スピリッツ創刊号
「週刊ビッグコミックスピリッツ」の新装刊第一号が発売されております。
付録がいっぱいついて、286円+税=300円というのはちょっとびっくり。しかしこの通巻1369号(第29巻41号)が9月26日増刊号と、増刊扱いなのはなぜなのかしら。
スピリッツ新装刊記念として、「ビッグコミックスピリッツ」創刊号を紹介してみます。書影はヤフーオークションのものなので、いずれ消えちゃうでしょうけど。
創刊号は1980年11月号でした。1980年11月15日発行毎月15日発行の月刊誌。第1巻第1号です。発行人・小西湧之介、編集人・白井勝也、定価230円。まだ消費税が存在しないころです。
表紙はエアブラシで描いた宇宙船。画家のクレジットはありません。コピーは「ニューパワーを結集して第3のビッグここに誕生!」。
表2の広告は「YMO イエロー・マジック・オーケストラ 米国編集版」。ただしもちろんCDじゃなくてレコードです。
以下収録作品。
●はるき悦巳「ガチャバイ」第1話:24ページ(カラー4ページ、二色4ページ)
「じゃりン子チエ」の作家が巻頭カラーです。はるき悦巳がアクションを離れて描いた、というのが衝撃だった時代。
●本宮ひろ志「俺の女たち」第1話:28ページ
○自社広告:本宮ひろ志単行本「男樹」「ドン」:1ページ
○自社広告:ビッグコミックスピリッツ創刊第2号:2ページ
第2号の目玉は、長谷川法世と池上遼一です。
○クイズ:「創刊記念プレゼント付 立体クロスワード」第1回:1ページ
●いしかわじゅん「ちゃんどら」第1話「ちゃんどら最初のご挨拶」:16ページ
ビッグマイナーのいしかわじゅんが、メジャーに進出しました。
●青柳裕介「はるちゃん」第1話「源氏名」:32ページ(二色4ページ)
○自社広告:青柳裕介「土佐の一本釣り」1ページ
○エッセイ:椎名誠「全日本食えばわかる図鑑」第1回「青イソメ・ゴカイ丼」:1ページ
○自社広告:ビッグコミックフォアレディ:創刊号11月28日ごろ発売230円:1ページ
創刊号のラインナップは、池田理代子、水野英子、牧美也子、竹宮惠子、倉田江美、土田よしこ、冴木奈緒、風野朱美。
○自社広告:郷ひろみ「たったひとり」:1ページ
●谷口ジロー/狩撫麻礼「青の戦士」第1話:32ページ
谷口ジロー、メジャーへの第一歩であります。
○自社広告:篠山紀信「激写」:1ページ(カラー)
○広告:PIONEER:ALL DAY COMPO SYSTEM (オーディオ、センターカラー2ページ)
○自社広告:名宝日本の美術全26巻:1ページ(カラー)
●岩重孝「ぼっけもん」第1話「秋本番」:26ページ
○自社広告:一ノ関圭「らんぷの下」「裸のお百」:1ページ
○自社広告:ビッグコミック11月10日号200円:2ページ
このころの巻頭は、ちばてつや「のたり松太郎」。
○自社広告:小学館文庫(コミック):1ページ
○映画評:松浦理恵子「ルードウィヒ神々の黄昏 倒錯者たちのアイドルの王はどこにいってしまったのか!?」:1ページ
○自社広告:探訪日本の古寺 京都(一):1ページ
●御厨さと美「56マイルの悪魔」読み切り:32ページ
●高橋留美子「めぞん一刻」第1話「隣はなにを…!?」:20ページ(二色4ページ)
スピリッツ創刊号は「めぞん一刻」第一回が掲載されていたことで歴史に残るかもしれません。しかし二色あつかいではありましたが、掲載順は中盤以降。けっしてビッグネームであったわけではありません。
○自社広告:続男の料理:1ページ
○自社広告:ビッグコミックオリジナル11月5日号200円:2ページ
このころのトップは水島新司「あぶさん」。
○自社広告:白土三平異色作品集:1ページ
●はしもといわお「村塾物語」第1話:8ページ
●宮谷一彦「虎の娘」第1話「虎事来歴」:32ページ
スピリッツ創刊号の最大の目玉は、じつは宮谷一彦。宮谷ねらいでスピリッツを買ってたひとは多いはずです。
○自社広告:ちばてつや「のたり松太郎」:1ページ
○「SPIRITS FAN 」読者ページ:創刊号は作者より:2ページ
みなさんが興味あるかもしれない作家たちのひとことを再録しておきます。
▲吾妻ひでお:創刊おめでとうございます。思わず買いたくなるようなメンバーがそろっているスピリッツ。本宮氏、青柳氏……… そして吾妻ひでおもいる!! それに、な、なんと、い、いしかわじゅんもいるではないか!!
▲いしかわじゅん:フッフッフッ… とうとう大小学館のコミック誌にも登場しちゃったのよね。全コミック出版社制覇まで、あと三社、いしかわじゅん時代の夜明けも近いのよね。
▲高橋留美子:これまでの私の作品はSF的なものがほとんどだったのですが、『めぞん一刻』はSF的なタネやシカケはぜんぜんないのです。創刊号のメンバーになれるだけでもうれしいのに、私にとっては非SFの連載という初めての試みができるなんて、ほんとに胸がときめきました。
▲谷口ジロー:メロウな時代かしらないが、やたらナヨナヨしたコミックばかりがもてはやされて、私のところにはまるで仕事が回ってこない。(略)狩撫氏とは初コンビ。正直いうと、少々とまどいもあるが、ダイナミックなストーリーを得て、やりがいはある。私はスピリッツに賭けている。
▲宮谷一彦:名古屋の郊外から、創刊に参画する喜びをしみじみと感じている。これまで、いろんなことがあり過ぎて、言葉もないが、なんとか、ここでと、まさに背水の陣である。もう後はない。運命的なビッグスピリッツと出会いの中で、結果は恐れず、とにかく、一つの作品を完成させようと思っているL鬼才などという冠詞のとれた一人のコミック作家として。
▲白井勝也:ビッグ創刊より12年、オリジナル創刊より8年。いま、また、ここに三つの祈りをこめて、スピリッツを創刊させていただく。その第一は、コミックを血肉化した若き読者に、コクのある作品で充足感を味わっていただきたい。第二は、スピリッツ連載群から、80年代の財産となるべき名作を生み出していきたい。第三は、一日も早く月二回刊とし、真の第三のビッグとしての位置を確立したい。末長い御愛読を乞う。
○モノクロページの巻末に目次:1ページ
●吾妻ひでお:「とつぜんDr.(ドクター)」カルテ1:二色4ページ
○表3:広告:日本ホビー協会:総監修・矢口高雄の釣り講座
○表4:広告:ダイハツ:シャレード
Comments
書影の著作権は小学館にあります。こういう雑誌書影にリンクするのも厳密にはダメらしいという意見もあります。個別にご判断ください。
Posted by: 漫棚通信 | December 16, 2009 10:06 PM
はじめまして。
詳細な創刊号の内容の再録、ありがとうございます。
僕にとっての「スピリッツ史」をブログで書きたかったので、
こちらに掲載の創刊号の表紙の画像を
拝借させていただいてもよろしいでしょうか?
Posted by: 千兵衛 | December 15, 2009 11:30 PM
毎号イラストレーターが変わってたのは、オーディションだったのですか。
スピリッツ新装刊号の付録DVDに表紙アーカイブというのが収録されてるのですが、90年代以降のアイドル表紙ばかりで、80年代のイラスト表紙は無視されてますねえ。
Posted by: 漫棚通信 | September 14, 2008 02:39 PM
加藤直之の表紙をぬえの営業として担当しました。創刊当時は、各編集者がこれはと思うイラストレーターに表紙を依頼し、オーディションをしていたんですね。で、空山さんが採用になったというわけです。
Posted by: 高千穂遙 | September 14, 2008 11:50 AM
正しくは「リトルメジャー」です。いしかわじゅんさんは。
ちなみに命名者は高信太郎さん。
Posted by: 粗忽亭主人 | September 10, 2008 07:50 PM
これも失礼しました。創刊号をよく見直しましたら、安部裕之との記載がありました。創刊2号が香西文夫、3号が加藤直之、4号から空山基がレギュラーで表紙を描いてます。
Posted by: 漫棚通信 | September 10, 2008 03:55 PM
最初期スピリッツの表紙は空山基氏ではないでしょうか。
毎号ロボット動物でしたよね。
http://www.sorayama.net/categories.html
Posted by: かくた | September 09, 2008 09:07 PM
わたしもそうです。( ̄ー ̄)ニヤリ
Posted by: not a second time | September 09, 2008 06:21 PM
あ、そうでした。失礼しました。わたしの頭の中では、いしかわじゅんはスピリッツ連載でメジャーに進出したというイメージを持っていたものですから。
Posted by: 漫棚通信 | September 09, 2008 07:10 AM
いつも楽しく読ませてもらってます。
そして重箱のスミを
いしかわじゅんは
「スモールメジャー」で
「ビッグマイナー」は
あずまひでお
かと。
Posted by: namaniku | September 09, 2008 12:55 AM