『劇画漂流』英語版
ニュースとしてはちょっと古くなりましたが、第13回手塚治虫文化賞ノミネート作品がこちら。
●吉田秋生『海街diary』
●くらもちふさこ『駅から5分』
●よしながふみ『大奥』
●五十嵐大介『海獣の子供』
●辰巳ヨシヒロ『劇画漂流』
●中村光『聖☆おにいさん』
●さそうあきら『マエストロ』
どちらかというとジミめの作品が並びました。今年は選考委員が交代したこともあって(印口崇、呉智英、竹宮惠子、中条省平、永井豪、藤本由香里、三浦しをん、村上知彦)、賞レースとしてはなかなか予想しづらい。
この選考委員メンバーたちが、吉田・くらもち・よしなが作品をどのように考えるかがポイントかしら。票が割れそうな気もします。
ただわたしとしては、“手塚治虫”文化賞なんだから今年は辰巳ヨシヒロ『劇画漂流』しかない、と思ってますけどね。手塚リスペクトにあふれた作品ですし。
この『劇画漂流』、英訳されるはずだったけど、どうなってんのかなとアマゾンをのぞいてみますと、ありました。予約受付中です。
●Yoshihiro Tatsumi 『A Drifting Life 』(2009年Drawn & Quarterly、amazon)
出版元のサイトに行きますと、辰巳ヨシヒロ描くところの手塚キャラの模写があって、そこをクリックすると『A Drifting Life 』のページに飛びます。
英文タイトルでは、漂流するのは「劇画」じゃなくて「人生」です。さすがに「gekiga 」は説明しづらいよなあ。日本版の上下巻を一冊にまとめて840ページ、枕にするのもキツいくらいのぶ厚い本になってます。ちょっと読みにくそう。
気になるのは書影を見ていただければわかるように、英語版は左開きになってます。つまり左右逆版にしてるみたいですね。
歴史的な作品や本にいろいろと言及している作品ですから、これを左右逆版にしちゃってどうする、という気もします。きちんとできているかちょっと心配。ってわたしが心配してどうなるわけでもないのですが。
Comments
投票によって選ばれるものと、数人の審査員が合評で選ぶものは当然ちがってきますが、そこがおもしろいところでもあります。個人的には手塚治虫文化賞は、ヒモつきの講談社漫画賞や小学館漫画賞より注目してます。ただしこれも審査員の顔ぶれがどうか、という点が大きいですね。
Posted by: 漫棚通信 | March 24, 2009 09:31 PM
あるジャンルでどの賞が、どう権威を持つかというのは結局のところ自由競争でしょうけど、自分の中では手塚治虫賞の権威ってやっぱり落ちている気がするんですが。
やっぱり素人的には毎年「このマンガがすごい!」の一位は何かな?とかのほうが気になってきますし、書店員が選ぶ賞や、SF限定ですが星雲賞も手塚治虫賞以上に気になってしまう。
「地味な作品でも良作に光を当てる」みたいなスタンスの賞も、それはそれで必要ですが
Posted by: Gryphon | March 24, 2009 02:07 AM