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December 26, 2008

ルドルフの物語

 ここ十年近く風邪をひいたことがなかったのですが、ついに寝込んでしまいました。38度5分。というわけでクリスマスはうんうんうなっていたので、出しおくれたネタです。

 「赤鼻のトナカイ」という歌をご存じでしょう。クリスマス・ソングの定番。日本語では「真っ赤なお鼻の トナカイさんは」というやつね。フルバージョンはこちら

 で、この曲の原題は「Rudolph the Red-Nosed Reindeer」です。モトウタの初めのほうはこういう歌詞。

Rudolph, the red-nosed reindeer
had a very shiny nose.

 もととなる詩を書いたのはロバート・メイというアメリカ人で、じつはこのかた、広告屋さんです。かれはデパートからの依頼で、クリスマス・シーズンの販促のため、ルドルフの物語と詩をつくりました。これが大ヒット。ルドルフの人形がたいへん売れた、かどうかは知りませんが。これが1939年のことです。

 ルドルフのお話は北欧のおとぎ話なんかじゃなくて、コマーシャリズムの産物でありました。ちょっとがっかりするひともいるかな。

 時は流れて、これに曲をつけて歌にしたのがクリスマス・ソングをいっぱい作ってるジョニー・マークス。いろんなひとが歌ったみたいですが、とくに1949年、「歌うカウボーイ」ことジーン・オートリーが歌ったレコードは大ヒットしました(ちなみにこのジーン・オートリーさん、「Here Comes Santa Claus(サンタクロースがやってくる)」の作者かつ歌手でもあります)。

 さらに時は流れて1964年、「赤鼻のトナカイ ルドルフ」の物語を、アメリカのランキン/バス・プロダクションがTV向けの人形アニメーションとして製作、アメリカNBCで放映されました。

Rudolph the Red-Nosed Reindeer (Full Amar) [DVD] [Import] ルドルフ 赤鼻のトナカイ【通常盤】 [DVD]
↑左の英語版DVDはリージョン1ですからまちがえて買わないように。右の日本語版は今ならアマゾン以外のショップで扱ってます。

 この作品はかつて日本のテレビでも放映されたことがあります。最初はNHKだったそうですが、わたしが見たのは30年ほど前でしょうか、当時大阪の朝日放送がクリスマスになると毎年、ランキン/バス・プロダクションの人形アニメを放映してたのですね。「赤鼻のトナカイ」を含めた数本をローテーションでくり返しやってた記憶があります。


★注:ランキン/バスにくわしい方からメールをいただきました。上記のわたしの記述はマチガイ。朝日放送では以下のように放映されたそうです。ありがとうございました。

1978年 『町一番のけちんぼう』(1978) The Stingiest Man in Town セルアニメ
1979年 『赤鼻のトナカイ ルドルフ物語』(1976) Rudolph's Shiny New Year人形アニメ
1980年 『ピノキオのクリスマス』(1980) Pinocchio's Christmas 人形アニメ
1981年 『サンタのいないクリスマス』(1974) The Year Without a Santa Claus 人形アニメ
1982年 『サンタが町にやってくる』(1970) Santa Claus Is Comin' To Town 人形アニメ
1983年 “はじめてのクリスマス”という番組タイトルで2作品放送。 第一話『長い耳のロバのネスター』(1977) Nestor, The Long-Eared Christmas Donkey 、第二話『クリスマスの贈り物』(1975)The First Christmas: The Story of the First Christmas Snow 人形アニメ
1984年 『動物ランドのクリスマス~かわうそエメットのガラクタバンド~』(1977) Emmet Otter's Jug Band Christmas 人形劇(ランキン/バスじゃなくて、ジム・ヘンソン)
1985年 『サンタとこぐまのクリスマス』
1986年 『サンタの秘密と大冒険』(1985) The Life and Adventures of Santa Claus 人形アニメ
1987年 『不思議の森の大冒険!たのしい川べの愉快な仲間』(1983) The Wind In The Willows 人形アニメ 


 この作品を英語のwikipediaで調べてみますと。

http://en.wikipedia.org/wiki/Rudolph_the_Red-Nosed_Reindeer_(TV_special)

 なにがどうしたんだというくらい、書いてある量が多いっ、記述がこまかいっ。

 えーじつはこの人形アニメ、アメリカではクリスマスごとにくりかえしTVで放映される、まさに定番中の定番。誰でも知ってるミュージカル・アニメだそうです。だからでしょう、思い入れのある人間が多くて、みんな書きこむ書きこむ。

 YouTubeでどうぞ。

http://jp.youtube.com/watch?v=0ePeDa8GZiA

 日本語の字幕がはいってて画質がいいのは、日本語版DVDを発売してるショップがYouTubeにアップしてるからです。

 さて、アメリカ人が大好きなこの「赤鼻のトナカイ」という人形アニメ、英語版wikipediaには書いてありませんが、日本人が大きくかかわっていました。
 
 「the BIG CARTOON DataBase」で調べてみますと、「Animated by Tadahito Mochinaga (Animation Supervisor)」と記載されています。

 持永只仁。彼の名を検索してトップに出てくるのが、comic boxのサイトに書いてある略歴です。持永只仁は「桃太郎の海鷲」などに参加したあと中国へ。中国在住中に人形アニメを始め、日本のこの分野の開拓者となりました。

 ランキン/バス・プロダクションが製作した人形アニメーション作品はたくさんありますが、彼らの最初のテレビシリーズ「ピノキオの新しい冒険」(1960年)のときから、下請けとして実際に人形をアニメートしていたのが日本で持永只仁が創立したMOMプロダクション(1967年に持永がMOMを離れたのちはビデオ東京)でした。脚本や絵コンテ、音楽、人形や美術デザインがアメリカ、実際の演技や踊りの振り付けなどのアニメートが日本、という分担だったようです。この下請けは1972年まで続きます。

 ただし持永只仁自身はこの時代のものは誇れる仕事とは思っておらず、語りたがっていなかったそうです。このあたりのことは小野耕世『バットマンになりたい』(1974年晶文社)や森卓也『アニメーションのギャグ世界』(1978年奇想天外社)にくわしいです。

 1964年の人形アニメ「ルドルフ 赤鼻のトナカイ」の成功以来、ランキン/バス・プロダクションは、「ホリデイ」に「アニメ・TV・スペシャル」を放映するプロダクションとして有名になります。

 当然、ルドルフもスター・キャラですから、1976年「Rudolph's Shiny New Year」、1979年「Rudolph and Frosty's Christmas in July」などに再登場して活躍することになるのです。

 アメリカのデパート売り上げのために作られた詩のキャラクターが、歌になり、人形アニメになり、日本人の手で命を吹き込まれ動きを獲得し、世界じゅうで知られるようになるまでの物語でした。

*****

(オマケ)

 しかしあれですな、YouTubeで探すとランキン/バスの人形アニメが断片ですがいろいろ見つかるという、けっこうな時代になったものです。なかでもシニカルなギャグが満載と名高い「Mad Monster Party」(1967年。これも日本が人形アニメートを担当してます。脚本に「MAD」のハーヴェイ・カーツマンが参加)は、予告編だけじゃなくて全編(90分以上あるのを10パートに分けてる)をアップしてるやつがいて驚きました。

Mad Monster Party [DVD] [Import]
↑これもリージョン1ですからね。

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Comments

『日本のアニメはアメリカでどう見られてきたか』にも記述がありますね。
ところで著作権は切れていないんじゃないのですか。Youtubeに直接リンクは感心しません。

Posted by: FL | December 27, 2008 at 07:11 PM

うーん、日本のショップが日本語版DVDの販促のために編集したものをYouTobeにアップしたものだから、きっとオフィシャルなものだろうという判断なのです。

Posted by: 漫棚通信 | December 27, 2008 at 08:27 PM

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