頭だけじゃなく手も
特殊職業ものというジャンル(?)があります。あなたの知らないいろいろな職業を、マンガで紹介してくれるわけですな。
ハデなパフォーマンスが可能な職業(消防士とか弁護士とか医師とか料理人)はもちろんマンガになりやすいのですが、ご近所の鉄工所が舞台ならどうなるか。マンガになるのか?
●野村宗弘『とろける鉄工所』1巻(2008年講談社、580円+税、amazon、bk1)
これがりっぱにマンガになるのですね。
登場人物は広島の「のろ鉄工所」につとめるひとびと。彼らの仕事は「溶接」です。で、これがいかに熟練の技を要するか、危険と隣り合わせか、をゆるーい笑いとともに描いたマンガ。
「とろける」とは溶接の火でもって、鉄やら皮膚やらが焼けることらしいです。コワいです。でも男らしいぞ。
このマンガのどこがすばらしいかというと、登場人物がある技術を持ちたいと望み、技術を持っているひとを尊敬するという態度。これが読者を(ちょっと)感動させます。
何らかの技術を持っている、しかも熟練者は、かっこいい。おそらくヒトがヒトであるならば、原初より持っているはずの意識です。これは地方の鉄工所でも同じのはず。
で、方向性はまったく違うように見えるのですが、実は根っこで通じてるんじゃないか、と思われるのがこれ。
●今井哲也『ハックス!』1巻(2008年講談社、552円+税、amazon、bk1)
こっちは高校アニメ部に入部したおねーちゃんが、どんどんアニメーション技術を習得して成長していく話(?)らしい。
技術を習得してうまくなりたい、という気持ちは、溶接もアニメも同じなのじゃないかしら。
頭で考えるだけじゃなくて、実際に手を動かして仕事するひとびとこそ、尊い。技術を尊敬する態度、これを忘れたくないものであります。
Comments
http://kohsaku.xblog.jp/ 「かたん工作日記」という鉄工所のブログがあります。
2008年7月13日から6回にわけて溶接工の漫画が掲載されています。しろうとのマンガですが、なかなか読ませます。溶接の職人さんの世界をのぞかせてもらった気分になります。
2008年7月の目次から「続、ウェルドマン。 その1」を選んでください。
吾妻ひでお「失踪日記」のガス配管工の生活もおもしろかったですね。
Posted by: しんご | December 04, 2008 08:39 PM