天下の奇書になるかも『ハタキ』
いやーこれはすごいというかなんともどうも。
野中英次『ハタキ』1巻を読んだとき、わたしはわけわからんわー、という感想を書きましたが、2巻を読んでも、わけわからんぞー。
●野中英次『ハタキ』2巻(2009年講談社、533円+税、amazon、
bk1)
ジャンプシステムのせいかどうなのか、連載第一回で今後の展開が読めてしまう作品が多いなか、単行本一巻をついやしても先がまったくわからないという作品が『ハタキ』でした。
で、第2巻が発売されたわけですが、物語の謎はますます深まるばかりです。
「ハタキ」という名のブタのようなペットを飼い出した主人公。ハタキの登場とともに、主人公のそれなりに安定していた生活は激変することに。
2巻は主人公のアイデンティティ崩壊の危機から始まります。まさにディックのような展開。妻は本当にいたのか、これまでの人生は本当にあったものなのか、すべては自分の妄想なのか。おお、一巻の展開をすべてちゃぶ台返しするか。
うわぁ、どうなるんだろう、という読者の興味はほったらかし、そんなことはどうでもいいこととして、お話はホラー方面に、さらに世界を巻き込んだSF(?)方面に展開していきます。
わが家では、読んだ人間からつぎつぎと、なんじゃこりゃーっ、という声が上がってまして、深遠なストーリーが用意されている説と、いきあたりばったりにテキトーに描いてるんじゃないか説が対立しております。
いずれにしても天下の奇書になりうる可能性十分です。ただし野中英次ですから、オチで脱力が待っているのはまちがいないような気がしますが。
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