世代限定記憶再生装置『昭和ちびっこ広告手帳』
こういう本がありまして。
●おおこしたかのぶ『ちびっこ広告図案帳 ad for KIDS: 1965-1969』(1999年オークラ出版、4800円+税、amazon、bk1)
●おおこしたかのぶ『ちびっこ広告図案帳70's AD for KIDS: 1970-1974』(2003年オークラ出版、7429円+税、amazon、bk1)
かつての少年誌や少女誌に掲載された広告をカラーで復刻したもの。お菓子やらオモチャやら文房具やら、なつかしいものがいっぱい並んでます。
といっても個人の趣味の範囲で作られた本ではありません。雑誌を提供したのが「現代マンガ図書館」、広告をデジタルでレタッチしたのが図書印刷株式会社。元画像の色ズレや、やぶれたページの欠落画像までも修復され、はっきりくっきりした仕上がりを誇っています。
読み終われば捨てられてしまう雑誌、そこに掲載された雑誌広告を、昭和の子ども文化の一面として後世に残す目的で作られたそうです。二冊とも今も現役で買えますが、個人で買うにはお値段がちょっとアレなのがきつい。
で、このうち『1965-1969』のほうが、文庫化されました。
●おおこしたかのぶ/ほうとうひろし『昭和ちびっこ広告手帳 東京オリンピックからアポロまで』(2009年青幻社、1200円+税、amazon、bk1)
じつは著者および出版社よりご恵投いただきました。ありがとうございます。サイズは文庫ですが、いい紙を使っててオールカラー。元版が311ページなのに対して、文庫は288ページ、これに広告画像がみっちりつまっています。
書影に登場してシェーをしてるのは、「コビトシェーガム」の懸賞品「白バイヘルメット」をかぶった保積ぺぺ。コルゲンコーワのTVCM「おめえ、へそねえじゃねえか」でおなじみでした。この雑誌広告は1966年の少年サンデーですが、直後に実写版TVドラマ「丸出だめ夫」に主演します。
広告が採集された雑誌は1965年から1969年までの「少年サンデー」「少年マガジン」「少年キング」「マーガレット」「少女フレンド」「少年画報」「少年ブック」「冒険王」などなど。
この本、いやースミマセン、わたしの年代だけにど真ん中ストライク、なのかもしれません。こづかいのすべてをマンガとお菓子とプラモデルに投入していた日々を思い出してしまいました。
マンガがからむものだけでも、アトム、オバQ、パーマン、おそ松くんなどのお菓子。そしてお菓子を集めるともらえる懸賞品のかずかず。これを見ると子ども時代の物欲と同時にクヤシイ思いもよみがえってくるのですよ。
マーブルチョコのレーシングカーセットやオバQガムのテープレコーダーはやたらと豪華。王や長嶋のサインボールも懸賞品だったなあ。オバQのラジコン人形や、丸出だめ夫のボロット電気スタンド、あったあった。
森永チョコボールの景品「まんがのカンヅメ」はこの時代に始まったものです。おお、なかに入ってるマンガは長谷邦夫先生の『しびれのスカタン』だ。これに対抗したのか、明治製菓が「悟空の大冒険」お菓子を集めるともらえる「悟空のきんそう棒」というプレゼントもやってました。これ欲しかったんだ。
そして、プラモデル。わたしは戦車とか飛行機より、イマイのサブマリン707とかサンダーバードとかマルサンのゴジラとか、そんなものばっか作ってました。そしてアオシマの月着陸船イーグル5号。作った作った。
女の子向けの商品もいっぱい載ってますが、リカちゃんはともかく、タミーちゃんとかスカーレットちゃんとかミニーちゃんとか、この時代は金髪の人形ばっかりだったのね。
今をときめく任天堂の広告がひとつだけ掲載されてます。「とってもすてきなテレビ型ケース入 絵本トランプ」です。この時代、任天堂の主力商品はディズニーやウルトラマンのキャラクターを使用したトランプだったそうですが、それにしてもこのウルトラマンや怪獣のイラストはしょぼい。
とまあ記憶再生装置として超強力、かつ資料性がきわめて高い本です。堪能しました。
Comments
漫棚さんの記事を見て早速買ってきました。
私は67年生まれなので、広告をには馴染みがありませんが
商品は懐かしいモノがいっぱいあって見入ってしまいました。
「70's」も廉価版が出てくれるといいなあ。
Posted by: ぐりぞう | April 15, 2009 11:20 PM
あ、なるほど。この本、こちらでも注文してみます。
少年雑誌では、ゲルマニウムラジオやトランジスタラジオキットの広告が気になっていました。ファーストなんてロケット型のゲルマラジオを出していたお店の広告も記憶にあります。
石ノ森章太郎先生のセメダインの広告のマンガも。
グリコの「ペソ」という得点を集めるプレゼントでは、グローブとローラースケートをもらったことがあります。ローラースケートのタイヤは鋳鉄製で、走るとうるさくてたまりませんでした。しかもぼくの子ども時代は、道路も舗装されていなかったので、走れるところもありませんでした。
Posted by: すがやみつる | April 13, 2009 11:02 PM
赤塚先生の色紙は、おそ松・カラ松・チョロ松のラベルを集めて三枚ひと組で送ると全員プレゼントだったみたいですね。
Posted by: 漫棚通信 | April 13, 2009 08:45 AM
http://www.m-sugaya.com/gif/shikishi/akatsuka_fujio.jpg
この色紙もコビトのチョコかガムの得点を集めてもらったような記憶があります。
Posted by: すがやみつる | April 12, 2009 08:42 PM