身近な自然『トーキョー博物誌』
でもって、前項のようなフィクションマンガの推敲とは別の作業を必要とするであろう、学習マンガ系。
知識を伝えるという意味では、『美味しんぼ』や『ドラゴン桜』も作品内で先生役が生徒役にものを教えますから広義の学習マンガなんでしょうが、さらにストーリー性を排除しますと、作品内キャラクターが読者に話しかけるタイプになります。
●日高トモキチ『トーキョー博物誌 東京動物観察帳』1巻(2008年産経新聞出版、900円+税、amazon、bk1)
今はなき「コミックガンボ」に連載された作品。ガンボコミックス版『トーキョー博物誌』1巻は2007年11月に発売されましたが、2007年12月には発行元のデジマが倒産しましたから、あっというまに書店から消えちゃいました。今回は産経新聞出版から発売。産経コミックではガンボ連載の『ステージガールズ』も新装刊する予定になってます。
ガンボといえば、すがや先生の『サラリーマントレーダーあらし』もありましたね。こっちは今もネットで読めます。
さて『トーキョー博物誌』ですが、これがたいへん楽しい。ほんとは「動物」観察帳じゃなくて「動植物」が対象です。東京周辺で見られる、いろんな動植物の生態を紹介するマンガ。
作者とおぼしき男性と、助手(?)のかわいいおねーちゃんが読者のほうを向いて、いろいろと解説してくれます。彼らが存在する時空は、過去だったり現在だったり場所も含めて自由自在。
このマンガのどこがいいかといいますと、まず何つっても題材がいい。動植物といっても身近な自然であります。
トンボやセミ、カナブンやカブトムシだけじゃなくて、クラゲ、カマキリ、ドブネズミまで。アサガオ、ヒガンバナ、イチョウなんかもあります。
著者がこういう動植物の観察が好きでたまらない、というのが強く伝わってきて、こちらもそのあたりをよく見てみようか、という気分になっちゃいますね。意外というか、エコロ風味をあまり感じさせないところもいい感じ。
あとはプレゼンテーションの芸。男女が漫才のようなやりとり(夫婦漫才のたいていがそうであるように女性がツッコミ役)をしながら解説してくれます。これがけっこう笑えて、こういうのはセンスがあるとしかいいようがありませんな。
ウンチクもいっぱいあって、実用性も十分。
連載一回分が6ページの作品にもかかわらず、それぞれの内容は濃くておなかいっぱい堪能できます。
今回発売された『トーキョー博物誌』収録作品は、ガンボコミックス版の作品とはダブってません。著者のサイトによりますと、2巻はガンボコミックス収録作品+描き下ろしを加えて発売予定だそうです。楽しみに待ちましょう。
Comments
え!カブってなかったんですか。
同じ内容の新装版と思って買ってなかった。
買わなければ。
Posted by: ひざげり | October 27, 2008 12:20 AM