悲しき落丁本
わたしはいわゆるコレクターではありませんので、古書を定価以上で買ったことはほんの数回あるだけです。「今」のマンガも気になるし、古書まで集めてたらお金とスペースがいくらあっても足りなくなっちゃいますしね。
そういうわたしが、かつてそれなりのお値段で手に入れた本。
●寺田ヒロオ編著『「漫画少年」史』(1981年湘南出版社、2400円)
寺田ヒロオがまさに命を削って編集発行した、雑誌「漫画少年」の資料集です。「漫画少年」はもちろん新人マンガ家を多く輩出した伝説のマンガ誌ですが、寺田ヒロオによるこの『「漫画少年」史』の出版を含めて、歴史の一部になってますね。
内容は、代表作品の復刻、投稿作品の復刻、多くのひとから寄稿された「漫画少年」の思い出の文集、そして全巻の作品目録と入選投稿マンガの作者名。
うしおそうじ『チョウチョウ交響曲』とか手塚治虫『ジャングル大帝』とか藤子不二雄の4ページマンガとか、あるいは当時の投稿マンガは見てるだけでも楽しい。文章を寄稿したヒトは多士済々、スゴイ人数になってて、これも資料性高し。
でね、この本、ケッコウな美本でしてわたし喜んで読んでたら、あっと驚いた。なーんと、落丁本だったのですよ。
マンガ復刻のページが、8ページにわたって真っ白け。ふにゃー、泣いた泣いた。
いやなんでこんなことを思い出したかと言いますと、この本↓を読んでましたらね。
●辰巳ヨシヒロ『劇画漂流』上巻(2008年青林工藝舎、1600円+税、amazon、bk1)
劇画の草創期を描いた自伝マンガです。「まんだらけ」の目録に連載されてましたが、ついに単行本化されました。下巻は年末に発行予定。海外での出版も決定してるそうです。
上巻には少年時代の辰巳ヨシヒロと、兄の辰巳義興(=桜井昌一)が、「漫画少年」にマンガを投稿して入選する、というシーンが出てきます(マンガ内では勝見ヒロシと勝見興昌という名になってます)。
で、『「漫画少年」史』では辰巳兄弟の投稿マンガが復刻されているはずなのですが、わたしの持ってる本では、その部分は見事に白紙ページなのでありました。ああ、くやしいったら。
Comments
わたしも今年、まんだらけで購入したものが同様の状態でした。
後日、苦情を言いに行ったら、在庫があったので交換してもらえましたが(笑)
Posted by: ギャラット | December 16, 2008 12:42 AM