「COM」と「コミケ」をつなぐもの
霜月たかなか『コミックマーケット創世記』(2008年朝日新書、700円+税、amazon、bk1)読みました。
著者は第1回から第12回までのコミックマーケット代表。いかにしてコミックマーケットが始まったか、その前史と、初期のコミケットはどのようなものだったかが、自身の個人史とともに書かれています。
著者の世代的なものもあるのでしょうが、マンガ同人活動にはまず「COM」ありき、だったのが再確認できましたね。本書にはCOMという雑誌名がくりかえし登場してきます。
虫プロのマンガ雑誌「COM」は1966年末に創刊されました。1971年末に実質的に終了するまでの五年間、COMは全国のマンガ同人を組織化しようという野望(?)を抱いて活動していました。
いち雑誌の手に余る事業であり、実際それは挫折することになるのですが、その後のマンガ同人活動に大きな影響を与えました。マンガの読者であって、マンガを読む以外のなんらかの活動をしたいという人間はさらに増え、彼らはどこへ行ったらよいのか。
その受け皿となったのが1975年に始まるコミックマーケットでした。本書は「COM」と「コミケ」をつなぐミッシングリンクを明らかにしたものです。いや勉強になりました。
COMという上からの同人統合組織がなくなったかわりに、アマチュア同人たちが自分たちの手で同人活動の場をつくった、という形でしょうか。そしてこのあとにやって来るのが、「ネット」ということになるのかな。
コミケットはその後どんどん巨大化していくことになります。本書の歴史的証言は、コミックマーケット準備会がつくったこの本、『コミックマーケット30'sファイル』(2005年有限会社コミケット/青林工藝舎、2000円+税、amazon、bk1)と互いに補完しあう関係になります。
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