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October 02, 2008

短編はマンガの基本

 マンガ雑誌単位で編集された短編アンソロジー。

●『ビーム短編傑作選 奥村編集長セレクション マンゴー編』(2008年エンターブレイン、780円+税、amazonbk1
●『ビーム短編傑作選 奥村編集長セレクション いちぢく編』(2008年エンターブレイン、780円+税、amazonbk1

 

 ビームとはもちろん「月刊コミックビーム」。奥村編集長とはもちろん桜玉吉作品などで有名なアレな編集長ですが、このかた、秋田書店の伝説の編集者、壁村耐三ゆずりの熱い心の持ち主としても知られてます。

 雑誌の中で読み切り短編の占める割合はけっして多くはありません。しかも、その作家の作品集でもないかぎり収録されないから一期一会でもあります。そこで埋もれた短編にもういちど光を、という企画。各作品にそえられた、編集長からのひとこともいい味出してます。

 こういう企画の書籍、ほかの雑誌からも出してくれないかな。

 今回の二冊では、いちぢく編の福耳ノアル作品と、仲能健児作品にシビレました。ともにぶっとんだ内容です。

 しかし書影の桜玉吉による編集長似顔絵がすごいですねー。書店ではオビで半分隠れてるからいいようなものの、これをジャケ買いするやつは、まあおるまい。

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Comments

森薫『エマ』の(たぶん)第二巻あとがきまんがに
「O村さんは私のことを『あーありゃ変なねーちゃんだ』と呼んでるらしい」とありました。
たらこ唇のフグみたいな殿方(の頭部)が真横を向いているお姿でしたが、あの方と同一人物ですか。

Posted by: あ~ | October 03, 2008 10:52 AM

私は純粋な読者なんですが、
奥村氏の名を知ったのは月刊チャンピオンに連載されていた
上川端通「よおっ・日本一シリーズ」
の最終話でした。
上川端通はその前に同誌でプロレス・格闘技を題材とした
「Jr.WARS」
が初連載であり(これも担当は奥村氏)、
単行本化された際に、いしかわじゅん・高千穂遥・小林よしのり他が巻末推薦文&腰帯アオリを寄稿し、大塚英志が書評で激賞するなど一部で絶賛を浴びました。
(でまあ、推薦文の中ではいしかわ氏のものが作品の本質を見抜いていたかな、と)
単行本腰帯のアオリに関しては、後に桜玉吉「のんきな父さん」で荒井忠、金平守人「KANEHIRA-DEATH」で森薫など大胆かつ広範な人脈に基づく起用が目立ちます。
同時期に週刊チャンピオンの読者欄のハガキセレクト&カットに滝沢ひろゆき(ちばぢろう)を起用。いやああのころのチャンピオン読者欄(ジャンプ風にネタハガキ投稿欄)は、ハガキの横の滝沢氏のカットの方が数段面白かった。
その後創刊された「グランドチャンピオン」誌に異動。同誌では桜玉吉「ブロイラーおやじFX」が有名ですが、上で紹介した上川端通が創刊時から「日本一」と同趣向の「怒神」という作品を連載しており、その第3話で中南米の原住民が交わす会話がこんな具合です

コタラムクオ
コヒツカロエ!
ウオプーソ!

で、「怒神」は4回で打ち切り。後にグラチャン自体が休刊してしまいます。
(いい雑誌だったのになあ)

実は私、この時期に奥村氏に会ったことがあります。知人が週刊チャンピオン編集部にいて、結婚パーティーに呼ばれまして。余興で奥村氏はあみんの「待つわ」をダミ声で熱唱。同僚からは「よお!秋田書店の最終兵器!」という掛け声が飛んでいました。
2次会で直接お話する機会があり、
・「上川端の単行本全部持ってます」と言ったら土下座でお礼された。
・「噂の真相」コラムに載った「秋田書店神楽坂ストリートファイト事件」は奥村氏が主役。しかも相手が相当悪質。
・「“ソープ王”って本当ですか」と聞いたら、あああこれは省略。
など貴重な体験・聞き取りができました。

奥村氏はその後アスキーに移籍なさいました。
熱い人です。

Posted by: かくた | October 03, 2008 03:47 AM

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