始業時間まで憤然としながらブログ原稿を書き始め、夜になって「これは盗作とちゃうんかいっ」というエントリをアップしました。
以後、唐沢氏・幻冬舎サイドとの数か月にわたるドタバタ交渉が始まるわけです。
アタリマエですが仕事もありますし、唐沢氏サイドとメールのやりとりもしてるし、ぷんぷん怒りながらブログも書きつづけてるし、いっぽうでマンガレビューのほうも決定稿にするのに書き直しをしなけりゃならないし。原稿を仕上げるまで、タイヘンな数日間でした。
こういう状態で書きあげたのが文字数20×21のマンガレビューふたつ。あらすじなんか書いてたらそれだけで終わってしまう文字数です。短い文章でもそれなりに個性を出さなきゃいけないのがむずかしかった。
事情があって「dankai パンチ」とのおつきあいはこれ一回だけで、今はもう雑誌も休刊してしまいましたが、このときはいろいろと勉強させていただきました。
そのレビューでとりあげたのは、吉田秋生『海街diary 1 蝉時雨のやむ頃』と、岡崎二郎『宇宙家族ノベヤマ』1巻です。それぞれわたしにとって思い出深い作品になりました。
で、『宇宙家族』のほうが、二年ぶりに発売された2巻で完結しました。
●岡崎二郎『宇宙家族ノベヤマ』1・2巻(2007年~2009年小学館、514円+税、amazon、
bk1)
ふつうのサラリーマンであるところのノベヤマさんご一家が、なぜか国家から選ばれて宇宙へ行くことになります。彼らがさまざまな宇宙人、さまざまな文明と出会い、星間文明の謎を解いていくお話。
テーマはコミュニケーション、なのかな。
ロケットのような閉鎖空間、そして危機的状況で、家族はどうかかわり合うべきかというミクロな問題と、異なる文明間のコミュニケーションはどうあるべきかというマクロな問題が同時に語られます。
1巻では前者後者のバランスがよく楽しめましたが、2巻でお話の展開は少し駆け足になって、後者が話題の中心となります。そのぶん、「宇宙家族」があまり活躍しなくなったのがちょっと残念。
スケールの大きな哲学的本格SFと家庭内物語の融合は、著者のような練達の士ならでは。お話もきれいに終わってぱちぱち。
Comments
飛鳥新社の赤田祐一さんですね。
かつて、サザエさんの「謎本」を出した
コリ性のユニーク編集者。
ぼくは、彼が飛鳥にもたらした利益で創刊された
コミックペーパー「日刊アスカ」編集部へ
約1年在籍しました!
赤田さんは、そのときは辞めておられたんですが。
団塊パンチ~休刊しちゃったんですか!
赤田カラーを極力抑えた印象の雑誌でしたね。
Posted by: 長谷邦夫 | May 10, 2009 02:14 PM