先は長そう『宇宙兄弟』
既刊三巻まで発売中。
●小山宙哉『宇宙兄弟』1~3巻(2008年講談社、各552円+税、amazon、bk1)
単行本1巻は今年の春から発売開始。さすが週刊連載は巻を重ねるのが速いですねえ。
2025年、弟はNASAの宇宙飛行士。もうすぐ月に長期滞在するミッションを迎えようとしています。いっぽう、日本在住の兄、31歳はいま失業したところ。兄は子ども時代の夢を思い出し、日本でJAXAの宇宙飛行士選抜試験に挑みます。
これまでもうひとつと感じていたのは、その絵です。先日ウチの家族がヒューストン/NASAに遊びに行ってたのですが、聞く話によると、テキサスてのはすっごい田舎でまたやたらと広い。でかいビルがあるのですが、そのビルとビルの間がずーんとあいてて、日本の景色とずいぶん違う、らしい。
最近はグーグルのストリートビューを使えば、居ながらにいろんな都市を見ることができるようになりましたが、それに比べても、本作のヒューストンは、なあ。町のニオイというか、それが希薄。
まだ宇宙が舞台じゃないですから、宇宙空間の壮大さも望めません。だもんで、題材は気になってたものの、もうひとつノリきれませんでした。
しかし3巻になって、やっとおもしろくなってきた。選抜試験も佳境にはいってきて、複数の人間が閉鎖空間内に閉じこめられる試験。となると、どういう試験が出されるのかと、キャラクターの描きわけが勝負。絵はあまり関係なくなってきます。
本作でもやっとクセのあるアクの強いキャラクターが登場してきて、丁丁発止が起こるかも、と期待させてくれるようになりました。
宇宙飛行士選抜試験モノという、すっごく狭い範囲のジャンルが存在するかどうかわかりませんが、山田芳裕の名作『度胸星』があって、さらに萩尾望都『11人いる!』もあるわけです。これらをこえるくらいの展開を期待したいです。『宇宙兄弟』で主人公が宇宙に行くまで描くとすると、先はすごく長そう。そこまでたどりついてほしいなあ。リアルな宇宙モノは応援するぞ。
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