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February 07, 2009

昭和の風景

 昭和という時代、少女たちはどういう生活を送っておったのか、というサンプルふたつ。

●曽根富美子『ブンむくれ!!』1巻(2009年講談社、619円+税、amazonbk1

 時代は昭和41年。場所は北海道の空知炭坑。主人公、ブンむくれのブンコ(♀)は小学三年生で、家族といっしょに炭住の長屋に住んでいます。

 著者の体験をもとにしたフィクションで、ブンコ一家を中心とした人間模様が描かれます。なかでもブンコの父ちゃんは炭坑一の飲んだくれ=ほとんど酒乱なのですが、このマンガが暗くない。

 というか、思いっきり明るく、元気いっぱいのマンガなのです。絵も『親なるもの断崖』と同じ著者とは思えないほどはっちゃけており、今はもうなくなった炭住(炭坑住宅)の生活が活写されてます。

 昭和41年にはすでに炭坑不況が始まっていたはず。しかしこの時代の空気は、子供であった著者に元気を感じさせたのでしょう。子供の目からみた時代の証言。
 
 で、その約10年後の少女の姿がこれ。

●松田奈緒子『スラム団地』(2009年メディアファクトリー、880円+税、amazonbk1

 こちらは九州。時代は昭和50年代はじめ=1970年代後半です。巨大団地で暮らした著者の思い出をつづったエッセイマンガ。

 「スラム団地」とありますが、別に団地がスラムであったという意味じゃなくて、単に「スラムダンク」のダジャレ(?)。ウルトラマンモス小学校に通う生徒の八割が団地住まい、というからこれはでかい。

 団地に子供が多かった時代、そこには共同社会があり、子供会があり、ひみつ基地がありました。ここに描かれた思い出も、ひたすら元気。

 主人公や家族が元気なひとたちというせいもありますが、この二冊の昭和はともに、子供が元気な時代だったとして描かれてます。

 ノスタルジーもあるでしょうし、思い出は美化されるものです。それでも、子ども時代を楽しく回顧できるのは幸せなことです。それを読むこちらもニコニコしてしまいます。

 かく言うわたしは、昭和30年代、幼年時代を阿蘇山系の山村ですごしました。そこが自分の原風景です。そのころの思い出といえば虫取りと洞窟探検とサトウキビとどんど焼きと三本で10円のヤキイモであったりするのです。あー田舎だったなあ。

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Comments

流水りんこ氏の『昭和のこども こんな親でも子は育つ! 1』(ぶんか社,2008年 6月)もいいですよ.
むかしはけっこう野蛮だったんだなとおもわせるところと,それでもどこかなつかしい,現代とはちがう人間くささとが描きだされています.

Posted by: ひでかず | February 08, 2009 11:35 PM

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